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2011年6月

2011年6月29日 (水)

Opera11.50 (Swordfish )にアップデート

Opera11icon

Opera 11.50登場 - 新UI採用とスピードダイヤル拡張 | エンタープライズ | マイコミジャーナル

Opera 11.50 (Swordfish)をさっそく使ってみた。ダウンロード

MacOSX 10.5.8 Leopard(*1)

いつもはクリーンインストールをして、新バージョンの安定性や体感速度を調べてみるのだけど、今回は設定ファイルその他を上書きしてインストール。
万が一の時のために、Opera.app本体と、設定やキャッシュの3つの "Opera"フォルダは圧縮してバックアップ。



(*゚▽゚)ノ イイ!



体感速度は2割増しくらい。

Opera11.10 から11.50 へのマイナーバージョン・アップとはいえ、レンディングエンジンがバージョンアップしたのが大きいのだろう。

いろいろと最適化された感じ。
Change Log

Speed Dialがただのサムネイル画像ではなくライブアニメーションを表示出来るようになったので、時針秒針が動くアナログ時計などが使える。

まだ数が少ないけれどもこれからに期待出来そうだ。(どこかに簡単な作り方とかないかな?)
(追記:自己解決。Opera Speed Dial エクステンション(拡張機能)の作成


Opera Linkでパスワードの同期も出来るようになったけれども、これは使わなさそう。それほどあちこちで使っていないし、パスワードがどう扱われているか分からないのでちょっと怖い。
設定を確認すると、デフォルトではオフになっていた。

その他、

メニューやキーボード設定をいくつかカスタマイズして使っているけれども11.10と変わりなし。
UserJSも問題なし。
機能拡張は、問題があるものは徐々に対応してくれるだろう。

スキンは、以前に痛い目を見たので11.50対応版が出るまではデフォルトスキンで我慢。

SpeedDialのサムネイル画像が、例えばウィンドウサイズを小さくしてから、画面いっぱいに拡大するとぼやけてしまうのはバグなんだろうな。

(追記:自己解決)
SpeedDialのサムネイルで、サイトの一部を拡大表示させないように設定したら治った。読み込みタイミングの問題だったかもしれない。
opera:config で、「Thumbnail Logo Score Threshold」と「Thumbnail Logo Score Banner」の数値を1000に設定する。



オフィスが節電される対策ネタ

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(*1)Snow LeopardはスルーしてLion待ち。

2011年6月23日 (木)

「日本はレアアースの3分の2を備蓄」という記事について調べてみた

Rareearthoxides
(wikimedia commons)

日本はレアアースの3分の2備蓄 - SankeiBiz(サンケイビズ)」という記事。

日本はレアアースの3分の2備蓄(2011.6.21)

 中国中央テレビは19日、業界関係者の話として、「米国はレアアース(希土類)備蓄量では、世界第2位で、世界の総資源量の約12%に上るが、 一貫して何とかして備蓄量を増やし、毎年中国から大量に輸入している」「日本はレアアースをほぼ100%中国から輸入しているが、輸入しているレ アアース資源のうち、工業生産には約3分の1しか使っておらず、残りの3分の2を戦略備蓄として保管している」と伝えた。

 同テレビによると、2009年末現在、中国で確認されたレアアース資源の埋蔵量は8396万トンで、推定では中国のレアアース埋蔵量は世界の 36%に上る。2010年の中国のレアアース製錬・分離製品の生産量は世界の91%、輸出は世界貿易量の90%に上った。

なんか変だと感じたので調べてみた。


この記事の元ネタは、中国中央テレビ(CCTV)が6月19日の朝のニュース「朝闻天下」で放送したもののようだ(参照)。

中国のレアアース業界再編に関しての特集番組で、一連のトピックス(参照)は、

三大央企暗战南方中重稀土(三大レアアース企業の重希土類をめぐる戦い)
谁在掌控稀土矿产资源 (誰がレアアース鉱物資源を管理しているのか)
工信部正制定稀土兼并重组方案 (工信部はレアアース業界の再編計画を画策)
工信部:不把稀土作讨价还价工具 (工信部:レアアースを駆け引きの道具として)
稀土并不“土” 物以“稀”为贵 (レアアースはただの“土”ではなく“稀”な貴重なものだ)
短评:关注我国稀土行业整合重组 (解説:我が国のレアアース業界再編への関心)
。(ちょっと意訳)

全部で15分ちょっとの特集。映像だけ見てもけっこう面白い。

解説の前の「稀土并不“土” 物以“稀”为贵」で特に日本について触れられている。(*1)

ここでは、中国のレアアースの産業利用の水準が低い(我国稀土资源利用水平低)という話から、米・豪・カナダ・日本などはレアアースの戦略備蓄を重視している(美澳加日等注重稀土战略储备)という話となり、1分45秒あたりから(最後の15秒だけ)日本中心の話になっている。番組の一連の流れを考えると、ここで言及されていると思われる。
(中国語のヒアリングはさっぱりなので、もしかしたら違っているかもしれませんが、)

とりあえずの結論。

日本に言及している部分とはいえ、SankeiBizの記事は、テレビニュースの本筋の中国のレアアース業界再編にはまったく触れていない。「中国のレアアース」に関連する複数の記事の一つというわけでもないようだ。

タイトルは「日本はレアアースの3分の2備蓄」。

15分の「レアアース業界再編」ニュースの中から本筋以外のごく一部だけを抜き出すのは、いろいろな点で疑問に感じる。

(追記2011/06/24)SankeiBizが24日に「レアアース企業 合併統合を推進」という人民日報の記事を紹介している。別紙なので、今回とりあげた記事とは直接の関係はないだろう。(追記ここまで)

それ以前に、その記事のタイトルと内容は正しいのだろうか?

