クーリエ・ジャポン 2010年8月号 レビュー 世界が見た「政治漂流」NIPPON
クーリエ・ジャポン 2010年8月号。新装刊2号目。
参議院選挙が公示されたこともあり「世界が見たNIPPON/世界が見た「政治漂流」NIPPON」が面白く読めた。
なかなかハッキリした記事を集めている。以下、一部。(目次)
「三国志の”呉”になったことはない」国際先駆導報(中国)
かなり辛辣。
日本は、日米中の三国志・魏呉蜀の呉になったことはなく、米国と中国に二股かける資格はない。日米関係は米国の命令を聞くだけの関係だと、ばっさり。
ちょうどサッカー・ワールドカップの日本の快進撃で盛り上がっているので、こういう記事を読むと とろ火状態の郷土愛でも弱火くらいにはなる。
(国际先驱导报(International Herald Leader)は、新華社通信系列の国際問題専門の週刊誌)
「『財政立て直し』を期待される “聡明な” 財務相 野田佳彦」 フィナンシャルタイムズ(英国)
この持ち上げ方はなんだろう?
東京支局長をしていたジリアン・テット(Gillian Tett)記者の記事かと思えばどうも違うようだ。(これかな? Japan’s finance chief will need discipline)
タイトルで「聡明な」と持ち上げているので、原文ではどこかでオチをつけてると思って元ネタ探してみたら、案外普通。
愚者の黄金 | |
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世界が見たNIPPON記事
「閉塞感に満ちた日本で人気を集める幕末のヒーロー RYOMA」 ル・モンド(フランス)
短い文章ながら、坂本龍馬の業績とフィクション化しているマスコミを、かなり正確にまとめている。
そのまま書き写して授業のレポートに使えそう。
龍馬は、ラスティニアック的一面を持つと書かれているけれども、ラスティニャック (Rastignac)は現代のフランス語で「手段を選ばない成り上がり者」という意味を持っている(wikipedia)ので、ちくりと風刺が効いている。
よほど、横須賀造船所の設立が小栗上野介の業績で、フランス人技師ヴェルニー(Francos Leonce Verny)が「歴史上なかったかのように無視」されていたのが気に障ったのだろうか。
司馬遼太郎の原作なんだから、「明治の父」・小栗上野介忠順にフォーカスが当たるのは仕方ないよ。
それにしても、フランス誌の日本の記事では三島由紀夫がよく出てくる。
今月号の「龍と象の比較」(第二回)では、中国は「経済発展に取り残される若者」、インドは「ラブロマンス小説」
クーリエ・ジャポンを購読していると、インドに対するイメージがどんどんと変わっていく。時々、これホントにインド?、と思うくらいに。
中国の「〜族」はよくネタに使われる話。日本での「新人類」みたいなもの。
2009年新族群(英語)
さすがに、低炭族 (The low carbon tribe)は中国のマスコミ先導の雰囲気作りだろう。
そしてこのネット版が、クーリエに載っていた2009年新新族群(中国語)。
スマート・モブ、腐女子やオタク、フリーター、ニート、ワープア、DINKS、LOHASなどなど。日本発が多い。
ネット版なので、日本の2ちゃんねるソースと同じようにサブカル含んで揶揄と風刺が効いているものもある。
それでも「ネット廃人」は入っていない。さすがにネタとしても自虐的すぎたか危険すぎたのかもしれない。
(中国でネット中毒者2400万人 - MSN産経ニュース)
その他、ツイッター特集、クーリエ・ビスのユーロ特集、マルコム・グラッドウェル 著 × 勝間和代 訳の小冊子と、なかなか濃い内容。(目次)
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メモ
積ん読状態の本を消化中。
インプット多すぎてアウトプットも多く長文になってしまう・・・
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