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2011年7月

2011年7月28日 (木)

28日(第三次潜水試験)の中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」

Jiaolong01
(蛟竜号)

7月28日に、中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」の第三次潜水試験が行われ、水深5188mまで潜ったそうだ(参照)。

前記事で、第一次と第二次潜水試験の入水時と出水時の写真に違和感を感じた事を写真付きで書いたが、第三次試験ではどうだったのだろうか?

前の記事:中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」で起きていたトラブル

追加記事まとめ:「中国の有人深海探査艇「蛟竜号」関係の記事、まとめ



第三次潜水試験では、海面に下ろされた後の動画が公開されていた。

今回の「蛟竜号」のミッションで、最も評価されるべき所は情報公開が非常に多くされていたところだ。
速報記事も多く、写真や映像も多く公海されていた。

変に隠そうとしたり誤魔化そうとするから余計に国民に反感を持たれるのは、中国高速鉄道の事故の例から明らかだ。
こういう姿勢は、国際的にも高く評価されることだろう。

(動画)
Jiaolong0728c
水下实拍蛟龙号第三次入水下潜|蛟龙号5000米深潜

「水中撮影・蛟竜号の第三次潜水|蛟竜号は5000mまで深く潜る」

この映像では珍しく、水面から潜っていく蛟竜号が写されている。

また、これまでの写真や映像は蛟竜号の左舷ばかりだったが、この映像では右舷の様子が分かる。


前の記事では、詳しい報道がないから分からないと書いたが、その構造材の表面の塗装あるいはコーティングが広い範囲で剥がれてしまったようだ。

右舷でも同じように剥がれてしまっている。

Jiaolong0728b


第一次潜水試験で、左舷の「蛟龙」の「龙」の文字にあたる部分の塗装あるいはコーティングが剥がれていた。

左舷では、第二次潜水試験前に塗り直して出水時にも大丈夫だったようだが、右舷では、「蛟」の部分が剥がれ塗り直した事が分かる(船体の他の部分と色が違う)にも関わらず、第三次潜水試験の入水時にまた剥がれている。
Jiaolong0728a_2


蛟龙号の骨組みは、しんかい6500と同じように、海水に腐食されにくいチタン合金製だそうだ(耐圧殻もチタン合金製)。

いったいぜんたい、蛟竜号の塗装の耐久性はどうなっているんだろう?

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潜水試験後に塗装あるいはコーティングが剥がれ「蛟龙」のロゴが書き直されていた

さらに、両舷の船尾付近についている2つのマークが追加された確認できた(一連の潜水試験の写真は、前の記事を参照)。

Jiaolong_logo1


一つ目(写真の左側)は、中国大洋鉱産資源研究開発協会(COMRA)のもの。

Jiaolong_logo2

COMRA(略称:中国大洋協会)は蛟竜号の開発を主導した、海洋鉱物資源開発に特化した組織(参照)。
有人潜水艇だけでなく自律型潜航艇AUVの開発も進めている。

蛟竜号の深海研究目的の動画を見ると、今回の潜水試験海域である太平洋・ハワイ南東沖の開発鉱区のマンガンノジュールだけでなく、海底熱水鉱床も視野に入っていることが分かる。

二つ目のロゴマークは、いまのところ不明。
(国家海洋局ではないし702研究所でもないし・・・どこのロゴマークだろう?)
(追記2012/05/31:7000m級潜航試験の映像から、863計画のマークだと分かりました。)


高鉄の新幹線事故の影響で、蛟龙号への注目度が上がってメディア露出が増えたからか、組織の自己アピールはしっかりとやっているようだ。

(追記20110729)一部、修正削除しました。出港時にはない(参照)ので、その後に追加されたようです。




メモ

28日の第三次潜水試験では、その他に謎な事が起こっているのですが、現在進行形の話なので、まとまったらメモるかもしれません。

興味がある方は、ツイッターのアカウントのユーザーページから28日の一連のツイートを参照してみてください。

(追記)
まとめました。
有人潜水艇「蛟竜号」の報道も制限されていた?中国高速鉄道事故の報道規制の影響?
(追記ここまで)


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中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」で起きていたトラブル

Deepsea01
wikimedia commons

(追記2012/3/13)
・タイトルの修正と、その原因と理由
元のタイトルは「中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」で起きていたトラブルと、画像処理された?写真」でした。
2011年の一連の蛟竜号の記事は、潜水試験をリアルタイムでチェックしていて、かなりワクワクしながら書いていました。ただ、中国高速鉄道の脱線衝突事故の直後だったこともあり、中国当局やメディアの情報隠蔽を気にしすぎていたきらいがあります。

蛟竜号のニュースがあると、当ブログの蛟竜号関係の記事へのアクセス数が増えていますし、今年6-7月に予定されている水深7000m潜水試験に向けて、さらに増えると予想されます。
変な誤解を広めないために、タイトルを修正しました。

この記事の内容は「ちょっと考えすぎて、変な方向に潜ってって深みに嵌ってるよ」と、生暖かい目でご笑覧いただければ幸いです。
(追記ここまで)


中国の有人潜水艇「蛟竜号」が26日、水深5057メートルの潜水に成功した。

中国:有人潜水船が5000メートルを突破 (毎日新聞)

新華社電によると、乗組員3人を乗せた中国の有人潜水調査船「蛟竜号」が26日、太平洋で水深5057メートルの潜水に成功した。中国メディアは調査船が「初めての自主設計」であると強調し、潜水の成功を大々的に報道している。

7月1日の母船「向阳红09」の出港の頃からアンテナ向けていたら、今回の潜水試験でちょっと意外な写真に気が付いた。

また、水深4027mまで潜った21日の第一次潜水試験の際にちょっと目立つトラブルがあったようだが、詳しい報道はされていないようだ。

それらについて、ツイッターでつぶやきながらちょこちょこ調べていたことのまとめ。メモ。

追加記事まとめ:「中国の有人深海探査艇「蛟竜号」関係の記事、まとめ



蛟竜号については、新浪網の特設サイト「蛟龙号5000米载人深潜」が詳しくニュースのアップデートも早い。

Jiaolong01

そこのタイトル画像の右側、海面から吊り上げられている蛟竜号の写真は、今回の潜水試験航海のものではない。2010年8月に南シナ海で水深3759mまで潜水し、海底に中国国旗(五星紅旗)を置いた時のものだろう。この時は、蛟龍号の甲板の後ろの方に四角いパーツが付いている(参照)。

