「日本がもし100人の村だったら」池上彰・著 元データを読んでみた
「高校生100人のうち44人はほとんど勉強をしていません」
「日本がもし100人の村だったら」池上彰・著で知った数字。
ちょっと衝撃的な数字なので、元データの「NHK 中学生・高校生の生活と意識調査」を読んでみた。
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かなりお奨め。
読後感は、ルパン三世の銭形のとっつぁん。
「ルパンを追いかけてて、とんでもないものを見つけてしまった。どうしよう・・・」(カリオストロの城)
それはともかく、
学校や塾・予備校以外での勉強時間、高校生が自分で自由に使える時間をどう使っているか、その生活や親子関係、社会や将来に対する意識調査。
親子関係がプラス親子とマイナス親子に二極分化していると知って、ショックx2。
2002年の調査ですが、その後、この状況は進行していると思われます。
今の高校生の44%はほとんど勉強をしていない。
では、昔の高校生はどうだったのか、勉強していたのか過去の調査結果を見てみます。
1982年は、「高校生100人のうち25人はほとんど勉強をしていません」
1987年と1992年は、「高校生100人のうち34人はほとんど勉強をしていません」
この調査の20年前の受験戦争の時でも高校生の4人に1人はほとんど勉強をしてなかったのですね。
ここ最近、急に下がったわけではなく、平均勉強時間は第一回調査の1982年からずっと下がり続けていることが、掲載されているグラフからも分かります。
今の中学生・高校生の教育や意識の問題だけではない、親子関係や親の意識も含めたもっと大きな問題なのでしょう。
特に、子供の将来に対する両親の考えが大事なのではないだろうか、と、自問自答。
例えば、この「日本がもし100人の村だったら」では、「女性100人のうち〜」というように、女性全体でなく職に就いている出産女性だけを元にしたデータでも「女性100人」と書いています。
同じような書き方をすると、
「高校生100人のうち61人は2時間以上、勉強をしています。
そのうち半分近くは 3時間以上も勉強をしています」
この数字は、塾に通っている高校生を対象にした結果で、学校や塾・予備校以外での勉強時間です。
一方、塾に通っていない(+行くのを止めた)高校生100人のうち47人はほとんど勉強をしていません。
こういうところでも二極分化が起こっているのですね。
この本では、学習意欲の低下について、手に職を求める若者の増加や、対立が少なくなった親子関係、ミスマッチだったゆとり教育、将来に対する不安と現在を楽しむ生活態度などで説明を試みています。
メモ
そういうことを、いつもの分かりやすい解説をすることで、問題点が分かってくるだろうにそれがないのがちょっと残念。
いわゆる「100村」モノは、文字少なく、ダイレクトに表現しているので、表面的な数字だけが一人歩きしやすく、恣意的なイメージを植え付けやすいと言われています。
紹介しておいて、追記するのも何だけど、「そうだったのか!」や「よくわかる」池上彰氏の著作を鵜呑みにするような人には奨められない一冊。
途中から、「日本がもし100人」という前提から離れて、女性100人・若者100人・高校生100人・管理職100人と離れていくし、元データの扱いに疑問を感じる部分もちらほら。
個人的評価は「残念な一冊」
でも、一部でも元データを見てみようという人は読んでみるのもいいかもしれない。
日本がもし100人の村だったら | |
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