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2012年2月 3日 (金)

低所得の女性ほど肥満率が高い? 疑問を感じたので元データを読んでみた。「平成22年国民健康・栄養調査結果」

“所得低いと生活習慣悪化” NHKニュース

所得が低い人ほど運動する習慣がなく規則正しい食事を取っていないなど、生活習慣が悪化する傾向があることが厚生労働省が初めて行った調査で明らかになりました。厚生労働省は、「健康格差を解消するための具体的な対策を検討していきたい」と話しています。

厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」の、一昨年の調査で初めて所得による生活習慣の違いについて調査が行われ、概略が発表された。

所得が低い人ほど、運動する習慣がなく規則正しく食事を取っていないなど、生活習慣が悪化する傾向があるとし、厚生労働省は、「所得が低い人は生活に余裕がなく健康に気を配ることができないのではないか。健康格差を解消するための具体的な対策を検討していきたい」とコメントをしている。

まるで、『ルポ・貧困大国アメリカ』で書かれていたような「低所得者層の食事がジャンクフードや加工食品など高カロリー食品中心となり、肥満が多くなる。子供の頃からそのような食生活で飼い慣らされ、栄養に関する知識も少なくフードビジネスに狙われ、経済的弱者が肥満になりやすい」、そういう社会になりつつあるとイメージしそうだ。

調査の意義を否定するわけではないが、調査結果と解釈に違和感を感じたので元データを読んでみた。

平成22年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省



結論は、本調査のうち生活習慣調査の回答者の年齢構成は、日本社会の人口年齢構成を反映してか、高齢者が多い。また、女性は中高齢では肥満者の割合が高い。
所得と生活習慣等に関する調査では、回答者世帯は、世帯所得の実際の状況よりも、低所得の世帯数の割合が高く高所得の世帯数の割合が低くなっている。

調査結果を考える際には、回答者に、高齢の回答者が多いことと中高年齢の女性は肥満者の割合が高いこと、そして低所得世帯の割合が実際よりも高いことを考慮するべきだろう。

それらの補正をせずに、所得と肥満度を一対一で結びつけるのは早計と感じられる。



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女性のデータをみてみよう。

女性の、「生活習慣調査」の回答者総数は4209人。
内訳は、20歳代(376人)、30歳代(620人)、40歳代(618人)、50歳代(684人)、60歳代(897人)、70歳以上(1014人)で、60歳以上が45.4%を占めている。

201202kousei01
一方、「身体状況調査」(図19-1 肥満者(BMI≧25)の割合(20歳以上) )より、女性は、年齢が高い方がBMI値(肥満度)が高い人が多い。

201202kousei02
注:棒グラフの上の数値はBMI値ではなく、肥満者(BMI≧25)の割合。

閉経後は女性ホルモンが激減することで太りやすくなるので、全体的にBMI値が高くなるのだろう。閉経を迎える年齢は個人差があるが、平均年齢は50〜51歳だそうだ。(参照

女性の「生活習慣調査」回答者のうち50歳以上は2595人で総数の61.6%とかなり多い。50歳以上の女性の肥満者(BMI≧25)の割合は25.0%なので、女性回答者の15.4%を50歳以上の女性の肥満者が占めることになる。一方、他の年齢層の女性の肥満者の割合は5.4%。

女性の生活習慣の回答結果は、肥満度が高くなりやすい中高齢層の割合が高いことを考慮するべきだろう。


生活習慣病の予防・改善のために普段の生活で心がけている内容(30歳以上)」を見ると、女性は男性よりも「食べ過ぎない」「野菜を多くとる」「脂肪分をとらない」など、ほとんどの項目で気を使っている。
しかし、「運動をするようにしている」という項目と「飲酒をしない」という項目では男性の方が高い結果を示している。

これは高齢の回答者が多いことから、運動の目的が、肥満による生活習慣病の予防からボケ防止など自律した生活に必要な基礎体力の維持に変わったからかもしれない。


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年収と肥満度の関係について
年齢層との関係は調査結果に含まれていないので、年齢補正をかけるのは難しい。

解析対象世帯(※)は3189世帯で、内訳は、「200万未満」が733(23.0%)、「200万円以上~600万円未満」が1,787(56.0%)、「600万円以上」が669(21.0%)となっている。
(※解析対象:調査実施世帯数3,684世帯のうち、回答が得られた3,401世帯(92.3%)から、わからないと回答した212世帯を除く3,189世帯 )