蛟竜号の「五星紅旗」と「蛟龙」のロゴに注目。
今回の潜水試験について、中新網(chinanews.com)の写真を中心に追いかけてみよう。



今回(2011年7月)
第一次潜水試験(7月21日)・入水時

Jiaolong02
蛟龙号首次载人深潜试验成功-中新网

入水する時は、「五星紅旗」と「蛟龙」のロゴのどちらもきれいだ。



第一次潜水試験(7月21日)・出水時

Jiaolong03
蛟龙号首次载人深潜试验成功-中新网

出水する時には、「蛟龙」のロゴの「龙」の部分の塗料が大きく剥がれている。
よく見ると、その上にある、ヤマザキの甘食のような形の象牙色のパーツ、その下のあたりも塗料が少し剥がれている。
そして、なぜか「五星紅旗」は隠されているない。
メインハッチの外側部分も、開きかけているのか、隙間が空いている。

この写真は中新網だけでなく、人民网も含めて多くの中国メディアで使われている。(動画(1:00あたり))


何があったんだろう?

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今回の潜航試験では、第一次潜水試験前にバッテリーからの液漏れ(参照)や、第二次潜水試験の前に着水揚収装置のトラブル(参照)が起こっている。過去の潜水試験ではメインバッテリーの爆発事故も起こっている(参照)。

潜水試験なので、装備や運用の弱点が洗い出されることは悪いことではない。しかし、これについては何かトラブルがあったことは分かるが、

据介绍,21日第一次海试成功返回后,“蛟龙”号出现了少许故障。现场专家全力以赴排除故障,目前已完全解决。
報告によると、21日の第一次潜水試験の成功の後、“蛟竜”号に少しばかり故障があった。現場の専門家が全力で故障を取り除き、これまでに完全に解決した。
“蛟龙”号海试现场:25日天气才有可能好转——中新网

という記事くらいで、詳しい報道は見つけられなかった。

外装を外した構造材むき出し状態の動画を見ると、その部分は浮力材でもただの外壁でもなく、円筒形の大きな構造だということがわかる。
「蛟竜号」は「しんかい6500」と違って1ヵ所で吊る構造なので、そのための構造材の一部なのだろう。

表面がペロッと剥がれた感じで凹みや傷などは特に見あたらないので、多分、太平洋の水深4000mの高圧・低温環境で塗装(何かのコーティング?)に起きたトラブルだと思うけれども、写真で目立つのに報道に出て来ないから、深海底で姿勢制御に失敗して擦ったとか、言及したくないほど重大なトラブルだったんじゃないかとか、変に勘ぐってしまう。

(追記2011/07/28)
第三次潜水試験の映像から、右舷の同じ部分も塗装またはコーティングが広く剥げていたことが確認できました。
参照:28日(第三次潜水試験)の中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」
(追記ここまで)


(追記2011/09/08)
無人潜水探査艇「かいこう」でも、試験潜行時に、チタンに塗った塗料が剥がれたことがあったと教えていただきました。深海の圧力、恐るべし。
(追記ここまで)

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第二次潜水試験(7月26日)・入水時

Jiaolong04
5057米,“蛟龙”深潜新纪录!--浙江频道--人民网

26日の第二次潜航試験の、入水する時は、塗料の剥がれた部分は塗り直し、その後ろに「龙」の文字を書き足している。同じ色の塗料が船内になかったのだろうか、微妙に色が違う。
画像が小さくて分かりにくいが、その上の甘食パーツの下の部分も塗り直してある。
「五星紅旗」もある。



第二次潜水試験・出水時

Jiaolong05_3
“蛟龙”号成功突破5000米 创中国载人深潜新历史-中新网

そして出水する時には、なぜか、五星紅旗が消されているない。

海面に浮上した蛟龙号に着水揚収装置のケーブルを接続するゴムボートの作業員が、事故の危険を冒してまで五星紅旗の上に何か貼りつけたとはちょっと考えにくい。
第一次試験では7時48分に海面に浮上し8時には母艦の甲板に回収(参照)、8時20分には“蛟龙”号搭乗員が外に出ている(参照)ので、一旦船上に揚げてから何か貼って再び海面に下ろしてわざわざ撮影したのでも無さそうだ。

国旗だけを白く塗ってしまう謎の海洋生物が深海底にいるとも思えない(笑)

あとは、撮影後に画像処理をした可能性が考えられる。

五星紅旗が無い画像は人民網も掲載しているので、中国共産党も認めている処理なのだろう。
しかし中国が、自国の科学技術の大きな成果のニュースで国旗を表示させないのは、何か違和感を感じる。
何かそれ以上の深い意図があるのかもしれない。

もし画像処理をしているなら、今回の潜水試験は前回の南シナ海とは違って、政治的意図はない(本音はどうであれ)とアピールしようとしているのではないだろうか。
深海潜水艇開発や公海での潜航試験は、深海底や海洋生物などの科学的調査と資源調査の平和的利用が目的だと(建前上は)主張しやすそうだ。

全ての写真でマスキングしないと意味がないとも思うが、国内的に国威を高揚する為に国旗は必要だろうし、その辺りはあまり考えていないような気がする。
「他の部分や、他の写真も何か画像処理されているんじゃない?」といった疑惑が出てくる可能性もあるが、その辺りもあまり考えていないような気もする。


(追記修正20110802)
写真を画像処理してマスキングしたものではない事が確認出来る映像を見つけました。第二次潜航試験から帰還した後のもの。
Jiaolong002flag
[視頻]“蛟龍”號成功突破5000米 創造中國載人深潛新歷史(3分45秒あたり)

すると、逆に入水時の蛟竜号についている五星紅旗が画像処理して付け加えられたもの???

それとも本当に、深海に行くと剥がれたり消えたりする仕様になっているとか???