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この「日本はレアアースの3分の2備蓄」という記事内容について中国語メディアの記事を調べていたら「40〜50年分を備蓄している」が一緒に使われているものが多いことに気付いた。

例えば、香港の明报は「真相惊人」コーナーで「日本囤积稀土够用50年」(日本は50年分以上のレアアースを蓄積)という記事で並べて書いている。他も似たりよったり。

その「レアアースの輸入の2/3を戦略備蓄し、40〜50年分を備蓄している」は本当なのか調べてみた。



「40〜50年分備蓄している」について。

昨年の9月はじめに「日本は20年分のレアアースを海底に備蓄している」という変な記事があり、それについて検証をしていたので、そちらを参照してみてください。

「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」 変な記事の背景
海底に20年分とはどこから出てきたか?
海底に「備蓄?」/「ためこむ?」 日本を狙い撃ちにした表現
中国メディアで転載・編集され、削除された部分

その時は、複数の中国メディアが、中国の「稀土(レアアース)の父」徐光憲 氏のインタビューや他のレアアース関連の記事を転載・引用していく過程で、元の発言の一部が削られたり表現が変わり、編集されていったことで、結果的に根拠のないものになったかもしれないと書いた。

また報道内容が、20年から30年、40〜50年と、根拠が示されないまま大きくなっていくことにも言及した。最初に「40〜50年」を見かけたのは、包鋼希土集団の匿名の関係者の言葉を載せた記事だったと記憶している(*2)。その数字を使っているのかもしれない。

徐光憲 氏の試算によると、日本は1995年から2005年までの10年間で利用量20年分を購入し、生産に使いつつ備蓄もしているのだそうだ。(参照
この試算から考えてみると、1995年から2005年までの備蓄量は、20年分の購入量からその10年を単純に引くと備蓄は10年分、2/3を備蓄したとすると13.3年分、実際には生産使用量はうなぎ登りに増え価格も高騰しているので備蓄に回せる分はもっと少ない。
その10年間での最大貯蔵量を13.3年分と無理矢理計算してみると、日本はその後の2006年から2010年のたった5年間で最大36.7年分のレアアースの備蓄をしたのだろうか?(*3) 日本すげー(笑)

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「日本はレアアースの3分の2を備蓄」について。

この中国中央テレビのニュースの元ネタは、2010年9月末にさかのぼる。
前述した「海底に20年分備蓄」(9月上旬)の検証記事を書いた後に出てきたもののようだ。

明报の記事を含め多くの記事で「《金融时报》の報道によると・・・」となっているので、一連の関連キーワードがいつから出現したか調べてみたところ、新浪网の記事などが引用している、中国中央テレビ(CCTV)の番組「环球视线」で9月29日夜に放送した「中国稀土 中国做主」(中国のレアアースは、中国が采配を振る)が震源地の可能性が高い。

おや?

これも中国中央テレビ(CCTV)じゃないか。

(動画のスナップショット)
Rees_china_ft_20100929

日本从中国进口稀土资源,只有1/3用于工业生产,其余的2/3都被作为战略储备来封存,中国收紧出口是出于战略的考虑。ーー英国的《金融时报》
(日本の中国からのレアアース輸入のうち、1/3が工業生産のためであり、残りの2 / 3が戦略備蓄として封印されており、中国は戦略的に考慮して輸出規制をする。ーー英国のFinancial Times)

前述した「所谓我国加强稀土出口管理传言遭西方误读」(所謂、中国のレアアース輸出制限強化について西側の見方は誤っている)(テレビニュースの書き起こし)より、

 客观地观察,日本国内时下并不缺乏可以使用的稀土。资料显示,从1983年起,日本就出台了稀有矿产战略储备制度,储备对象包括镍、铬、稀土等10种稀有金属。因此,据英国的《金融时报》报道,日本从中国进口稀土资源只有1/3用于工业生产,其余的2/3都被作为战略储备来封存。业内专家指出,目前日本保存的稀土资源甚至够用四五十年。
客観的に見て、日本国内ではレアアース(稀土)は欠くことの出来ないものとなっている。資料によると、日本は1983年に、ニッケル(镍)、クロム(铬)、レアアース(稀土)など10種類を対象とした希少鉱物(稀有矿产)の戦略的備蓄制度を始めている。英国のフィナンシャルタイムズ紙の報道によると、日本は中国から輸入したレアアース(稀土資源)の3分の1を工業生産に使い、残りの3分の2を戦略備蓄としている。日本が保全しているレアアース(稀土資源)は40〜50年分だと業界の専門家は指摘する。
(日本語適当訳)

「フィナンシャル・タイムズ紙が報道」と書かれているのだが、レアアースに関して該当する記事はFT.com、FT中文版ともに見つからず、言及している英文記事も見あたらなかった。
時期的に、FT紙による海江田大臣へのインタビューがくさいが、もしそういう事を言ったのなら間違いなく国内でも英文ニュースでも報道がされているだろう。

何か理由があって、FT.comから削除された記事なのだろうか?

もしご存じの方がおられたら教えてください。



他の部分について考えてみよう。

日本では、通商産業省(当時)の経済安全保障問題特別小委員会の報告に基づき、1983年度(昭和58年度)からレアメタル国家備蓄制度がスタートした。この部分は正しい。
しかし、対象品目はニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムの7元素であり、レアアースは含まれていない。
備蓄目標は国内消費分の60日分(国家備蓄:42日分、民間備蓄:18日分)だ。60年分ではない(笑)

2009年度に新規備蓄対象鉱種としてインジウム及びガリウムの2鉱種が追加された。レアアースは要注視鉱種(備蓄は必要ではないが注視し検討を要する鉱種)に含まれているので国家備蓄はされていない。
参照 pdf)(経済産業省)

そして、2010年10月1日に「レアアース総合対策」が策定され、レアアースの国家備蓄が行われるようになった(参照)。これはCCTVの報道の後の話。

参考資料:我が国におけるレアメタル備蓄事業の歴史(pdf)(JOGMEC, 2005年)

