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2011年7月 7日 (木)

太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(1/2)

Rareearthoxides
(wikimedia commons)

テレビや新聞等で広く報道されたのでご存じの方も多いと思いますが、
東京大学のグループによって、太平洋の深海底の泥にレアアースを大量に含んだものが多くあることが発見され、英国の科学誌NatureGeoscienceで報告されました。稀土
レアアースについて素人ながらにいろいろ書いてきたことだし、これについてもちょっと調べてみました。


概略は、NHKと毎日新聞の記事が比較的に詳しくまとまっているので、それらの記事を参照ください。
ここでは主に、あまり触れられていない部分と、中国メディアの記事について。

(追記)
後半の中国メディアの記事についての部分は修正中です。すぐ後にWTO違反の話も出てくるとは思わなかった・・・m(_ _)m

次記事:太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(2/2)
(追記ここまで)

 太平洋海底 大量のレアアース - NHKニュース
 レアアース:太平洋深海に「陸上埋蔵の800倍」試算 - 毎日jp(毎日新聞)

詳細は、東京大学が公開している学術情報ページから、「全く新しいタイプのレアアースの大鉱床を太平洋で発見」(pdfファイル)を読むことが出来ます。

NatureGeoscience (Preview) : Deep-sea mud in the Pacific Ocean as a potential resource for rare-earth elements


以下、メモ貼り付けて体裁整えただけなので、である調中心です。

このレアアース資源泥(*注)は、これまでに発見されていた海底鉱物資源(コバルト団塊、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト(CRC))に続く4番目の新しい海底鉱物資源という点が重要。
(*注)この研究により発見された,レアアースを高濃度で含有する深海底堆積物.英文:REY (rareearth elements and yttrium)-rich mud(東京大学の資料より)

東京大学のグループが、太平洋の深海底(水深2500〜6000m)の掘削コア・サンプルを詳しく分析したところ、地上の鉱山よりも含有量が高いサンプルが広範囲で見つかった。
ハワイやフランス領タヒチ周辺の特に含有量が多かった海域では、その資源量は、陸上の埋蔵量1億1千万トンの800倍以上という膨大なものだった。

注意が必要なのは、埋蔵量は技術的・経済的に採掘可能な資源の量で、資源量が800倍でも採掘可能な量は違うこと。

埋蔵量が800倍、1000倍」と書かれている記事は間違い。マスコミの科学記事では(残念ながら)こういう書き間違いはよくあることで、例えば朝日新聞は

推定埋蔵量はこれまで知られている陸地の埋蔵量約1億1千万トンの800倍の900億トンとみられ、2キロ四方の埋蔵量で日本の年間需要約3万トンを満たす計算。

と、知らない人は誤解しそうな書き方をしている。(参照
(ちょっと違うけど、預金と貯金の違いを知らずに、銀行貯金とか郵便預金と書いているようなもの。)

それだけなら恥ずかしい笑い話で済むのだろうし、わざわざこんな文章を書く事も無かったけれども、困ったことに、中国メディアの記事ではそういった朝日新聞や日本経済新聞の記事を参照して、日本の主張や今回の研究自体が間違っているという論調のものもある。
原因というよりも、自分の解釈でいちゃもんを付けるための道具に使われた感じ。

レアアースの問題は、国益も投資も絡むホットトピックスなのだから注意深く書いてほしいものだ。

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東京大学の一次資料では、注釈付きで書かれている。(一部抜粋)

この“レアアース資源泥”は,(1)レアアース含有量(※6)が高いこと,(2)資源量が膨大(陸上埋蔵量(※7)の約1,000倍)かつ探査が容易なこと,
※7 陸上埋蔵量 「埋蔵量」とは,経済的,技術的に採掘可能な資源の量をさす.現在確認されている世界の陸上レアアース鉱床の総埋蔵量は1 億1,000 万トン(酸化物換算量)である.
この海域において,1平方キロメートルの範囲(深度10~70 m)でレアアース資源泥を開発すると,日本の年間レアアース消費量の0.5~1.5 年分を供給することができます.さらに,大まかな推定では,この2 つの海域には,陸上埋蔵量のおよそ1,000 倍という膨大な量のレアアース資源が存在していることがわかりました(図5).