何が何やら・・・
(追記ここまで)

もっとも・・・、
「自主設計」の潜水艇なのだそうだから、もしかするとスイッチひとつで外装の紅い国旗を白くしてしまう中国の「自主技術」が使われているのかもしれないが(笑)

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個人的には、どこの国であれ、海洋科学が進歩すること自体は歓迎している。

ライバルが増えることで競争意識や危機感が高まって、日本の海洋科学や技術開発の予算もレベルも引き上げられることを期待している。

中国高速鉄道の中国新幹線のように、成果を重視しすぎて安全を軽視して無理して事故が起こらなければいいんだが・・・



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2011年7月21日 (木)

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」と3D(ネタばれ無し)

時間が合ったので、近くの映画館で視聴。
3D・字幕版。3DシステムはXpanD。

PART1のストーリーをかなり忘れていました。復習しておくことを薦めます(笑)

結論。

比較的に上映館が多い RealIDかMasterImage 3Dがベター。
ベストを求めるならIMAX 3Dだけど、そこまで重要な3D効果を使ったシーンはあったかな。近所にあるならともかくわざわざ多めの交通費使って行くこともないと思った。

今回行ったのは「アバター」を見に行ったのと同じ映画館。その時は画面が暗かったのが残念で、その後に改装しスクリーンも明るいものに取り替えられたから少し期待していたけれども、それでも全体的に暗く感じられた。
これがもっと背景や舞台装置が明るい映画だったら、あまり気にならなかったかもしれない。しかし、予告編から分かるように全体的に暗いシーンが多く、ホグワーツ学園の背景も薄暗く、デスイーターやディメンターはまっくろくろすけなので、ディティールが分かりづらくXpanDの欠点が悪い方に働いたようだ。

3D版を見るなら、明るめの3Dシステムの映画館を薦めます。

(*)近頃肩こりがひどくて、XpanDメガネですら負担に感じていたので評価が辛くなっているかも。


「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、前編は、上映までに3Dへの変換が間に合わなかったそうだ。
後編は「シリーズ初の3D」と銘打っているけれども、それほど3Dを意識した作りにはなっていないし、3Dだから映えるようなカメラワークもあまり多くはない。それなりに楽しめたけれども、特に3Dを意識した映像作りにはあまりなっていないようだ。

これはこの作品だけではなく、撮影手法もあるだろうし予算やスケジュールもあるだろう。2D上映との兼ね合いもあるだろうし、3Dを意識するあまり目眩がするようでも困るし、良くも悪くも発展途上の方法なのだろう。
逆に、こういった黎明期は、これからどれだけ撮影技術や編集(3D変換技術も)などが進歩していくか楽しみになる。



メモ
ドリーバック・ズームアップと3Dを絡ませたらかなり面白いと思うけれど、事前にそういうマニアックなネタは流れないだろうし、口コミ頼りにいろいろ見に行くしかないかな。



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2011年7月14日 (木)

「クーリエ・ジャポン2011年8月号」書評メモ

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 08月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 08月号 [雑誌]

講談社 2011-06-25
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「クーリエ・ジャポン2011年8月号」の面白かった記事とメモ。

・「龍」と「象」の比較学

中国の高齢化とインドのダウリー、結婚と出産の時の男女産み分けの話。
中国では一人っ子政策の影響で新生児の男女比がいびつになり人口バランスが大きく崩れている。(参照
インドでも、結婚時の新婦の持参金(ダウリー)の負担があるため女児を避ける傾向がある。
この2つの人口大国はどこへ向かうのだろう?

「日本は金持ちになってから老人になった。中国は金持ちになる前に老人になろうとしている。」

中国の10年後20年後を考える際に重要なキーワードになりそう。



・シャネルを着た〝アウトサイダー〞 クリスティーヌ・ラガルドとは何者か

新しいIMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)の、まだIMF専務理事に決まる前(5/29)に書かれた人物評。
日本メディアの関連記事が、ラガルド氏のキャラクターや能力に注目しているものが多いけれども(参照)、この記事は性格や個性、人物について主に書かれていて、彼女がどういう人かイメージしやすかった。

「リーマン・ブラザーズがリーマン・シスターズだったら破綻はしなかっただろう」とか「男性ばかりで男性ホルモンばかりだと良くない」(*注)をわざわざ使っているあたり、男性の視点では気付きにくい女性の視点で書かれているようで面白い(ライターは女性)。
(*注)元記事では、男性ホルモンではなくテストステロン。彼女はあまり分泌増やさないよう期待したい。

元記事は、英オブザーバー紙の「Christine Lagarde: The woman who would be the world's banker」。



・「戦争」ほど素敵なビジネスはない

民間軍事会社ブラックウォーター(今は、Xeサービシーズ)の創業者、エリック・プリンス(Erik Prince)が、U.A.E.(アラブ首長国連邦)の依頼で作っている外国人傭兵部隊の訓練や訓練基地、その後の話。
米傭兵会社Blackwater 「アラブの春」照準 UAE首長一族と428億円契約

アラブ首長国連邦(UAE)が、かつてイラクで市民殺害事件を起こした米国の民間軍事会社「ブラックウオーター」の創業者に、内乱鎮圧、対テロ特殊任務などを担う800人規模の外国人秘密部隊の編成を依頼した。

その後どうなったかと思っていたら、幹部が止めたり傭兵が思ったほど集まらなかったりでちょっと予定どおりにはいっていないようだ。しかし、この最初の外国人部隊がその能力を証明した後に、正式に数千人規模の部隊を作る約束はあるらしい。
火の毛のない所で煙が発ちそうで心配。

元記事は、米ニューヨークタイムズ紙の「Blackwater Founder Forms Secret Army for Arab State



メイン記事が「危機から復活するための「リーダーの条件」」なので、他の頁でも、レディ・ガガ、パキスタンのISI等、人物や組織について注目した記事を集めているようだ。




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2011年7月10日 (日)

ELECOM ノートパソコン用冷却台「冷え冷えクーラー」SX-CL10BK レビュー

ELECOM 冷え冷えクーラー 大型静音ファン 12.1~15.4インチW対応 ブラック SX-CL10BKELECOM 冷え冷えクーラー 大型静音ファン 12.1~15.4インチW対応 ブラック SX-CL10BK

