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2011年1月 2日 (日)

「日本は『こっそり』と、わが国からレアアースを奪っている」という記事について調べてみた

Rareearthoxides
(wikimedia commons)

昨年末、サーチナに「中国「日本は『こっそり』と、わが国からレアアースを奪っている」」という記事が載っていた。

中国が行っているレアアースの輸出制限に対して、日本は非難をしながら、総合商社がレアアースを含む精密機器の廃棄物などを密輸してリサイクルし、レアアースを獲得しているというもの。

どういうことなのか、調べてみた。



結論は、どうも中国国内でのレアアース鉱山と鉱山会社への生産・輸出の管理規制と業界再編を行うニュースと抱き合わせにして、「ずるい日本」という外敵のイメージを作り、国内のガス抜きに使われたように感じる。

元記事では、三井物産が名指しされているが密輸をしているという明確な表現はなかった。

ここんとこ、サーチナの記事でも「廃ガラス片を輸入することは、厳密にいえば密輸のようなものだ」と表現をぼかしている。また日本の総合商社が密輸となれば叩く絶好の機会なのに、(年末年始だからかもしれないが)中国大手メディアの中で転載がされていない。
例によってサーチナの記事だし、これをそのまま「日本が密輸をしている、奪っている」と信じる人はいないと思う(笑)(字面だけコピペして、自虐したがる人はいるかもしれない)



元記事は、解放日報(解放日报)の「废玻璃之秘:三井物产“变相”探取中国稀土 理财_我爱放牛_解放牛网」。
日本語適当訳:「ガラス片の秘密:三井物産は中国のレアアースを別の形で探して取得している」

解放日報は上海市共産党委員会の機関紙。

さらにこの元ネタは、21世紀経済レポート(21世纪经济报道)の「废玻璃之秘:三井物产“变相”探取中国稀土_21世纪网」の記事。

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中国では、9月29日付けの2010年63号公告「加工貿易禁止類目録増加商品」で、多結晶シリコン(多晶硅)や液晶など各種のガラス片(废碎玻璃)など22種類が輸出禁止になり、還元鉄(热压铁块)、ダイカスト廃棄材料(鋳鉄废碎料)、自動車スクラップ(废汽车压件等)の22種類が輸出入禁止となった。参照

11月1日より施行された。

これに三井物産が違反しガラス片などを密輸している、という内容だが、はっきりと明記はされていない。
続報を待たないと本当はどうか分からないが、証拠があればそう書いてもっと叩いているだろう。

中国稀土学会の林東鲁(林东鲁・Lin Dong Lu)秘書長によると、三井物産は四川省などからレアアースを含むガラス片などを大量に輸入している。
これは中国のレアアース輸出規制を回避する方法だが、加工品や廃棄物44品目が輸出禁止された11月1日の後も、それと分かって購入し輸出を続けていたかどうかは記事からは分からない。
ただ、カン州(赣州)市の稀土関連企業の内部の人によると、カン州で違法採掘されたレアアースを三井物産が購入し輸出しているそうで、取引の違法性をわざわざ強調している。


もし、三井物産が10月31日までに輸出を完了しようと進めていたが、中国の税関当局の手続きが遅れた結果、厳密にいえば密輸のようなものが起こった可能性はあるのかもしれない。
(「厳密にいえば密輸のようなもの」は、原文では「严格来说,属于走私行为」で同じ書き方。)

税関がわざと手続きを遅らせたとは言い切れないが、わずか2ページの記事中で「三井物产」(三井物産)の4文字が出るのは24回。狙い撃ちされたと感じても不思議はない。

ヘタな対応をすると、事実はともかく、「中国に配慮して」リサイクル技術の供与と共同研究、設備の日中共同開発を、環境対策というお題目で進めていく、そういうお話になっていくのだろうか。


いやだなー ( ´・ω・`)



ところで、2011年の中国の各社のレアアースの輸出枠がどのくらい削減されるか、以下の記事に載っていた。
解放牛网の2011年1月1日の記事「稀土出口配额大幅削减 企业扩大产能将受限 理财_我爱放牛_解放牛网」。元は华夏时报の記事。

3113357

35%から最大57.3%削減と、大幅に削減するよう指導されている。

もっとも、いまのところ各社の管轄は中央政府でなく地方政府にあるようだ。いかに違法採掘を取り締まるか頭が痛いところだろう。



閑話休題、
この21世紀経済レポートの三井物産の記事を書いたのは邓瑶という記者。北京レポート(北京报道)というコーナー担当。

興味深いことに、この記者は12月25日に中国稀土学会の林東鲁秘書長のインタビュー記事「中国限制稀土出口合情合理_21世纪网」を書いている。

また、三井物産の希土類輸出の記事(2010/12/29)の前日(2010/12/28)には、中国の国土資源部では中国国内のレアアース鉱山の枯渇を危惧し、鉱山会社に生産・輸出管理を徹底し改革をしていくという記事「国土部酝酿稀土采矿权改革」を書いている。

この記事でも中国稀土学会の林東鲁秘書長から話を聞いているので、インタビューの中で三井物産の話を聞き、中国稀土学会の他の専門家からも情報提供を受けたのだろう。ひとつの記事にしては三井物産について詳しく書かれ過ぎているように感じられる。

こういうあたりから、国内の規制を強める際のガス抜きとして書かれた記事なのだと感じた。



この解放日報の記事をうけて、例によって中国国内の保守系ブログが転載している。さらにサーチナが中途半端に抄訳し、日本の掲示板に転載され呆れられている。参照

しかし、人民日報など大手の中国マスコミでは(年末年始だからかもしれないが)転載はされていないようだ。



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メモ
もし、今年に三井物産が中国国内で大きな譲歩と思われる行動をとったとしたら・・・

やっちゃったのかもしれないなー (;´Д`)

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