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2011年4月26日 (火)

「生き残る判断 生き残れない行動」を読んで、東日本大震災の例と一緒に考えてみた(1/2)

生き残る判断 生き残れない行動生き残る判断 生き残れない行動
アマンダ・リプリー 岡真知子

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「生き残る判断 生き残れない行動」
副題:大災害・テロの生存者たちの証言で判明
原題:"The Unthinkable ~Who survives when disaster strikes --- and why~"

(追記2011/05/07) NHKスペシャル「巨大津波 “いのち”をどう守るのか」を見て。

本書で書かれている内容と、非常によく似た話を生存者の方々が語られていた。
津波予想到達時間になっても何も無かったので安心して体育館に下りた。とっさの判断で高速道路のゲートを突破して生き残った。「高齢者がいるから」と理由をつけて避難をしようとしなかった、など。

(追記ここまで)


長かったので分割しましたの1/2。


(後半):「生き残る判断 生き残れない行動」を読んで、東日本大震災の例と一緒に考えてみた(2/2)
「何一つとして正常ではない時には、平時とは異なった考え方や受け取り方をする。」


「災害の時には、脳は自分が思うほど働かない」

本書では、米国同時多発テロ(以下、9・11)やハリケーン・カトリーナによる洪水、北海でのエストニア号の沈没、ナイトクラブの火災事故や銃撃事件 など、突然の災害や事故、事件での生存者たちへの直接のインタビューを通して、彼らがどのように感じ、考え、行動して生き残ったか解き明かしている。

それらから分かったのは、どんな種類の災害に遭っても人々は似た地点からスタートし3つの行程を通ること。
まず現状を「否認」する。次にショックから回復する過程で「思考」をして、生き残るための「行動」をする。
しかしそのいずれの段階でも、脳も体も自分が思うように動かないことがある。
では、どうすれば良いのだろう?

先に結論を少し書くと、

「非常時には、脳は機能を停止してしまう。 だから何をすべきか事前に知っておくべきだ。」

飛行機事故で怪我が比較的に少なかった人や生存者が、出発前に安全図を見て最寄りの出口の確認をしていたように、多くの災害や事故で生存者は非常時に何をするか事前に知っていた。
非常時にどうするか知らなければ、脳はもっとも基本的な恐怖反応に頼るようになる。恐怖の対象について知れば知るほど、脳は恐怖を感じにくくなる。

それでも、いざというときに恐怖で頭も体も動かなくなるかもしれない。

極めて効果的な対処方法として、ラマーズ法のようなゆっくりとしたリズミカルな呼吸をあげている。(呼吸法は、パニック発作時の対処法の一つ。参照

意識的に呼吸の速さをゆるめることで、原始的な恐怖反応を段階的に縮小できる。



以下、本文。



極端な場合を除き、災害などで非常に強いストレス環境下にある時には、人間は驚くほど独創的かつ頑迷な「否認」を示す傾向がある。

人々の行動として「正常性バイアス」はよく知られるようになった。(参照)(参照
脳はパターンの確認をすることで働くため、災害時のような日常にないパターンに遭うとその例外を認識するのが遅くなる。さらに、日常のパターン化された行動をなぞることもある。

本書では、9・11での生存者たちは、我先に逃げようとパニックになることはなく、むしろ非常時とは思えないほどとても落ち着いていたとインタビューに答えている。集団だったことで「同調性バイアス」も生じ、彼ら全体の動きは遅くなり当初想定されていた避難時間の2倍以上(死亡者も計算に入れるともっと長くなっただろう)がかかったそうだ。

この「否認」の段階を抜けないと、生き残るための「思考」や「行動」の段階へ進むことは出来ない。

強いストレス下ではひとつの行動に集中しがちなため「視野狭窄」が起こりやすい。
航空機パイロットのトラブル時の例で、ひとつの赤ランプが点いてしまいその対処に集中してしまったため、高度計に意識が向かわず危険高度以下になっていることに気付かなかった例などが紹介されている。


東日本大震災では、
生存者が撮影した映像を見ると、津波が来る事を知った時点で海から遠くへ高台へ逃げるべきだが、撮影者たちは(「撮影する」という行動に意識が向いているためか)、パソコンやゲーム機などの持ち出しを考えたり(結局持ち出せない)、行動を迷って間一髪で逃げる姿がある。(参照

テレビニュースで、自動車で逃げていたが渋滞して動けなくなったため、助手席に居た生存者はとっさに近くの家に上がり込んで助かったが、運転手は車と一緒に流されてしまった、というインタビューを見た。
確認は出来ないがもしかすると、助手席の人は「高い所に逃げる」行動にとっさに頭を切り換えられたのに対して、運転手は「車を運転して逃げる」行動に集中していたため判断が遅れたのかもしれない。

対策
もし、この段階で行動が鈍くなっている人がいたり麻痺したようにすくみあがっている人がいたら、大きな声や音を立ててショックを与える方法が効果的だと書かれている。
この助手席の人は、運転者を激しく怒鳴りつけることで「高い所に逃げる」行動に頭を切り替えさせることが出来たのかもしれない。

生きるか死ぬかの瀬戸際では、岩手県の陸前高田市の動画の例のように、伝えることは簡単に、怒鳴りつけるように叫んで、行動を即す方法が適切だったのだろう。(参照




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災害の時は、リスクを正常に判断することが出来なくなる。

ハリケーン・カトリーナによる洪水の被害者は低所得層が多いと思われがちだが、実際には「移動手段が無かった」被害者は半数なのに対して、「ひどい嵐だとは思わなかった」と思い避難しなかった被害者が64%と最も多い。

高齢者は変化を好まない傾向があり、過去のハリケーンでの避難体験が悪かったこともあって、カトリーナの時には、明日は教会に行きたいなど、様々な理由を持ち出して避難を拒んだ例が載っている。
また、9・11の後には、長距離を移動する際に飛行機を利用する人が減り、明らかに事故に遭う確立が高い自動車での長距離の移動を望む人が多くなっている。
リスクを評価する時に、理性だけではなく感情にも従っているため正常な判断が出来ない。

東日本大震災では、
岩手県陸前高田市では堤防が出来て過信をしてしまい、防災教育が風化してしまったと伝えている。(参照
地震後に高台に避難したにも関わらず、しばらくして再び家や会社に戻ったため津波に飲み込まれてしまった例もあった。(参照

不安感から買い占めに走る行動も、その行動が適切なのかどうか判断出来なかったからだろう。


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後半:「生き残る判断 生き残れない行動」を読んで、東日本大震災の例と一緒に考えてみた(2/2)
「何一つとして正常ではない時には、平時とは異なった考え方や受け取り方をする。」


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