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ELECOM SX-CL10BK

メーカーの商品ページ:ノートパソコン用冷却台「冷え冷えクーラー」 - SX-CL10シリーズ

節電対策(節電で暑くなるからその対策)で購入。使ってみた感想。

実際に使ってみて、驚いた点が3つある。

・思っていたより、静か!
・思っていたより、正方形。
・思っていたより、ぶ厚い。

もともと静音な周辺機器を選んでいたので、思っていたより静かなのは嬉しい。

冷却性能よりも静音性を重視する人には一押しの商品。

CPUをフル稼働するような動作をさせなければ、MacBookのファンが回る事が減った。逆に言えば、本体を充分に冷やしているか心配になる。以前は、YouTube動画を見ているる2〜3分でファンが回り始めていたけれが、それは無くなった(7〜8分したら回るようになった)感じ。

ガシガシとエンコーディングをして爆冷性能を求める人には不向き。
結局、ファンによる冷却性能と静音性能は真逆なのだろう。。

パッケージのあたかも強い風が出ているようなイメージ画像は信じない方がいいが、普通に使っていて、ファンの回る音が気になるという人にはお勧め。ノシ

Amazonのレビューがかなり参考になります。(参照



12.1型〜15.4型のノートパソコン汎用品なので、MacBook13インチにジャストサイズではないのは仕方ないが、思っていたよりも正方形だった。

それ以上に、思っていたよりも厚さがある。
高さ調整スタンドや、底にスペースを作らないと風がほとんどこなくなるので、その分も高くしなければならない。

うちでは、辞書を並べてタオルを敷いてアームレスト代わりにしました。(ノд・。)

一緒に、アームレストを用意することを薦めたい。



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太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(2/2)

Rareearthoxides2
(wikimedia commons)

前記事:太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(1/2)

国内で話題になった深海底のレアアースは「使えないし、情報は古いもの」という記事を中心に、中国メディアの反応について考えてみた。

中国メディアの反応は、日本で報道された当日と翌日は、ネイチャー・ジオサイエンス誌で「東京大学の研究グループによって、太平洋の深海底に陸上で確認されている埋蔵量の800倍のレアアースが存在していることが発見された」という発表の第一報と、英国・BBC中文版の記事の転載が大部分で、数も少なく、反応はにぶいものだった。

ところが、翌々日の7月5日に、日本が発見した深海底のレアアースは「使えないし、情報は古いもの」という報道が出たとたんに、その転載記事が急増していた。
サーチナが紹介しているので、日本語でも概略を読むことができる。
日本の海底レアアース大発見「使えないし、情報古い」

サーチナが情報ソースと書いているのは中国経済網。
元記事は「稀土大发现想忽悠谁 专家称深海稀土可利用率不高」(レアアースの大発見はごまかしだろう 専門家によると利用可能性は高くない)」のようだが、さらにその元の記事は国際金融報が書いたもの。

中国メディアでは他紙の参照が多いので、日本メディアのニュースで「中国の〜紙によると」と報道されても、元ネタを調べると実際には他紙の参照記事や引用記事だったり、元の記事から一部削除や編集をした記事という場合がよくある。そのため、非常に多くの記事があるように見えても実はたった1つの記事のコピペ(複製・転載)なこともある。
この中国経済網や他の多くの記事でもコピペしたものが多い。


教養としての資源問題 ―今、日本人が直視すべき現実教養としての資源問題 ―今、日本人が直視すべき現実
谷口 正次

東洋経済新報社 2011-02-18
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国際金融報は人民日報社が発行している経済誌で、8ページの金融に特化した情報誌。その7月5日版の1面に大きく載っている。(*1)


稀土大发现想忽悠谁 专家称,深海稀土可利用率不高,中国仍为第一大国」(レアアースの大発見はごまかしだろう 専門家によると、利用可能性は 高くなく、中国は依然と一番の(レアアース)大国だ)

人民網・日本語版が「「日本がレアアース大発見」のニュース 狙いは何?」という邦訳記事を書いている。(参照

この記事によると、

日本メディアの報道は中国のレアアース輸出制限に対する圧力としての、一種の「世論戦・メディア戦(舆论战)」のようだと言っている。また、米国のレアアース鉱山についての報道の後も中国に対しての輸出制限緩和の圧力が続いていることから、それもまたメディア戦と見ているようだ。
日本の発見がごまかしという根拠として、
 「今回発表された深海底のレアアース資源はすでに1月5日に発表された「古いニュース」であること」
 「深海底のレアアース資源の採掘には技術的に困難であり不可能に近いこと」
をあげている。
終わりのところでは、中国も深海底資源の開発利用にも注意を向けなければならないと書いて、実際にそういった企業活動が進められていることを紹介している。


(追記)
タイトルの「稀土大发现想忽悠谁」を「ごまかしだ」と意訳しましたが「誰をごまかしたいのか」の方が適切ですね(参照)。大筋変わらないので修正はしていません。
(追記ここまで)

日本は世界4位の海洋大国 (講談社プラスアルファ新書)日本は世界4位の海洋大国 (講談社プラスアルファ新書)
山田 吉彦

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国際金融網の記事で根拠と言っている部分について考えてみる。

1月5日に発表された「古いニュース」は、時期的に1月6日にサーチナが「日本が南鳥島近海でレアメタル、レアアースの調査を実施へ」と報道した事だと考えられる。(参照

日本が2011年4月から「南鳥島(みなみとりしま)」近海で1年間にわたって海底資源調査へ乗り出すと伝えた。レアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)を豊富に含む「コバルト・リッチ・クラスト」の埋蔵を調査するためで、記事は「日本政府が周辺国家との競争になる前に、排他的経済水域の資源の開発に手を打った」と伝えた。

記事を読むと一目瞭然。
このレアメタル、レアアースの海底資源調査はコバルトリッチクラスト(CRC)に対するもので、今回のレアアース資源泥(REY-rich mud)とは別の深海底鉱物資源である。
深海底鉱物資源は、「コバルト団塊」、「深海熱水鉱床」、「コバルト・リッチ・クラスト(CRC)」の3つが発見されていたが、今回の東京大学の発見はまったく新しい4つ目の「レアアース資源泥」の事。


記者が、深海底繋がりで混同したもかもしれないし、それとも南鳥島と排他的経済水域(EEZ)を絡ませて反日の雰囲気を出そうとしたのかもしれない。
案外もっと簡単な、もっと打算的な事のように感じられる。

今回の新発見のニュースを「古いニュース」だと強調することによって、すでに市場には織り込み済みの話題だと感じさせようとしたのではないだろうか?