この中でも発見の重要性と膨大な資源量を強調しているが、この資料は科学論文ではないのだからそんなもんだろう。

また、東京大学がトップページに載せているこの公開資料とは別に、恐らくはその前バージョンだろう資料を、東京大学工学部がプレスリリースで載せている(参照 pdf)。

どこをどう強調したいのか分かって面白い。

参照:埋蔵量・資源量について(pdf)|石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)



そこにあるのは分かっている。
もしかしたら自分ちの敷地でも見つかるかもしれない。

問題は採掘コストと深海底環境だが、調査や試掘などの努力をしない理由はない。

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これからどういう手続きになるか考えてみた。

来年や再来年から採掘が始まってレアアースの供給が始まるわけではないのは分かるだろう。


Rees_pacificseabed01

今回の発見では、特にレアアース含有量が多い2つの海域をあげて鉱床と表現している。

それらの海域は大部分が公海であり、深海底は国連海洋法条約(*注)で「人類の共通遺産 (Common Heritage of Mankind)」と定められ、国際海底機構(International Seabed Authority (ISBA))によって管理されている。
(*注)正式名称:「海洋法に関する国際連合条約」(United Nations Convention on the Law of the Sea (UNCLOS))

国際海底機構によって「概要調査及び探査に関する鉱業規則」(マイニング・コード)が採択されれば、レアアース資源泥に対しても鉱区を獲得することが出来る。
マイニングコードは、2000年にコバルト団塊鉱床に対して、2010年に海底熱水鉱床に対して採択された。コバルトリッチクラスト(CRC)に対しては審議中。これからレアアース資源泥(鉱床)に対しても鉱業規則を策定するように要請をし、採択されることを目指すだろう。

海洋国・日本としてイニシアティブをとり、採択に向けての中心的役割を果たすことを期待したい。

一方、日本の排他的経済水域(EEZ)で同様の発見があれば、面倒な手続きのいくつかを回避して採掘を始められるかもしれない。

そのためにも、充分な科学探査と技術開発、環境影響評価は積極的に進められるべきだろう。


海底熱水鉱床に対してのマイニング・コードは、1998年にロシアから要請があり、2010年に採択された。
最初は海底熱水鉱床とCRCに対する要請だったものが、途中でその二つを分割して審議することになったとはいえ12年もかかっている。
国際秩序の大きな変化や、どこかの国による無理矢理なルール変更がなくても、レアアース資源泥鉱床に対しても5〜10年はかかるかもしれない。

さらに、レアアース大国を自認している中国は、自国が充分な探査能力と海底採掘技術を持っていない間は、環境影響評価が不十分とかいろいろと理由をつけて採決を遅らせようとするのではないだろうか。(自国が発見したものなら、採掘出来るように強硬に進めるかもしれないが。)
2国間で政治的なやり取りもあるだろうし、共同開発や技術協力という言い方もしてくるだろう。

その時の政府、経済界には、しっかりとした対応をしてもらいたいものだ。

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中国では、東シナ海のガス田や南シナ海の油田開発を進め、海洋資源探査や技術開発に力を入れている。
東シナ海のガス田開発は周知の通り。
深度3000m級の海底油田掘削装置(オイルリグ)「海洋石油981」も1月に完成し南シナ海での運用を進めている。(参照

また、友人深海探査艇「蛟龙(蛟竜)号」が深度3579mへの到達に成功し、7月2日には深度5000mの実験探査を行うため母艦「向阳红09(向陽紅09)」が太平洋に向けて出航した。(参照

ところで、いろいろな記事の見出しで「中国が自主開発した有人深海潜水艇・・・」となっている。

この「中国が自主開発した・・・」表現でピンと来た方も多いと思う。
In the pontoon bridge さんとこの「中国 最新の深海調査船「蛟竜」」によると、

中国は「自力設計・自主開発」と発表しているが、中核技術である、耐圧殻の設計・製造はロシア、浮力材やマニピュレーター、水中投光器はアメリカ製で水中TVカメラ、デジタルカメラ、イメージング・ソナーなどは日本から導入している。

だそうだ(笑)

次記事:太平洋の深海底で発見されたレアアースと、それに対する中国メディアの反応(2/2)


参考資料:
外務省: 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約

4.国連海洋法条約(「海洋法に関する国際連合条約」)
(2)概要
 オ 深海底
1) 深海底(国の管轄権の及ぶ区域の境界(いわゆる大陸棚)の外の海底及びその下)及びその資源は,「人類の共同財産」とされる。
2) いずれの国も深海底又はその資源について主権又は主権的権利を主張し又は行使してはならない。
3) 深海底の資源を管理することを目的として,深海底における活動を組織し及び管理するために,国際海底機構をジャマイカに設置。

国連海洋法条約と日本(pdf)




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