1Q84 Book3 読了(ネタバレなし)
村上春樹の小説を読むときは、やや速く、(出来るだけ)一気に読むことにしている。
細かいシーンは憶えていなくても、作品の空気とか雰囲気を感じる程度。
速読というか、文字を(頭の中で)読み下していくのではなく音楽を聴くように段落の全体像を把握していく感じ。
もちろん読むことに集中する環境は整える。
細かな単語は覚えていないけれども、大丈夫、無意識が認識をしている。
こうやって村上春樹の小説を読んでいると、途中で「あれっ?いつの間に場面転換したの?」と2〜3ページ戻って読み返すことが何度かある。
「1Q84 Book3」でも2〜3度あった。
さらに、途中からなぜか心拍数が上がってくることもある。
「1Q84 Book3」では、〜のあたりから。
意識していなくても無意識が単語や描写の変化を把握しているのだろう(細かい解釈は評論家の方々に任せたい)。
日常的な空気だったのが、いつのまにか足下が不安定になっていることに気付き、あとはその作品世界をより一層楽しむことが出来る。
1度目にしか効き目のない、お奨めの読み方です。
気合いを入れてしっかりと読むのは(時間があれば)2度目から。
それにしても、前に書いた青豆という名前の英訳についての記事のアクセス数が増えていること。
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以下、Book3ネタバレはないけれども作中に出てきた地名その他が書かれています。
まったりしているあたりを読みながらぼんやり考えた。
知っている場所もあれば知らない場所もある。
天悟と青豆が子供時代を過ごしたのが千葉県市川市でなく、茨城県土浦市とか神奈川県横浜市だったら作品の雰囲気はちょっと違ったものになったかもしれない。
東京都葛飾区育ちとか(笑)
千倉市はよく知らないけど、三浦半島の病院に入院していたら父親のイメージが変わってきただろう。
コスタリカのカリブ海側のビーチでくつろぎたいと想像していた(Book3の内容とは関係しない)。
これがコスタリカの太平洋側のビーチだったり、米国のフロリダのビーチ、ブラジルのコパカバーナ・ビーチ、中国の海南島のビーチだったら、その章の雰囲気はまたちょっと違った感じになっただろうと思う。
コスタリカのカリブ海側は隠れ家的リゾート地もあるまったりした(いろんな意味で)大人な雰囲気。太平洋側はサーフィンのメッカもあり比較的アクティブ。
日本では馴染みのない地域だけにほぼスルーされると思うけれど、米国での出版も念頭に置いているだろうから村上春樹氏はそういった雰囲気を分かって使ったのだろう。
村上春樹の作品はそういう細かい道具立てと場面場面の雰囲気作りが上手い。
ところが、読み進んでいくにつれ、それがずれてくる。細かいところで不協和音が出てきて、雰囲気がズレてくる。
そして、いつのまにか足下が不安定になっていることに気付く。
2000円出した価値はあったかな。
Book1, Book2 の時は、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。
Book3はコレ?
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時間があるなら、小説がお奨め。
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