中国メディアの中では、経済情報誌の国際金融報はいち早く、政治的な見解が出るより先に、反駁する記事を書いていたようだ。
中文の元記事を見てみると、「舆论战(世論戦・メディア戦)」と「旧闻(古いニュース)」が括弧付きで何度も書かれ、特に強調しようとしている。
今回の東大の発表は、6月になって原油、金・銀・プラチナなど商品市場が大きく下落している中の、6月後半にはレアアース銘柄の株価も下落を続けているタイミングでのサプライズだった。
それに対抗するための、レアアース相場への悪影響を考えて書かれた、ごまかしだったと考えられる。

記事タイトルで「第一の大国」と書いているように、レアアース大国と自認しているプライドを脅かされるような状況は好ましくないだろう。

中国が国内産業を優遇するためレアアースを高値で安定させてるために価格操作を行っていると言われる(参照)。
この国際金融報の記事の後に、各中国メディアが一気に複製記事を発信してきた。記事内で、「舆论战(世論戦・メディア戦)」を仕掛けていると他者のせいにしているところは、まさに自分がその情報操作を行っている事の裏返しなのかもしれない。


日本近海に大鉱床が眠る ―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦― (tanQブックス)日本近海に大鉱床が眠る ―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦― (tanQブックス)
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深海底資源の採掘は、まだまだ技術的に成熟してはおらず、今後の探査や技術開発が重要な、これからの産業だ。

これは東京大学の一次資料に書かれているし、日本メディアの記事でも同じように書かれているのだが、朝日新聞や日本経済新聞では誤解されそうな表現となっている。例えば、朝日新聞の記事では、

技術的には、海底の泥を吸い上げるだけで採取でき、陸地の鉱床のような放射性元素をほとんど含まず、利用に適するという。海底で、開発が有望なレアアースの存在が確認されたのは初めて。

という書き方をし、すぐにでも実行可能にも感じられる誤解を与えそうな表現となっている。(参照

これらの記事を読んで危機感を増幅させたのかもしれない。

サーチナが「太平洋海底のレアアース資源…中国で「日本の脅し」の見方」 で触れている中国青年報は、「日本科学家称太平洋海底稀土资源丰富(日本の科学者によると太平洋の海底に莫大な量のレアアースがある)」で、朝日新聞の4日の記事を翻訳引用している。(参照

研究报告还指出,从技术角度看,海底稀土的开采只需要将淤泥吸上来,而且其中不含陆地稀土矿藏中伴生的放射性元素铀、钍等,所以“很容易提取和炼制”。
技術的には、海底の泥を吸い上げるだけで採取でき、陸地の鉱床のような放射性元素をほとんど含まず、利用に適するという。

その上で、大部分は公海にあり日本だけの資源ではないことと日本の排他的経済水域(EEZ)にも存在することにも触れ、日本メディアの報道は「中国だけに希土類資源があるのではない。売り惜しみをするな」と警告する姿勢が見られると主張しているようだ。この中国青年報の記事も比較的に早い時期に出たものでコピペされていた。


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国際金融報は「古いニュースだ」の記事で、これは日本メディアによる「世論合戦・メディア戦」と書いている。
日本メディアの報道は、中国へ圧力をかけるための情報操作なのか、蛇足ながら考えてみた。

中国ではメディアによる情報操作が多いという話をよく聞く。その中国から見たら、他国メディアの報道もそういうものと見えてしまうのだろうし、レアアースの輸出制限など圧力外交をしていると、疑心暗鬼になりレアアースに関する全ての他国の対応が圧力に見えてくるのかもしれない。
時期的に、松本剛明外相が訪中した後、海江田万里経済産業相が訪中しレアアース問題を話し合う直前の事なので、余計にそう見られてしまうのかもしれない。

日本の中の人からすると、そこまで考えて官学協調路線をとってくれているなら、その方が嬉しい(笑)

日本でマスコミによる情報操作が行われていないとはとても言えないが、今回のレアアースの報道はちょっと違うだろう。

東日本大震災の後、日本メディアは明るいニュースはことさらに大きく報道し、反論記事は載せないようにしているように感じられる。内向きになっている。
そういう日本マスコミの持つ悪い「空気」の中で、いいかげんな記事が出て、それを読んだいくつかの中国メディアが噛み付いてきた、とそんな感じではないだろうか。

日本メディアが報道し外国メディアが反証する。調べてみると外国メディアの方が正しいらしく余計に日本メディアの報道が信頼されにくくなってしまうだろう。
好むと好まざるとに関わらず、そういった「空気」に支配されることの危険性については、山本七平の「空気の研究」以降、多くの研究がされている。

その空気は、日本メディアだけでなくロイター日本語版の記事にも影響しているようだ。
7月6日にJulie Gordon記者が書いた「Analysis: Underwater rare earths likely a pipe dream(分析:海中のレアアースは夢物語のようだ)」という分析記事(参照)は、Reuters中文版で「日本开采海底稀土可能只是白日说梦」中国語に訳されている(参照)。
要するに、過去の例と、カナダのNautilus社がパプアニューギニア沖で計画している採掘計画などに触れて、現状では非常にコスト高という分析をし夢物語とキツイ表現を使った記事だが、Reuters日本語版では邦訳記事はないようだ。



深海底の鉱物資源の採掘が難しいことはよく知られているし、ちょっと関連書籍を読めば書かれている。
だから、今回のレアアース資源泥が、比較的に採掘しやすいことは明るいニュースだ。

陸上資源はその産出国の事情によって供給リスクが生じるが、海底資源はその心配は少ない。
10年後に、陸上埋蔵量の1000倍のレアアースが供給されるとは思わないが、海底資源探査(特にEEZ)と技術開発を進めない理由は特に思いつかない。(政治以外)

脱原発の主力と見られている天然ガス資源。米国で水圧破砕法がシェールガス(非在来性ガス)に対して技術開発され実用化されることで、天然ガスの産出量が増え、2009年にはロシアを抜いて世界一の生産国となった。