2009年までの話は、化学業界の話題さんとこの「レアメタルの国家備蓄拡充」に詳しく書かれている。



レアメタルは31品目47種類あり、その中にレアアースの1品目17種類が含まれている。日本でも勘違いされることがある。

CCTVの「中国稀土 中国做主」の内容を読むと、抜き出した部分だけでもレアアース(稀土)(稀土資源)と希少鉱物(稀有矿产)が混在しているのが分かる。稀有矿产 は希少鉱物と訳されるが、文脈から所謂レアメタルを示している。
このあたりで、レアメタルの数品目(レアアース以外)とレアアースががごちゃごちゃになってしまって「レアアースの備蓄が行われてきた」という表現となったのではないだろうか。

このCCTVのニュースが報道されたのが9月29日で、日本でレアアース総合対策が策定されたのが10月1日と非常に近い(事前にプレスリリースは出ていただろう)。
ニュースを見たり記事を読んだ人は、周辺情報と合わせて考え1983年まで遡って日本はレアアース17種類を国家備蓄してきたと感じても不思議はないだろう。

もしかすると、FT紙の報道もレアアース以外のレアメタルに関するものだったのかもしれない。

中国中央テレビの報道は、微妙な表現を使いながら、レアメタル(レアアース以外)とレアアースを混在させてミスリーディングを誘っているようにも感じられる。

中国は、レアアースの輸出制限をすることの正当性を、繰り返し繰り返し強調している。

2010年後半からは、違法採掘の摘発強化や、最初に書いたレアアース業界の再編など大鉈をふるっている最中だ。そこで、国内の規制強化に対する不満のガス抜きに使おうとしていたのだろう。

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(*1)短評の部分で言及しているかもしれない。

(*2)元記事のURLはメモっていなかった。

(*3)さらに無意味に、10年間で購入した全てのレアアースを備蓄に回したとしても、2006年から2010年の5年間で20〜30年分のレアアースの備蓄をしたということになる。書いてみたけど、意味不明(笑)

(*4)個人的には、また、中国メディアが変なデータ解釈をして、コピペコピペで広めてるのか、という気分。

メモ
ここは公平に、中国の言い分が全面的に正しい場合も考えてみよう。
東京電力と原子力村じゃないけど、日本政府とJOGMECも事実を隠蔽していると考えてみよう(笑)
実は、日本はレアアースの大量の戦略備蓄をしていて、それは40〜50年分あるのかもしれない(笑)

それが事実だったら、どれほどの国益となるだろうか(笑)
こういう隠蔽情報なら大歓迎なんだが(笑)

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2011年6月15日 (水)

Opera(Mac)、〜日以上古いファビコンを自動で削除する小ネタ

Opera(MacOSX)の小ネタのメモ。

ブックマークが肥大化したり読み込むファイル数が多くなると、Operaの挙動がもっさりとしてくるし、不安定にもなるようだ。
ところがファビコンは溜まる一方で、あちこち閲覧するので放置していると数千ファイルとなってしまう。

opera:configでの設定は、表示するかしないかの二択なのが残念なので、〜日以上古いファビコンだけを自動的に削除させてみた。

MacOSXの機能を使用。

find /Users/USERNAME/Library/Caches/Opera/icons/* -type f -mtime +5  -exec rm -f {} \;

USERNAMEは適宜修正。

-mtime +5 は5日前よりも古いファイル。

ゴミ箱経由ではなくダイレクトに削除されるので、フォルダの設定には充分に注意。

ApplescriptかAutomatorで組んで、アプリケーション保存し、DSW (Do Something When) で(参照)、Opera起動時に立ち上げるように設定。

巡回先のファビコンは定期的に新しくなって、〜日以上行っていないサイトのファビコンは削除される。
ツールバーに登録しているサイトは、ファイルのプロパティを弄って数年後にでもしておくとか出来るかな?





夏の節約小ネタ

サイズは「約30×9.5×33.5cm」とけっこう大きい。
単一電池を8個使うので、エネループだと単三→単一スペーサーも必要。
8時間は保つらしい。
詳しくはAmazonの製品レビュー欄、いろいろ書いてくれている。

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2011年6月14日 (火)

「日本人は誰も気付いていない在留中国人の実態」読了

日本人は誰も気付いていない在留中国人の実態日本人は誰も気付いていない在留中国人の実態
千葉 明

彩図社 2010-07-10
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ネットだったかメールだったか、どこかで薦められた積ん読本。書評

本書では「在留中国人とは、どんな人たちなのか。また、どこから来て、何をしているのか。それはなぜなのか」を、統計データの裏付けによって読み解いている。
著者は、外務省に入省し在中国日本大使館や国際報道官等を経て、法務省入国管理局に勤務していた。

このジャンルの書籍は、変に感情的だったり、過剰に感傷的だったり、時には偏見で書かれた本を見かけるので、あまり友達には奨められなかった。

本書は一読の価値あり。



在留外国人は、2009年末で219万人で、総人口の1.72%を占めている。
中国人は68万人とその30%。2000年頃から急激に増え始め2007年にはそれまで最も多かった韓国・朝鮮を抜いている。

Transition_of_foreigners_in_japan
wikipedia

在留中国人の居住地域は、東京都の23%を筆頭に首都圏だけで44.4%を占め、次いで、大阪府7.3%、愛知県6.9%となっている。この傾向は他の在留外国人と大差はない。

中華街・チャイナタウンと言われるように(*2)同国人や出身地域で集まりがちで(横浜中華街や神戸南京町のように明治時代以来の地域は別格としても)、日本各地でも似た傾向があるだろうと思っていたが想像していた以上に出身地域に偏りがあった。

出身地は、遼寧(16.0%)、黒竜江(10.6%)、吉林(8.3%)と東北地方(旧満州)が多く、台湾(6.5%)や対岸の福建(9.1%)など日本と縁の深い土地の出身者が多い。
さらに、居住県によってけっこう偏りがある。
例えば、長野県では全中国人登録者のうちの62.1%、福島県では56.3%が東北地方出身者と際立っている。とくに富山では43.9%とほぼ二人に一人が遼寧の出身者となっている。


中国の東北地方出身者というと、いつも楽しく読ませてもらっているKEUMAYAさんとこの「中国嫁日記」ブログ。
若奥さんの月(ユエ)さんは遼寧省瀋陽市、外国語学校の王先生は遼寧省大連市の出身。

