28日(第三次潜水試験)の中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」
(蛟竜号)
7月28日に、中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」の第三次潜水試験が行われ、水深5188mまで潜ったそうだ(参照)。
前記事で、第一次と第二次潜水試験の入水時と出水時の写真に違和感を感じた事を写真付きで書いたが、第三次試験ではどうだったのだろうか?
前の記事:中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」で起きていたトラブル
追加記事まとめ:「中国の有人深海探査艇「蛟竜号」関係の記事、まとめ」
第三次潜水試験では、海面に下ろされた後の動画が公開されていた。
今回の「蛟竜号」のミッションで、最も評価されるべき所は情報公開が非常に多くされていたところだ。
速報記事も多く、写真や映像も多く公海されていた。
変に隠そうとしたり誤魔化そうとするから余計に国民に反感を持たれるのは、中国高速鉄道の事故の例から明らかだ。
こういう姿勢は、国際的にも高く評価されることだろう。
(動画)
水下实拍蛟龙号第三次入水下潜|蛟龙号5000米深潜
「水中撮影・蛟竜号の第三次潜水|蛟竜号は5000mまで深く潜る」
この映像では珍しく、水面から潜っていく蛟竜号が写されている。
また、これまでの写真や映像は蛟竜号の左舷ばかりだったが、この映像では右舷の様子が分かる。
前の記事では、詳しい報道がないから分からないと書いたが、その構造材の表面の塗装あるいはコーティングが広い範囲で剥がれてしまったようだ。
右舷でも同じように剥がれてしまっている。
第一次潜水試験で、左舷の「蛟龙」の「龙」の文字にあたる部分の塗装あるいはコーティングが剥がれていた。
左舷では、第二次潜水試験前に塗り直して出水時にも大丈夫だったようだが、右舷では、「蛟」の部分が剥がれ塗り直した事が分かる(船体の他の部分と色が違う)にも関わらず、第三次潜水試験の入水時にまた剥がれている。
蛟龙号の骨組みは、しんかい6500と同じように、海水に腐食されにくいチタン合金製だそうだ(耐圧殻もチタン合金製)。
いったいぜんたい、蛟竜号の塗装の耐久性はどうなっているんだろう?
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潜水試験後に塗装あるいはコーティングが剥がれ「蛟龙」のロゴが書き直されていた
さらに、両舷の船尾付近についている2つのマークが追加された確認できた(一連の潜水試験の写真は、前の記事を参照)。
一つ目(写真の左側)は、中国大洋鉱産資源研究開発協会(COMRA)のもの。
COMRA(略称:中国大洋協会)は蛟竜号の開発を主導した、海洋鉱物資源開発に特化した組織(参照)。
有人潜水艇だけでなく自律型潜航艇AUVの開発も進めている。
蛟竜号の深海研究目的の動画を見ると、今回の潜水試験海域である太平洋・ハワイ南東沖の開発鉱区のマンガンノジュールだけでなく、海底熱水鉱床も視野に入っていることが分かる。
二つ目のロゴマークは、いまのところ不明。
(国家海洋局ではないし702研究所でもないし・・・どこのロゴマークだろう?)
(追記2012/05/31:7000m級潜航試験の映像から、863計画のマークだと分かりました。)
高鉄の新幹線事故の影響で、蛟龙号への注目度が上がってメディア露出が増えたからか、組織の自己アピールはしっかりとやっているようだ。
(追記20110729)一部、修正削除しました。出港時にはない(参照)ので、その後に追加されたようです。
メモ
28日の第三次潜水試験では、その他に謎な事が起こっているのですが、現在進行形の話なので、まとまったらメモるかもしれません。
興味がある方は、ツイッターのアカウントのユーザーページから28日の一連のツイートを参照してみてください。
(追記)
まとめました。
有人潜水艇「蛟竜号」の報道も制限されていた?中国高速鉄道事故の報道規制の影響?
(追記ここまで)
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