こういう部分ももう少し客観的に報道すべきだと思うのだが、残念ながらほとんど見かけない。


多分、NHK教育の科学番組が放送をしてくれるのだろう。



メモ
(*1)人民日報と朝日新聞は提携関係にある(参照)。さらに考えたくなるのは、ちょっと「マッチポンプ売りの少女」の悪影響だろうな(笑)

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2011年7月 7日 (木)

太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(1/2)

Rareearthoxides
(wikimedia commons)

テレビや新聞等で広く報道されたのでご存じの方も多いと思いますが、
東京大学のグループによって、太平洋の深海底の泥にレアアースを大量に含んだものが多くあることが発見され、英国の科学誌NatureGeoscienceで報告されました。稀土
レアアースについて素人ながらにいろいろ書いてきたことだし、これについてもちょっと調べてみました。


概略は、NHKと毎日新聞の記事が比較的に詳しくまとまっているので、それらの記事を参照ください。
ここでは主に、あまり触れられていない部分と、中国メディアの記事について。

(追記)
後半の中国メディアの記事についての部分は修正中です。すぐ後にWTO違反の話も出てくるとは思わなかった・・・m(_ _)m

次記事:太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(2/2)
(追記ここまで)

 太平洋海底 大量のレアアース - NHKニュース
 レアアース:太平洋深海に「陸上埋蔵の800倍」試算 - 毎日jp(毎日新聞)

詳細は、東京大学が公開している学術情報ページから、「全く新しいタイプのレアアースの大鉱床を太平洋で発見」(pdfファイル)を読むことが出来ます。

NatureGeoscience (Preview) : Deep-sea mud in the Pacific Ocean as a potential resource for rare-earth elements


以下、メモ貼り付けて体裁整えただけなので、である調中心です。

このレアアース資源泥(*注)は、これまでに発見されていた海底鉱物資源(コバルト団塊、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト(CRC))に続く4番目の新しい海底鉱物資源という点が重要。
(*注)この研究により発見された,レアアースを高濃度で含有する深海底堆積物.英文:REY (rareearth elements and yttrium)-rich mud(東京大学の資料より)

東京大学のグループが、太平洋の深海底(水深2500〜6000m)の掘削コア・サンプルを詳しく分析したところ、地上の鉱山よりも含有量が高いサンプルが広範囲で見つかった。
ハワイやフランス領タヒチ周辺の特に含有量が多かった海域では、その資源量は、陸上の埋蔵量1億1千万トンの800倍以上という膨大なものだった。

注意が必要なのは、埋蔵量は技術的・経済的に採掘可能な資源の量で、資源量が800倍でも採掘可能な量は違うこと。

埋蔵量が800倍、1000倍」と書かれている記事は間違い。マスコミの科学記事では(残念ながら)こういう書き間違いはよくあることで、例えば朝日新聞は

推定埋蔵量はこれまで知られている陸地の埋蔵量約1億1千万トンの800倍の900億トンとみられ、2キロ四方の埋蔵量で日本の年間需要約3万トンを満たす計算。

と、知らない人は誤解しそうな書き方をしている。(参照
(ちょっと違うけど、預金と貯金の違いを知らずに、銀行貯金とか郵便預金と書いているようなもの。)

それだけなら恥ずかしい笑い話で済むのだろうし、わざわざこんな文章を書く事も無かったけれども、困ったことに、中国メディアの記事ではそういった朝日新聞や日本経済新聞の記事を参照して、日本の主張や今回の研究自体が間違っているという論調のものもある。
原因というよりも、自分の解釈でいちゃもんを付けるための道具に使われた感じ。

レアアースの問題は、国益も投資も絡むホットトピックスなのだから注意深く書いてほしいものだ。

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東京大学の一次資料では、注釈付きで書かれている。(一部抜粋)

この“レアアース資源泥”は,(1)レアアース含有量(※6)が高いこと,(2)資源量が膨大(陸上埋蔵量(※7)の約1,000倍)かつ探査が容易なこと,
※7 陸上埋蔵量 「埋蔵量」とは,経済的,技術的に採掘可能な資源の量をさす.現在確認されている世界の陸上レアアース鉱床の総埋蔵量は1 億1,000 万トン(酸化物換算量)である.
この海域において,1平方キロメートルの範囲(深度10~70 m)でレアアース資源泥を開発すると,日本の年間レアアース消費量の0.5~1.5 年分を供給することができます.さらに,大まかな推定では,この2 つの海域には,陸上埋蔵量のおよそ1,000 倍という膨大な量のレアアース資源が存在していることがわかりました(図5).

この中でも発見の重要性と膨大な資源量を強調しているが、この資料は科学論文ではないのだからそんなもんだろう。

また、東京大学がトップページに載せているこの公開資料とは別に、恐らくはその前バージョンだろう資料を、東京大学工学部がプレスリリースで載せている(参照 pdf)。

どこをどう強調したいのか分かって面白い。

参照:埋蔵量・資源量について(pdf)|石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)



そこにあるのは分かっている。
もしかしたら自分ちの敷地でも見つかるかもしれない。

問題は採掘コストと深海底環境だが、調査や試掘などの努力をしない理由はない。

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これからどういう手続きになるか考えてみた。

来年や再来年から採掘が始まってレアアースの供給が始まるわけではないのは分かるだろう。


Rees_pacificseabed01

今回の発見では、特にレアアース含有量が多い2つの海域をあげて鉱床と表現している。

それらの海域は大部分が公海であり、深海底は国連海洋法条約(*注)で「人類の共通遺産 (Common Heritage of Mankind)」と定められ、国際海底機構(International Seabed Authority (ISBA))によって管理されている。
(*注)正式名称:「海洋法に関する国際連合条約」(United Nations Convention on the Law of the Sea (UNCLOS))

国際海底機構によって「概要調査及び探査に関する鉱業規則」(マイニング・コード)が採択されれば、レアアース資源泥に対しても鉱区を獲得することが出来る。
マイニングコードは、2000年にコバルト団塊鉱床に対して、2010年に海底熱水鉱床に対して採択された。コバルトリッチクラスト(CRC)に対しては審議中。これからレアアース資源泥(鉱床)に対しても鉱業規則を策定するように要請をし、採択されることを目指すだろう。