日本にお国柄や県民性があるように、中国でもお国柄(省民性?)がある。

中国・東北人の「熱しやすく冷めやすい」(参照)、「言ったことは曲がらない鋼の東北人(ドンベイレン)」(参照)な様子が、面白くも微笑ましく描かれている。
また、「第三の隣人 中国朝鮮族」さんとこの「中国東北女性の生態学パート2」では「面白く、正直であり、率直であり、素直であり、家族思いであり、働き者であるが、頑固である」とあり、「東北人は日本には水が合うためか、定住化が進んでいくように思える」と書かれている。

13億人の人口の国民を何となく「中国人」とイメージするのはナンセンスだし、「〜出身の中国人」と相手を知った上で、さらにその人となりを知れば対応の仕方も変わってくるのではないだろうか。


ただ、心配な事もある。

岐阜県では江蘇の出身者が26.1%と高いのは、どちらも繊維産業が盛んなので研修や技能実習での来日が多いからだそうだ。
一方、イタリアのトスカーナ州プラートは伝統的な繊維産業の地だったが、中国人住民(不法滞在者含む)による安価な衣類の加工基地と変貌し、産業の転換を余儀なくされたり違法行為が目立つという。(参照)(参照)。

どこが同じで、どこに違いがあるのか見極めた上で、同じような問題が起きないように気を付けなければいけない。

そういえば、何年か前、池袋駅周辺に新しいチャイナタウンが出来るのではないか、というニュース(大手メディアでは報じなかった?)があった。(参照
本書もそれについて触れており、派手な反対運動とは別に「地元の商店街の意見で比較的多いのは、町のルールを守り町の一員として行動するからになってからにして欲しい」と書かれている。(*3)
(ただし華僑紙(日本国内で発刊されている中国人向け新聞)の記事なので、在留中国人に向けたメッセージにもなっているのかもしれない。)



その他、華僑紙から在留中国人の本音を描こうとするとともに、広告欄などからかいま見える裏側の社会、道を踏み外す人々についても書かれている。

本書で紹介されている「新宿インシデント」。(オフィシャルサイト)(wikipedia
主演:ジャッキー・チェン、竹中直人 (R15指定

予告篇・香港版(日本版よりかなり激しい)



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最終章では、中国といかに向き合うかを考察している。

目指すべきは国益の一致であり、かつて亡命生活を送っていた孫文のように、在留中国人の中から将来の中国を引き継いでいくような人材を多く見いだす「質的思考」への転換が重要だと書いている。

ちょっと理想主義的だし、企画書の〆の大風呂敷とも感じられたが、単に労働力の確保や観光客数の増加といった量的な思考ではなく、「在留外国人を知日派として育て上げていくべき」という質的な提言は、(未来の孫文はともかくとして)同意できる部分もあり、現実的に見つつ考えるべきだろう。



メモ
本書で使われている法務省の入国管理局−統計−は、数字を弄ってグラフを作ってみるといろいろと面白い。
例えば、(日本の)東北と北海道は他地方に比べて若い女性の比率がかなり高いとか、神戸南京町がある兵庫県では高齢者の割合がかなり高く定住化・安定化が進んでいるとか。


(*1)入国管理局−統計−(法務省)
(*2)日本人も日本人街を作るが、中国人は特に集住性が高いようだ。
(*3)そこんとこ個人的にも、ちょっとマイルールな人が多いように感じている。そして目立つ。
  言われなければやらない、とか、言われても納得出来なければやりたがらない、とか、まあいろいろ。納得させるのがちょっと手間。
(*4)「新宿インシデント」は未見。ジャッキーの映画でカンフーがほとんど無いという所で、あまり見る気が起こらなかった。そろそろ見てみようか。



中国人のリアル~恋愛事情から、お騒がせ大国を「ゆるく」論じてみた中国人のリアル~恋愛事情から、お騒がせ大国を「ゆるく」論じてみた
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2011年6月13日 (月)

村上春樹:「カタルーニャ国際賞」受賞スピーチ|動画+全文

「カタルーニャ国際賞」受賞スピーチ・ノーカット2/4
「カタルーニャ国際賞」受賞スピーチ・ノーカット3/4
「カタルーニャ国際賞」受賞スピーチ・ノーカット4/4

村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(上)
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(下)


カタルーニャ国際賞・オフィシャルサイト:
Premi Internacional Catalunya - Generalitat de Catalunya

Haruki Murakami recibe el Premi Internacional Catalunya
El jurado concedió el galardón al escritor japonés “por construir un puente entre Oriente y Occidente”

Discurso de Haruki Murakami(PDF)

スペイン語ページに載ってるから、スピーチのスペイン語訳・・・かと思ったらカタルーニャ語だった・・・
さすがカタルーニャ(参照


(追記2011/06/14)
「1Q84」の第4巻が書かれるかもしれません。
スペインの新聞、La Vanguardia紙に載った村上春樹氏のインタビュー全訳 | 地中海ブログ
La Vanguardia紙の元の記事 "Mi novela '1Q84' quiere describir todo lo que existe"

関連リンク

ELPAÍS紙:"Me gustan Mahler y 'Los Soprano" · ELPAÍS.com
Público紙:Murakami gana el Premi Internacional Catalunya - Público.es
RTVE(ニュース動画):El escritor japonés Haruki Murakami recibe el premio internacional de Cataluña Ocio y cultura - RTVE.es

関連記事
雑誌「考える人」 ロングインタビュー 村上春樹|松家仁之、読了




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2011年6月10日 (金)

「災害時でも略奪が起きない日本」という海外メディアが伝えた記事とその背景、まとめ。その3:考えてみた

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前記事:
「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その1:まとめ
「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その2:事実確認


今回、「災害時にも関わらず日本では略奪が起こっていない」という海外メディアの報道は、日本時間の地震翌日、現地時間の3月11日には出ていた。
例えば、TheNewYorker誌のNicholas D. Kristof氏は11日(米国東部時間)のTHeNewYorker誌に "Sympathy for Japan, and Admiration" という記事を書いている。TheEconomist紙のKenneth Cukier氏は現地レポート[The tremors in Tokyo] を書くとともに、米国PBSの11日夜のPBS NewsHourにSkypeを使って出演し「(略奪行為は) -- never, never in Japan」と言っている。

