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2011年3月15日 (火)

「災害時でも秩序ある列を作る日本」 ステレオタイプな国民性の記事の効能、正常性バイアス、日本の財産

Eq2011linecultrure


(注:正常性バイアスが働いたから日本人は列を作るって記事じゃないですよ。)
CNN「日本は大災害時でも略奪がなく、秩序ある列をつくる文化がある」

Orderly disaster reaction in line with deep cultural roots

東日本大震災。日本人はこのような大災害の時でも、コンビニやスーパーで買うときは列を作って空気を読んで自分だけ買いすぎたりしない。
災害というストレス下でも日本文化を基礎とする共同体の精神は効果的に機能している。

という記事。
他にも、災害に対して冷静に対応している日本といった記事や社説が増えている。
ノルウェー紙では、なぜ略奪がおきないのか?という記事が比較写真付きで載っていた。(参照:Google翻訳



阪神・淡路大震災のときにも似た記事があったし、エスニック・ジョークでもステレオタイプな日本人の国民性として「曖昧な態度」や「長生き」とともに「礼儀正しい "politeness"」があげられる。

国民性のジョークに使われるようなネタなのだから、あまり感情的に見ない方がいいと思っている(注1)が、それよりも、災害時に世界からこのような国民性と見られることが、どう機能し、良い(あるいは悪い)結果に繋がるかが重要だ。

日本では良い結果に繋がっている。後半で悪い結果を紹介する。


災害や事故の時に、現実に起こっていることを自分が理解できる正常な範囲内で認識しようとすることで、ストレスに過剰に反応して疲弊しないよう、心を平静に保とうとする。これを正常性バイアスや日常性バイアスとよぶ。(参照)(注2)
これらの記事を読んだ海外の人は、先進国の日本で起こった災害の被害の大きさに恐怖する(参照)一方で、「こんな時でも変わらない日本という安心感」(参照)を得ることが出来る。

Kittycat

このステロタイプな国民性の見方について、私たちは周囲の空気や雰囲気を読んで、並ぶ方が効率的だし当たり前だからそうするわけだけど、「建前」と「本音」はあるし、全てで同じわけじゃなくそうじゃない嫌な例もたくさん知ってるわけなんですよね。

でも、この「礼儀正しい」という良いイメージの国民性、こういう先入観を持たれていることは日本の財産となっている。

今回、極めて迅速に、非常に多くの国からの支援要請があり、数十カ国からの救助隊が続々と到着し救助・支援活動を行ってくれている。ありがたいことだ。
米軍の上陸部隊は、食料や支援物資の支援活動をする時に、群集が暴徒となって襲いかかってくる心配はしないだろう。トラックの脇で銃を構えて緊張をする必要はないし、銃を構えた小心者の二等兵が誤射する可能性もない。

民間NGO・NPO団体も心配せずに救援にこれるだろう。
よければ帰国前には温泉にでもつかって疲れを癒してってください。

これから、被災者への義援金など募金活動も増えるだろう。ありがたいことじゃ。
被災地の社会秩序が保たれているなら安心して募金が出来るという心理的動機になるし、もしかしたらこの「礼儀正しい人たち」なら助けたいという善意を高めるかもしれない。少なくとも、何もしないことの罪悪感よりも助けたいという善意が勝る場合はあるだろう。

投資家は冷静にみていて今日(3/15)も日経平均は下がり続けているが、日本人が相変わらずの人たちで社会システムが壊れていないなら、阪神大震災後のような復興特需に便乗しようというさらに冷徹な投資もされるはずだ。その時の投資リスクへの不安感を和らげてくれるだろう。

CNNの記事は
「このような社会的な態度は、この災害から日本が回復するのに役立つだろうか? 一言で言えば「YES」だ」
と締めくくっている。

このような空気を読んだ「本音」と「建前」混然一体の態度でも、この災害から回復するのに役立つだろうか? 一言で言えば「もちろん」だ。



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それとはまったく逆の、被災地住民についての悪い先入観が救助の手を遅らせ、さらに悪い結果を引き起こした例が、2005年のハリケーン・カトリーナによるニューオーリンズの水害で起こっている。

ニューオーリンズの住民を危険な人々と見る先入観があった。

「災害ユートピア ーなぜそのとき特別な共同体が立ち上るのかー」によると、ハリケーン・カトリーナによる水害では、一次支援の後、住人を水没した町から避難させるどころか脱出しようとする人々に対して銃を突きつけて押し戻したり、銃撃をした事件があった。
ニューオーリンズの住民がパニックになるという先入観と群集が暴徒化すると思いこんでしまった施政者や警察の方がエリート・パニックを引き起こしてしまった。
さらに、町は無法地帯と化し、集団レイプや大量殺人が横行しているという噂が広がり、全国メディアが報道をし、警察や救助隊員もその悪い噂を信じたことで、救助・支援活動に大きな支障と遅延をもたらしてしまった。

後に、その噂は事実ではなく、それどころか無数の利他的な活動がみられたことが分かっている。。
Wikipedia日本語版には悪い噂しか載っていないが、Wikipedia英語版には「その噂は混乱によるもので不正確だった」と脚注を付けて書かれている。(2011/03/14現在))

本書では、実際には歴史的にも、大惨事に直面しても、暴力的な事件よりも非常に多くの利他的行為が行われていることを、多くの例を使って述べられている。(注3)



災害時にパニックは起こりにくい
生き残った人はどういう行動をし、生き残れなかった人はどういう行動をしていたか、という内容。

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(注1)
そこに偏見や差別意識も含まれている場合もあるだろう。エスニック・ジョークの元なのだから笑い飛ばして、ひねって返せばいいと思うんだけどね。

斜に構えて見るのも構わないけれども、それは内向きに卑下し慣れてしまった日本の悪い国民性に感じられる。もっともそういう見方をすることが、未曾有の大災害に対して、その人なりの正常な範囲内で理解しようとした正常化バイアスの結果なのかもしれないが。

(注2)
正常化バイアスが働きすぎると、視野狭窄に陥ったり現実を認めようとせず悪い結果をもたらすことがある。

(注3)
大災害=無秩序状態=暴力が支配する状態、という世紀末救世主な漫画的な、ハリウッド映画的なエンターテイメント性を求めるような先入観がある。平和な時の妄想や安全な所での傍観者としてはその方が面白いからだ。

災害時は、最善の結果を期待して行動しても期待通りの良い結果にならず悪い結果となるかもしれない(自然災害ってそういうもの)が、社会に余裕がある状態にも関わらず最悪の結果を期待して行動すると、カトリーナ水害の時のニューオーリンズのように、より悪い結果を呼び寄せ(人災・二次災害)る結果となるだろう。

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