海洋国・日本としてイニシアティブをとり、採択に向けての中心的役割を果たすことを期待したい。

一方、日本の排他的経済水域(EEZ)で同様の発見があれば、面倒な手続きのいくつかを回避して採掘を始められるかもしれない。

そのためにも、充分な科学探査と技術開発、環境影響評価は積極的に進められるべきだろう。


海底熱水鉱床に対してのマイニング・コードは、1998年にロシアから要請があり、2010年に採択された。
最初は海底熱水鉱床とCRCに対する要請だったものが、途中でその二つを分割して審議することになったとはいえ12年もかかっている。
国際秩序の大きな変化や、どこかの国による無理矢理なルール変更がなくても、レアアース資源泥鉱床に対しても5〜10年はかかるかもしれない。

さらに、レアアース大国を自認している中国は、自国が充分な探査能力と海底採掘技術を持っていない間は、環境影響評価が不十分とかいろいろと理由をつけて採決を遅らせようとするのではないだろうか。(自国が発見したものなら、採掘出来るように強硬に進めるかもしれないが。)
2国間で政治的なやり取りもあるだろうし、共同開発や技術協力という言い方もしてくるだろう。

その時の政府、経済界には、しっかりとした対応をしてもらいたいものだ。

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中国では、東シナ海のガス田や南シナ海の油田開発を進め、海洋資源探査や技術開発に力を入れている。
東シナ海のガス田開発は周知の通り。
深度3000m級の海底油田掘削装置(オイルリグ)「海洋石油981」も1月に完成し南シナ海での運用を進めている。(参照

また、友人深海探査艇「蛟龙(蛟竜)号」が深度3579mへの到達に成功し、7月2日には深度5000mの実験探査を行うため母艦「向阳红09(向陽紅09)」が太平洋に向けて出航した。(参照

ところで、いろいろな記事の見出しで「中国が自主開発した有人深海潜水艇・・・」となっている。

この「中国が自主開発した・・・」表現でピンと来た方も多いと思う。
In the pontoon bridge さんとこの「中国 最新の深海調査船「蛟竜」」によると、

中国は「自力設計・自主開発」と発表しているが、中核技術である、耐圧殻の設計・製造はロシア、浮力材やマニピュレーター、水中投光器はアメリカ製で水中TVカメラ、デジタルカメラ、イメージング・ソナーなどは日本から導入している。

だそうだ(笑)

次記事:太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(2/2)


参考資料:
外務省: 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約

4.国連海洋法条約(「海洋法に関する国際連合条約」)
(2)概要
 オ 深海底
1) 深海底(国の管轄権の及ぶ区域の境界(いわゆる大陸棚)の外の海底及びその下)及びその資源は,「人類の共同財産」とされる。
2) いずれの国も深海底又はその資源について主権又は主権的権利を主張し又は行使してはならない。
3) 深海底の資源を管理することを目的として,深海底における活動を組織し及び管理するために,国際海底機構をジャマイカに設置。

国連海洋法条約と日本(pdf)




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2011年7月 2日 (土)

「韓国で50年分のレアアース鉱脈発見」という記事についてのつぶやきのまとめと補足

Rareearthoxides2
(wikimedia commons)

「韓国で30年〜50年分のレアアース鉱脈発見」のニュース。

素人なりに掘り下げて調べて、ツイッターでつぶやいていたので、そのまとめと補足。

ハングルを勉強するいい機会だからと調べて、メモをまとめていたら、あっさりと話が終わってしまったような・・・


(背景が灰色な部分がTwitterでつぶやいたもの)

50年間使える希土類、忠州と洪川で鉱脈発見|東亜日報・日本語版 (*1)

donga.com[Japanese donga] http://htn.to/8tTcou

韓国地質資源研究院の張浩完(チャン・ホワン)院長は27日、大田市大徳(テジョンシ・テドク)団地で東亜(トンア)日報の記者に対して「昨年12月から今月初めまで、忠州と洪川で試料を採取して分析した結果、希土類が0.6~0.65%含まれる2360万トン規模の鉱脈を発見した」と話した。これを換算すると、使用可能な希土類は約14万7000トンだ。張院長は、「国内で1年に3000トン規模の希土類を輸入しており、50年ぐらいは使用できる量が埋蔵されているものと見られる」と話した。
参照


韓国地質資源研究院
한국지질자원연구원
Korea Insti- tute of Geoscience & Mineral. Resources(KIGAM)


「忠州·ホンチョンソレアアースの2300万トン規模の筐体を発見」(地質図付き)これによると品位は0.1〜2.6%と0.1〜4.7%とあるから、東亜の記事の0.6〜0.65%は平均値か。 / 아시아뉴스 - 새롭게 함께하는 중심 언론!! http://htn.to/wPd45k
洪川の探査では、幅が平均23m、長さ1.2㎞規模の新しい鉱脈を発見した。鉱脈の規模は約1200万トンでREO(希土類酸化物)品位は0.1%〜4.7%である。 現在、より深い鉱脈の確認のため掘削探査が行われている。
また、忠州の探査では、幅が平均30m、長さ2㎞規模の新しい鉱脈をオレサン東部で発見した。鉱脈の規模は約1100万トンでREO(希土類酸化物)品位は0.1 %〜2.6%である。

Google翻訳


第1期探査計画の成果。軽希土なのは確かだろうけど種類は不明。|【韓国】韓国国内での探査を強化:レアメタル安定確保へ[資源]/NNA.ASIA http://bit.ly/kFibI1
韓国政府は、2013年までにレアメタルの埋蔵が有望視される全国11の主要鉱化帯を精密探査する計画。対象は、第1期(今年〜12年)が江原道洪川郡や忠清北道忠州市、慶尚北道蔚珍郡など6カ所、第2期(11〜13年)が慶尚南道河東郡や江原道鉄原郡など5カ所だ。

「レアアース」と一括りにされることが多いけれども、どの元素なのかはかなり重要。
例えば、ジスプロシウム(Dy)など重希土の生産は今のところ中国でしか行われていない。

忠州ではルチルと燐灰石が主らしい http://bit.ly/lyERNN (pdf)。La, Ce, Ndあたりかな?
韓国では,17 年度の調査で高い希土類異常が得られた忠州鉄鉱床付近の詳細地質調査を行い,アルカリ岩の貫入に伴う曹長石化帯に希土類元素が濃集していることを確認した.これらの岩石はルチルや燐灰石などの希土類鉱物が確認された.