3月12日のCNNの「列を作る日本」記事は話題になったので知っている人も多いだろう。
(Orderly disaster reaction in line with deep cultural roots:参照

一方、日本の大手メディアが、被災地での治安悪化を最初(?)に報道したのは3月15日(読売新聞)だが、3月13日の読売新聞紙面でCNNや中国メディアの報道が紹介されている(参照)。
BBCは、3月18日の記事「Why is there no looting in Japan after the earthquake?」の末尾で47NEWSの記事をあげて looting が起こっている可能性に触れている。(*3)

地震直後の海外メディアの報道のほとんどは、東京に居るジャーナリストや特派員の声を伝えたもので、地震直後の首都圏の様子や帰宅難民、被災地でも比較的に被害が少ない地域の声を集めたものだったのだろう。(仙台の

今回の震災では、海外メディアの記事の酷さが日本在住の外国人や在外の日本人から指摘されている。(参照)(参照

国内ですら事実確認が出来ずに情報ソースの確認に躍起になっていたのに、在京の記者が充分な情報収集をしていたとはちょっと考えにくい。
パニクっていた記者もいただろう。(人にもよるが、外国人、特に来日して日の浅い欧米人の地震の恐がり方はオーバーすぎると感じる。世界の終わりが来たのようなパニクり方されると、見ているこっちが(どう対応しようか)不安になってくる。)


多くの報道関係者が被災直後に来日し、津波被災地にも入っている。

優秀なジャーナリストはバランス感覚が優れていると思っている。
彼らも人間だし、日本という先進国で起こった甚大な被害を、文字通り目の当たりにして、その悲惨な記事の中に安心出来る内容を含めたかったのかもしれない。

東日本大震災では、津波被災地でもその被災規模に対して略奪行為はとても少なかった。

目の前で起こっていたりインタビューで聞かなければ、限られた時間の中でわざわざ略奪の例を探すのは取材のパフォーマンスが悪そうだ。
すでに報道されていた「災害時でも略奪をしない、礼儀正しく秩序ある対応をする日本」というステレオタイプなイメージを覆すために、被災地の悲惨な状況で犯罪例を積極的に掘り出そうとはしなかっただろう。
特徴的なのが(前述した)TheNewYorker誌のNicholas D. Kristof氏の記事だ。(参照)(クーリエ・ジャポン2011年5月号(参照)に邦訳がある)の中で、阪神大震災で起きた地震後の犯罪をとりあげ、目撃者の「誰が日本人だと言いました?外国人でしたよ。」という言葉をわざわざ書いている。(*4)

多くの点で、ハリケーン・カトリーナによる洪水の時のニュオーリンズ市の治安状況についての米国メディアの報道姿勢とは違っていた。
マスコミの報道で怖いのは一部の事実がセンセーショナルに取り上げられ、繰り返し流されて事実以上の状況になっていると錯覚されることだ。現在では、さらにネット上でも増幅されてしまう。

今回は、事実以上に喧伝される事はなく、更なる治安の悪化も引き起こらなかった。

そしてその状況では、施政者が「被災した住民がパニックを起こすかもしれない」と考えて過剰反応をしてしまう「エリート・パニック」は起こりにくいだろう。被災者が冷静に行動することを信頼することが出来る。

その後、被災地の状況を日本メディアが報道し英語でも報道された。
「略奪が起きない(no looting)」から「略奪が少ない(little looting)(less looting)」という様に表現が変わったが論調はあまり変わっていないようだ。(参照)(*5)
地方紙のシカゴ・サンタイムス紙の記事 [But there was looting in Japan] などがある。

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「なぜ日本では略奪が起きないか」、いろいろと難しい解釈がされている。

「GAMAN(我慢)」が流行語大賞になりそうな勢いだ。その後も、福島第一原発事故の政府の対応に対して「我慢しすぎ」という記事もあった。
執筆者の思想やその国の社会状況にあわせてアレンジされているが、日本社会の伝統や文化的背景による精神論や、コミュニティの力というものが多く感じる。
総括すると、自然災害という圧倒的な外力に対して、「我慢」や「仕方ない」という精神作用やコミュニティの社会的結束などで守りを固めている日本という視点だろうか。


海外メディアの記事や掲示板の書き込みを読むと、ハイチ地震やハリケーン・カトリーナによる洪水の際の治安の悪化が引き合いに出されている。
英国メディアでは2007年の中西部の洪水もある(参照)。

ハイチはハイチ地震の前から最貧国であり、大統領府が崩壊する激甚災害の後では政府や社会への信頼感はかなり弱かっただろう。

ハリケーンカトリーナの洪水によるニューオリンズの場合は、救援や支援が遅れたことで状況が悪化したが、治安悪化の背景には米国の地域社会での経済的格差と人種差別があった。
米国メディアが偏向報道をした結果さらに悪化したそうだ。

ちなみに、カトリーナの例は米国での略奪の例とされる事が多いが、「こころと脳のサイエンス 03 (別冊日経サイエンス) 特集1:災害時の行動と心理」によると、ほとんどの略奪行為は食料や水を購入しようにも決済システムが機能していなかった為に行われたものだと書かれている。しかし一部の地域住民(主に白人)や自警組織は一方的に「利己的な略奪者。犯罪者。」とみなして発砲していたそうだ。(「災害ユートピア」レベッカ・ソルニット著。またはTheNation紙の同氏の記事[Reconstructing the Story of the Storm: Hurricane Katrina at Five])

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「サービスできないドイツ人、主張できない日本人」の中でドイツ在住の川口マーン惠美氏は
 「(日本に着くと)何より心地良いのは、攻撃されるかもしれないという警戒心を持たなくてよいことだ」
と書いている。
確かに海外では、緊張していなければいけない、という感覚があったしそれに慣れてしまっていた。

