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2011年2月26日 (土)

エジプトは、ミロシェビッチを引きずり下ろした学生達(オトポール)から何を学んだのか? | FP誌

Egyptprotest

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エジプト・カラー革命・裏話 4月6日運動とオトポール!
エジプト革命 アルジャジーラTVが放映した「4月6日運動」の活動


「レボリューション U - オトポール、CANVAS、ミャンマー、そしてエジプト革命」
Revolution U - Otpor, CANVAS, Burma, and the Egypt Revolution - By Tina Rosenberg

「エジプトは、ミロシェビッチを引きずり下ろした学生達から何を学んだのか?」
"What Egypt learned from the students who overthrew Milosevic." 。

米国の外交専門誌フォーリン・ポリシー誌で、反体制グループの支援組織CANVAS(元Otpor)がエジプト革命の4月6日運動グループや、他の国の反体制グループに対してどうトレーニングなどをしているのか詳しく載っていた。

セルビア(旧ユーゴスラビア)の「オトポール」(Otpor / Отпор)が、どういう戦略で抵抗運動を進め、ミロシェビッチを引きずり下ろしたのか。
オトポルののメンバーは、その後に「CANVAS」 (Centre for Applied Nonviolent Action and Strategies)というNGO?団体を作って世界中の若者の反体制運動を支援し、エジプト革命の「4月6日運動」(April 6 Youth Movements」はもとより、多くの国で若者の反体制グループへの支援をしている。
グルジアやジンバブエの例をあげつつ、特にミャンマでの反体制運動の失敗とその後の若者たちの新たな反体制グループへのトレーニングの様子が書かれている。また、ベラルーシや北朝鮮の反体制グループ、そしてイランでのGreen revolutionの失敗など。

FP誌のティナ・ローゼンバーグ(Tina Rosenberg)記者が、Otporの主要メンバーの、スルジャ・ポポビッチ(Srdja Popovic)、スロボダン・ジノビッチ(Slobodan Djinovic)、それとイワン・マロビッチ(Ivan Marovic)に取材をしてきた。



長いので気になったところを少々。例によって適当な日本語意訳です。

Otpor's founders realized that young people would participate in politics -- if it made them feel heroic and cool, part of something big. It was postmodern revolution.

"Our product is a lifestyle," Marovic explained to me.
"The movement isn't about the issues. It's about my identity. We're trying to make politics sexy."

Traditional politicians saw their job as making speeches and their followers' job as listening to them; Otpor chose to have collective leadership, and no speeches at all. And if the organization took inspiration from Gandhi and Martin Luther King Jr., it also took cues from Coca-Cola, with its simple, powerful message and strong brand.



オトポールは、当時の反体制運動の戦略として、伝統的な政治活動で使われる指導者のスピーチなどは行わず、集団での指導体制を選んだ。
インドのマハトマ・ガンジーや米国のマーティン・ルーサー・キングの運動から影響を受けつつも、さらに、シンプルで力強いメッセージと強力なブランドイメージというコカ・コーラの販売戦略を手本にしたと言っている。

若者たちを政治運動に関わらせるために、運動を格好良くセクシーなものというイメージを作ろうとしたそうだ。
拳を振り上げたシンボルマークの黒いTシャツを着て逮捕されたメンバーを、あたかもロックスターのように仕立て上げ英雄化していった。

セルビア・スタイル(Serb style)とポポビッチ氏が言う、劇場型の政治運動を作っていったのだろう。

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何年もの退屈とも言える時間を使って市民の中に浸透していき、街頭でのデモ運動では、非暴力で、かつ体制側にも暴力を使わせないような、街頭の群集のリスクが少なくなるような運動を計画していった。

CANVASはこれまでに50の国の反体制グループを支援したと言っているが、もちろん失敗もある。そんなに革命や反体制デモは成功していない。

ミャンマの軍事政権への反体制運動について、失敗例と現在進行形のコーチングの例があげられている。
例えば、2008年、ラングーンでの僧侶アシン・コヴィダ(Ashin Kovida)と「僧侶代表委員会」による街頭デモ(参照)の失敗は、非暴力でのデモ活動に対して軍事政権が発砲して鎮圧するとは思っていなかったからだそうだ。

また、運動が始まらなかった例としてベラルーシと北朝鮮の反体制グループが書かれている。

北朝鮮の反体制グループとはソウルのホテルで2日会っているが、結局、あたかも彫像のように動こうとしない北朝鮮の人々に対して、一体全体どうすればいいのかまったく考えつかなかったそうだ。

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今回、チュニジア、エジプトと続いた革命運動は、イランへも強く影響を及ぼすかもしれない。

2009年のイランの大統領選挙の抗議運動「Green Revolution」では、反体制グループのリーダーがオトポールのような戦術を使おうとしなかったから失敗した、のだそうだ。
イランは10年も恐怖に頼る政治をしていて柔軟性のないものとなっているので、ムバラク元大統領にとってのエジプト軍のように、政権が頼りにする柱となる勢力が民衆にとって恐怖の対象とならなくなった時、その政権は倒れるだろう、と言っている。

政権の柱は、アフマディネジャド政権のイランだと、大統領府、イラン革命防衛隊と民兵組織バシジ。それとイラン国民の誇りとしての科学技術、原子力開発かな。
多民族国家だから不満の種はいくらでも出てきそうだし作り上げられるし、革命防衛隊に対してのイラン国軍の不満を高めることも出来そうだ。原子力開発に対しては技術者への攻撃とウラン濃縮設備へのサイバー攻撃を実行(参照)している。

しかし、反アラブ人という結束や、イスラム教スンニ派に対するシーア派の立場、イスラエル・シオニスト政権に対する強硬姿勢など、ひっくり返すのはけっこう大変な気がする。
よしんばひっくり返せたとしても、エジプト革命のような背後に米国がいるカラー革命だと分かったら、モサデク政権転覆でのCIA暗躍とダブるだろうから、イラン人のプライドを酷く刺激しさらに反米な強硬な対応になるんじゃないだろうか。

イランで内乱が起こっても、それはそれで良いと思っているような気もするが。
2013年の大統領選挙に向けて、いろいろ仕込んでいそうだ。

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それにしても、話のなかでコカコーラの販売戦略が出てくるとは思わなかった。

前の記事で触れたAlliance of Youth Movements(AYM)の協賛企業に、なぜMTVが入っているのか不思議だったけれども、ソフト・パワーの戦術として若者層への浸透力の強いアメリカ大衆文化やエンターテイメント産業も利用しているのだろう。オトポールは2000にMTVから「Free Your Mind」賞を送られている。(参照

MTVの映像作成ノウハウをプロパガンダの映像に使えるようにトレーニングとか、MTVのライブ映像で流れるアーティストと反体制派グループのイメージをダブらせるとかやっていそうだ。
CANVASの作った反体制運動の非暴力マニュアルは、どこかの就活セミナーや研修のリーダーシップ・マニュアルとも感じられる出来だった。



もっとも、AYMの協賛企業に入っているのはコカ・コーラではなくペプシ。

これはこれで、旧ソ連との独占契約に続く、カラー革命後の国々へ向けたペプシコの壮大な販売戦略なのかもしれないが。



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