産業技術総合研究所(AIST)の「鉱物資源研究グループの2006 年度の活動(Activities of the Mineral Resources Research Group in 2006)」より。(参照 pdf
現在(2006年)、韓国忠州鉄鉱床は採石場になっている。


ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)だとすると、光学レンズや液晶パネルの研磨剤あたりか。
液晶パネルはサムスンの主力商品だから、研磨剤などが韓国国内産が安く手に入るようになると、さらに価格競争力がつくわけだけど・・・

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鉱脈を見つけても・・・|(引用)韓国は現在、レアアース加工技術が劣りレアアース全量を2次製品や完成品の形で輸入している。|レアアース加工技術、韓中機関で共同研究 (聯合ニュース)2011/04/11 - Yahoo!ニュース http://bit.ly/ji00cQ
希土類加工技術協議会は21日、中国の包頭希土研究院とレアアース(希土類)の加工技術を共同研究する協定を結んだ。
(中略)
韓国は現在、レアアース加工技術が劣り、レアアース全量を2次製品や完成品の形で輸入している。 政府は昨年末に発表した第4次海外資源開発基本計画で、レアアースをリチウムとともに新成長鉱物に指定。鉱山確保や加工技術開発などを通じ、自給率の引き上げに拍車をかけている。鉱物公社は年内に100日分の国内需要量に相当するレアアース1500トンを備蓄する予定だ。


韓国、希少金属加工技術に3000億ウォン投資 http://bit.ly/mqNgyZ |レアアースを含めたレアメタル全般に対してだから効果低そう。すると簡単な手は、加工技術を持つ会社との提携や経営権取得、パテント獲得か・・・



輸入量3000トンから単純計算して50年。2008年の輸入量が5000トン弱だから30年の方がまだマシ。品位0.1%の鉱脈も含めて全量掘れればだけど。 RT 韓国でレアアースの鉱脈を発見…50年分の埋蔵量に期待=韓国 [サーチナ]http://bit.ly/k5WxL1


これで、中国は「韓国は50年分のレアアースを備蓄している!」と言って輸出規制を正当化していくんじゃないかなw


レアアースに関して、中国は厳しい採掘規制や輸出規制をかけ、各国からクレームがついているので繰り返し繰り返し自己正当化をしている。

日本に対する中国メディアの報道の例のように、採掘可能性や採算はともかくその数字だけが一人歩きするかもしれない。

「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」 変な記事の背景
中国メディアが伝える日本のレアアース備蓄 一連の記事のまとめ

「日本はレアアースの3分の2を備蓄」という記事について調べてみた

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鉱脈を発見したのはいいけれど、それ、掘って使えるの?

品位2%以上なら経済性あり。|(引用)専門家は「現時点では原石に含まれる含量が少ないため、経済性は低い」と考えている。|襄陽・忠州のレアアース、経済性の判断は先送り | 朝鮮日報 http://bit.ly/m9m3JN
江原道洪川や忠清北道忠州では1980年代からレアアースの存在が確認されていたが、生産は行われていなかった。品位(原石に含まれる含量)が低く、埋蔵地域も住宅地や幹線道路から近いため、採掘を行っても経済性が低かったからだ。2000年代以降も漢灘江(江原道)、漢江、錦江流域でレアアースの調査が行われたが、やはり品位が低く、経済性なしとの結論が下されていた。

中国や米国、オーストラリアでは品位が5%以上だが、洪川や忠州で原石の分析を行ったところ、平均でわずか0.6%だった。そのため専門家は、現時点では韓国のレアアース鉱山の経済性は低いと考えている。


参照


(ぐぐ訳)韓国で50年近く使用することができる"レアアース"鉱脈が発見されたという主張は事実と異なることが分かった。 「国内発見の希土類鉱床、経済性がない」 / 내일의 희망을 전하는 정치경제일간지 내일신문 http://htn.to/wBRgSL
30日、《韓国》国内のレアアースの分野のある専門家は「レアアースが経済性を持たせるには品位が2%以上にならなければならない」とし「しかし、地質資源研究院が最近発見した希土類の品位は0.6〜0.65%水準で経済性がない」と明らかにした。

続いて、「一緒に産出される資源の品位が高いと、希土類自体の品位が低くても打算を合わせることができる」とし「今回発見された鉱脈では鉄鉱石が一緒に産出されたが、鉄鉱石の経済性の品位基準の50%より大幅に足りない20%水準に過ぎない」と評価した。 純度を上げるには、それだけ莫大な費用がかかるという指摘だ。
《中略》
《韓国が輸入している全量を置換出来るという報道に関連して》 知識経済部関係者は「過去にも国内でレアアースの存在を確認した事例がある」とし「問題は経済性ですが、今回発見された希土類は、現状では、開発の価値があるということはできない」と言った
続いて、「精密探査を試みるべきだが(初期の探査の結果より)急に品が大幅に上がったことはほとんどない」と付け加えた。
彼はまた、「レアアースを半導体や二次電池などの産業用に​​使用する選鉱、製錬、素材化の3段階の工程を経なければならない」とし「韓国は加工技術が皆無なうえに、製錬技術も不足して現在の日本の製錬工場を経て、輸入している実情」とし、経済性に懐疑的な立場を見せた。


(ぐーぐる訳から、表現をちょっと調整)(Google翻訳



だめじゃん・・・ (´・ω・`)





(*1)はてなブックマークを経由させているので、タイトルが表示されなかった・・・orz

関連情報

【韓国経済】韓国のレアアース備蓄わずか3トン、対策急務[09/24]

地表に現れているレアアースの品位は0.3~1.3%。Nb, Ta混ざっていて経済性が高いことが分かったと書いている。|「韓国の研究チーム、モンゴルで大規模なレアアース鉱脈発見」 / donga.com[Japanese donga] http://htn.to/J56BWd
これか http://bit.ly/mtkRyt RT 地表に現れているレアアースの品位は0.3~1.3%。Nb, Ta混ざっていて経済性が高いことが分かったと書いている。|「韓国の研究チーム、モンゴルで大規模なレアアース鉱脈発見」http://htn.to/J56BWd
参照




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