「日本」では、自己の外側の社会環境への無意識の信頼感が諸外国に比べて強いのだろう。

特に、物質面、ハードウェア面での信頼感が強いようだ。

時刻表通りに来る各種交通機関は「当たり前」(日本の常識・世界の非常識)で、地下鉄で居眠りだって出来る。社会インフラへの信頼感が(政府や政治家への信頼感はともかく)とても強い。
郵便や指定時間配達を無料で行う宅配便など流通システムへの信頼も強く、コンビニなど小売チェーン店でのサービスの質も良い。

これらは、基礎工事や鉄筋の本数、筋交いや耐震金具等を組んできた耐震基準の厳しい日本の建築物のように感じる。
今回、マグニチュード9.1の巨大地震が人口密集地の近くで起きたにも関わらず、これだけの被害で済んだのは日本の建築物の耐震性が高いという指摘がある。

防災教育の量も質も高く、自然災害の時に救援や支援が行われる事への信頼感も強いだろう。
首都圏では、震災直後の帰宅難民・交通渋滞は大変だったが今を凌げば何とかなると予想をした人は多かっただろう。(*6)
その状況では、人種差別や経済格差による不公平な物資の分配はされにくいだろうし、店舗の打ち壊しに発展するほどの悪質な便乗値上げはなかったのではないだろうか(*7)。

日本では、その安定した状況がとても長く続いてきたことで「当たり前」なこととなった。

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しかし、建築物も設計された耐震基準値を超えると壊れるように、その信頼感が裏切られた(と感じる)時には壊れやすくなるだろう。
また、そういうサービスや支援は公平に与えられないと自覚したり錯覚している人や集団は、その社会環境への信頼感はあまり高くないかもしれない。


「衣食足りて、礼節を知る」と言う。

それでも津波被害が大きい被災地では、その衣食が足りなくなったため、礼節を重んじる前に水と食料の確保を重視しなければならなかった場合もあったのだろう。それら地域の人は、いろいろな意味でこれから大変だと思う。(*8)


さらに、たがの外れた人々が火事場泥棒に走ったようだ。安普請だったり手抜き工事だったのだろうか。
これらの犯罪行為については、県警による捜査や、河北新報や石巻日々新聞など地元報道機関が調査をし報道することだろう。期待している。



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(*3)theAtrantic紙の記事[Why No Looting In Japan? Ctd] の読者コメントにも触れているが、そのコメントはまず首都圏での所謂「東京電力のふりして押し入りレイプ多発」というデマの可能性が高い情報を提示し、阪神大震災の際のレイプ報道(一部のマスコミ報道された事例はその信頼性に問題が多い(*))を持ち出しているので、やや思想的であり信頼性に疑問を感じる。
(*)『物語の海、揺れる島』与那原 恵著の検証記事、参照。その概略のまとめ

(*4)被災者が、地震後の犯罪例をあえてよそ者のせいにしている可能性は無視している。

(*5)事実が報道されるにつれて、海外メディアの論調が変わるのではないかと心配していたが杞憂だった。

(*6)先日のNHKクローズアップ現代「“帰宅できない” 〜どう備える首都直下地震〜」によると、頑張って帰宅しようとするとかえって危ないとまとめられていた。

(*7)便乗値上げはあった。

(*8)もしかすると何年も経って、それら略奪行為が行われた店の店主に対して、加害者の誰かが深く詫びて代金を支払うという「美談」がニュースになるかもしれない。



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「災害時でも略奪が起きない日本」という海外メディアが伝えた記事とその背景、まとめ。その2:事実確認

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前記事:「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その1:まとめ
次記事:「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その3:考えてみた

事実確認と判断材料を増やすため

地震とその後の津波によって大きな被害を受けた地域でいくつかの略奪行為があったことが報道されている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本語版の記事「震災被災地、やむにやまれぬ略奪が増加:参照」がよくまとまっている。英語版も内容はほぼ同じ。

また、ナショナル・パブリック・ラジオ放送(NPR)の記事は津波被災地の状況をよく取材している(In Japan, Scenes Of Much Destruction, Little Looting:参照)。
(*1)

国内の報道では、読売新聞(「卑劣」…宮城で震災に便乗した窃盗40件:参照)や中日新聞(略奪相次ぐ、石巻署が警戒 貴金属やレジの現金、食料品 :参照)による被災後数日間の事件、3月22日までに気仙沼市の信用金庫から4000万円が盗まれた事件(3/22)(参照)が、ネット上ではよく参照されているようだ。(*2)

いろいろな報道や資料、被災者の言葉を読むと、略奪行為が起こった場所にはいくつかホットスポットがあったように感じられる。
被害額や被害点数の大きな数件の犯行に注目が集まることで、他の多くの事件でも同等の被害があったと誤解されているようだ。

宮城県警と福島県警の報告もそれらの事件報道の一部を裏付けている一方で、デマも非常に多かったことが分かる。



・宮城県警

防犯だより(2011年3月19日付)(参照 pdf)によると「店舗や事務所等で商品や現金を盗む事案」「戸建て住宅等の建物内に侵入する事案」「駐車中の車両からガソリンを抜き取る事案」が把握されており、中には「白昼に大勢の者が店舗に侵入して商品を盗む事案も発生」していると書かれている。
地域安全ニュース(3月31日付)(参照 pdf)では、3月11日から15日までの5日間で、空き巣が約70件、出店荒しが約80件、非侵入窃盗が約120件、発生している。
(*注)出店荒し・・・閉店中の店舗に侵入し金品を窃取するもの。 | 非侵入窃盗・・・窃盗犯のうち、侵入盗に該当しない犯罪の総称。ひったくり、自動車盗、自転車盗、自販機狙い、車上狙い、万引き、置き引き、すりなどが該当する。

地域安全ニュース「きずな」(4月24日付)(山椒 pdf)によると地震発生後10日以内の自転車盗や出店荒しは増加したが震災後1ヶ月間の刑法犯認知件数は減少している。
侵入盗は、前年同月が233件(うち住居対象が116件、その他が117件)で、2011年3月は293件(うち住居対象が95件、その他が198件)。地震後の5日間で70件の空き巣があったが、むしろその他の期間の空き巣はわずか25件であり激減していたことになる。

一ヶ月間の店舗の出店荒らしは前年同月に比べ87件増の124件(参照)で、前年同月の出店荒しは37件。地震後5日の出店荒しは80件なので、その他の期間の出店荒しは44件であり前年同月と比べてもやや多くなっている。(後で、報道記事をもとに実例を検証)
空き巣と出店荒し以外の侵入盗は、2010年3月は80件、2011年3月は74件(概算値)とあまり変化がない。

地域安全ニュース「きずな」(4月2日付)(参照 pdf)では「被災地で強盗が多発しているという届け出はない」など被災地での犯罪に関するデマに注意を呼び掛けている。

石巻警察署の「広報・石巻(平成23年5月号)」(参照 pdf)には「警察官が殺された」「女性への強制わいせつ事件が発生」「外国人グループの悪質な犯行」といった凶悪な犯罪は起きていない。むしろ身近な犯罪に注意を呼び掛けている。

(空き巣として通報したら家人だったという例があるが、通報後に取り下げられた例は計算では考慮していない。若干の数値の食い違いがそれにあたるのかもしれない。)

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・福島県警

福島県警によると、2011年の刑法犯の発生件数は、非侵入窃盗の発生は3月中に144件(前年同期比+29件)で、震災後、県中、いわき方部で増加(被災地におけるガソリン抜き取りなど)、空き巣は3月中に86件(前年同期比+38件)で震災後の認知では県内の約7割が浜通り(太平洋沿岸地域)で発生している。(参照

性犯罪の認知は、強姦・強制わいせつは減る一方、前兆事案は、認知、検挙・警告ともに増加(積極的な情報の吸い上げによる)したが「避難所やその周辺の性犯罪の認知はない」。(参照 pdf


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・岩手県警

岩手県警の統計情報(安全・安心マップ)は全体的な集計には使いにくすぎる。参照する気を無くした。

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「略奪」の例として多く引用されていた読売新聞(2011年3月15日)の「「卑劣」…宮城で震災に便乗した窃盗40件」の記事を考えてみよう。

 東日本巨大地震後、宮城県内のコンビニ店やホームセンターで夜間、窃盗事件や窃盗未遂事件が相次いでいる。県警は震災に便乗した事件とみており、14日午後2時の時点で把握している事件は40件に上っている。
 県警によると、震災被害が大きかった仙台市の都市部を管轄する仙台東署管内では、19件の窃盗や窃盗未遂事件があった。塩釜署管内では6件、津波による被害が甚大だった南三陸町でも1件が確認され、被害総額は164万4376円。うち現金被害は124万8000円で、大崎市古川のホームセンターでは13日夜から14日にかけ、非常口の窓ガラスが割られ、現金約90万円が入ったレジ3台が盗み出された。
 また、物品被害は482点(計39万6376円相当)で、美里町のコンビニ店では12日夜〜13日にかけ、缶詰や乾電池、レトルト食品など約400点(計27万円相当)が盗まれた。
(一部引用)

この記事によると、物品被害は482点(482件ではない)で、美里町のコンビニ店で約400点が盗まれている。つまり数字は大きいが、被害点数の83%、金額の68%がそのコンビニの事件。
残りの物品被害は82点で、事件1件あたりの平均物品被害点数は2点となり「略奪が多発」と見るのはちょっと厳しそうだ。


では、美里町ではそれほど酷い被害状況だったのだろうか?

ツイッターの書き込みからは美里町の周辺住民による大人数での略奪の兆候は感じられない。3月12日には、河北新報の朝刊が届けられている。(参照
「美里町(小牛田)は震災後ドラックストア、コンビニ、スーパーなどが外で食料、日用品などを売っていました」と書かれている。(参照)。

被害品目は缶詰や懐中電灯、レトルト食品で、ATMやレジの被害は記事には書かれていない。
400点で被害額が27万円相当、1点あたりの平均金額は675円なので記事中の被害品目だけでは計算が合わないことから、生活必需品でない高額商品(タバコのカートンや酒類?)も盗まれていたと考えられる。
被害点数が約400点(買い物カゴ10数個分?)と多いことから、車を使った(他地域から?)少人数の集団による確信犯的な「略奪」なのかもしれない。

南三陸町の事件や大崎市古川のホームセンターの事件は明らかに現金狙いの犯行で、他地域でも、気仙沼市の倒壊した信用金庫での4000万円の盗難など火事場泥棒が怒っている。


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もちろん、関係者が被災するなどして届け出のない被害があるはずだ。

実況見分に立ち会う余裕が無くうやむやになった例もあるだろう。
現金以外の被害額があまり大きくないので、WSJ紙が例として載せているビール工場の被害などは、地域での企業イメージも考慮して津波被害としてまとめ通報はされていないのかもしれない(未確認)。

被災1ヶ月間の被害は、その通報内容の真偽は別として、警察で集計された被害額が報道されている。

朝日新聞の「被災地で出店荒らし・空き巣…窃盗被害計1億円 宮城」(参照)によると、宮城県警が発表した地震後1ヶ月間の被害総額は約1億円で、現金被害は約7500万円(現金以外の被害額は2500万円相当)。
現金被害のうち気仙沼市の信用金庫の被害が4000万円で、その他の事件の現金被害が約3500万円。
現金以外の被害は2500万円相当だが、中日新聞の記事によると、石巻市の高級衣料品店での被害が現金10数万円を含む2000万円以上なので、他の事件の現金以外の被害額は500万円。件数の割に被害額があまり多くない印象を受ける。

被災後の生活に重要な現金被害は届け出が多かったのかもしれない。
あるいは南三陸町の事件のような、被害総額164万円強(うち現金被害は125万円弱)といった現金の窃盗が主目的の火事場泥棒が多かったのかもしれない。
いろいろな可能性が考えられるが、根拠無く曖昧すぎるのでこのくらいにしておきたい。

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まちBBSという地域掲示板の「みんなで仲良く石巻を語ろう」スレッドでは、石巻の周辺住人や出身者などによる書き込みが多くされている。震災後、デマや、未確認の救援依頼情報が書き込まれると、それをたしなめる書き込みがいくつも見られる。

みんなで仲良く石巻を語ろう53回」が、3月11日を挟んだもので3月14日まで続くが、そこでは被災状況、安否情報、救援情報がほとんどで治安情報はほとんど見られない。
治安悪化の情報は、「『石巻周辺に家族や友人がいる関東やその他の地域の住民』による伝聞情報」が多く、全国報道のあった3月15日以降に急速に増えていく。

みんなで仲良く石巻を語ろう54回(3/14〜3/21)に治安悪化の書き込みをした人のIDから居住地を検証した結果「東京、福島、武蔵小金井、埼玉?、仙台、神奈川」が確認された。
報道や伝聞情報をそのまま書き込んだと思われるが、中には首都圏の治安情報と一緒にして被災地の治安悪化を書くものも見られる。中には明らかなデマや扇動と思われるものもある。

その状況が次の週末(20日)頃まで続き、現地の住人らしき人が具体的な店名などを出してきたことで、まとめに入って収束したように感じられる。
どこまで信頼出来る情報なのかは自分で判断してみてください。

ツイッターでは、デマとそのリツイートや安易な拡散情報が非常に多く、確からしい情報を抽出する事が難しい。居住地の確認が難しい人も多い。
ただ、全国報道のあった3月15日以前に治安の悪化に関するツイートは比較的に少なく、そのうちのいくつかは扇動的なデマや過剰な注意喚起だった。



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前記事:「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その1:まとめ
次記事:「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その3:考えてみた

(*1)国内メディアは、警察発表の報道ばかりで踏み込んだ調査報道は見られない。ところで、地震直後に略奪がないと報道していた海外メディアや記者はその後に確認された事例についてコメントしたのかな?

(*2)破壊されたコンビニATMの撮影画像がいくつかあるが、犯人は何人でいつどういう状況で破壊されたか曖昧さを残している(少人数での火事場泥棒とは区別すべきと考えている)。





「災害時でも略奪が起きない日本」という海外メディアが伝えた記事とその背景、まとめ。その1:まとめ

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東日本大震災直後、海外メディアで「災害時でも略奪をしない、礼儀正しく秩序ある対応をする日本」という報道が多くあった。

いろいろな人が書いているし今さらな話と思うけれども、ちょっと調べたことや考えたことのメモ。
(備忘録も兼ねているのでダラダラと・・・)

「略奪」という言葉の意味や日本での使われ方、「略奪」と「火事場泥棒」を混同しないという点については、以前の記事で書いたのでそちらを参照してみてください。



簡単なまとめ

東日本大震災では略奪行為が全く無かったわけではないが、被害の規模に対してかなり小規模で限定的だった。

海外メディアの「災害時でも略奪が起きない日本」記事は、報道された時期から、まず首都圏の地震直後の様子や帰宅難民の様子を、その後に東北の津波被災地のレポートをしている。
論調は、自然災害という圧倒的な外力に対して、「我慢」や「仕方ない」という精神作用やコミュニティが結束している日本という視点が多いようだ。

日本では、社会システムやサービスに対する無意識の信頼感が強い。特に物質面で強い。
公共交通機関や電気、ガス等インフラに対する信頼感が強く、流通システムやコンビニなど小売チェーン店のサービスの質も高い。
防災教育や関連情報も多く、ちょうど建築物の耐震基準のように、自然災害に対しての耐久性は社会全体で高い。

津波被害地でも、被害の規模に対して略奪行為は非常に少なかった。それは物質面での不安感が薄い事と自然災害の際の支援が受けられることへの信頼感が全体的なモラルを底上げしていたからではないだろうか。
地震後の首都圏は、暴動や略奪行為に及ぶほどの状況には無かった。



重要なのは、そういうイメージが実際的にどう影響するか。

「災害時でも略奪をしない、礼儀正しく秩序ある対応をする日本」というイメージを持たれる事は有利な点が多い。少なくとも国際的にも世論の同情を得られやすいだろう。
逆に、国民性ジョークで悪いイメージを持たれている国は、それが文化や習慣によるものであっても払拭するのは大変だろう。

評判が落ちないようにする労力とコストは、評判が落ちてから汚名挽回するよりもはるかに少なくて済む。

事実を明らかにして考えることは重要だが、自虐的に(日本人がよくやるように)、わざわざ悪いイメージを主張する事はない。
それはそれとして(面接のアドバイスじゃないけど)本音はいきなり表に出さず、自分の良い部分は胸を張ってアピールすべきだろう。

禁煙宣言のように自分の意見として表明することで、それを守ろうとするモチベーションともなる。



「安全神話」と呼ばれるものが多いが、例えば「新幹線の安全神話」と「原発の安全神話」は内容がかなり違っている。
「新幹線の安全神話」の方はそれを裏付けるだけの実績と関係各社の良い仕事の積み重ねの結果だと感じている。

それを「事故は起きない」「略奪は起きない」と頭から信じて、起こさないための予防(起こった時の対策ではない)やリスク管理を怠ったら、近いうちに「『災害時でも略奪が起きない日本』という安全神話」の崩壊を目にすることになり、被害も拡大するだろう。(*)自分が当事者になるかもしれない。



続く・・・

「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その2:事実確認
「災害時でも略奪が起きない日本」という〜 その3:考えてみた





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メモ

相変わらず、アクセス数に関係しそうにないものばかり書いているなあ(苦笑)

東日本大震災では、その災害規模に対して略奪行為はとても少なかった。

正直なところ、なぜ日本社会はそうでいられるのかいろいろなキーワードを思いつくけれども、あまり考えがまとまっていない。

こう、もやもや〜っとしてて、自分の中で「略奪は起こりうる」という不安感と理性がせめぎあっている感じ。
3ヶ月経つしいつまでも引きずっていられないし、人に説明する為に文章にする過程で考えがまとまることはよくあるので書いてみた。



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