まず、二人以上の世帯の場合、200万円未満というのは平均的な世帯所得ではない。

平成22年国民生活基礎調査によると、所得金額階級別にみた世帯数では、200万円未満の世帯は全体の18.5%だが、本調査では23.0%とやや高い割合となっている。
また、600万円以上の世帯は全体の33.2%だが、本調査では21%と低い。
ここから本調査は、世帯所得と世帯数の実際の状況を、正しくは反映していないことが分かる。
(参照:平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

「表8 所得と生活習慣等に関する状況(20歳以上) 」によると肥満者の割合は、男性はどの所得層もほとんど変わらず30%ちょっと、一方、女性は「200万未満」で25.6%、「200万円以上~600万円未満」で21.0%、「600万円以上」で13.2%となっている。

確かに、女性は低所得の方が肥満者の割合が高い。
回答者数の割合を考えると、「女性は高所得の方が肥満者の割合が低い。」と言う方が適切と思うがそれはともかく、厚労省は「所得が少ない=肥満度が高くなりがち」というストーリーから、健康格差を解消するための具体的な対策をたてる方向で考えているのだろう。

前半で書いた、高齢の回答者数が多いことと、中高齢の女性の肥満傾向は考慮されていなさそうだ。


生産年齢の所得の平均値は年齢ともに上がる傾向にあるので、比較的に低所得となりやすいのは、単独世帯(一人暮らし)や、20歳代か年金支給の高齢者だろう。本調査で年収200万円未満と回答した世帯では、単独世帯、特に高齢の単独世帯の割合が高いのではないだろうか?

高所得の世帯の方が、世帯当たりの構成人数(扶養家族)は多くなるから、食事内容や運動機会も違っているだろう。

平成22年度の国勢調査(一部)が1月31日に発表された。(参照

それによると、平成22年の高齢者単独世帯(65才以上)は、総数で4,790,768世帯。
内訳は、男性が1,385,742(28.9%)で、女性が3,405,026(71.1%)と、圧倒的に女性の割合が高い。(参照:表番号6)(csvファイル)
(ちなみに、平成12年は総数3,032,140世帯 、平成17年は総数3,864,778世帯で、平成22年はさらに大きく増えていた。)(参照

総世帯に対する単独世帯の割合を、女性の年齢層別に計算してみると下表のようになった。

女性(世帯数)総数 単独世帯
20歳代 6,762,171 1,278,775 18.9
30歳代 8,956,713 876,766 9.8
40歳代 8,346,637 642,188 7.7
50歳代 8,211,168 718,092 8.6
60歳代 9,405,180 1,264,069 13.4
70歳以上 12,486,874 2,751,428 22.0

年齢層ごとの単独世帯の割合を、本調査の女性の年齢層ごとの「生活習慣調査」回答者数に反映させると、女性回答者のうち単独世帯は583世帯。内訳は、20歳代(71世帯)、30歳代(61)、40歳代(48)、50歳代(59)、60歳代(121)、70歳代(223)。
高齢の単独世帯が多い。

65歳以上という区分はないが、60歳代後半の割合は半分よりも高いだろうから、ざっくりと300世帯としてみた。
これは女性の回答者の単独世帯数の半分で、解析対象世帯(3,189世帯)の9.5%に相当する。

もちろん一人暮らしの女性の高齢者の多くが、年収200万円未満の低所得世帯というわけではないが、補正をかけずに無視をするには大きい値だ。



所得と生活習慣や肥満度の関係を調べるのは、国民の健康、社会保障と医療費の削減、生活習慣病などの予防などを行う上で、とても意義のある調査だ。
しかし回答者の年齢の偏りと、中高齢の女性の体質などを考慮せず、「女性は、所得が低いほど肥満者の割合が高い傾向がある」と断言するは早計だろう。

『ルポ・貧困大国アメリカ』で紹介している貧困世帯は、高齢者世帯ではなく、フードスタンプを支給されている低所得者世帯であり、子供が通う学校の給食予算削減とそれを狙うフード産業や社会構造を描いている。日本は、他国もこれまでに経験していない超高齢者社会となりつつあり、それに見合った調査と解析をしなければならないだろう。

だからこそ、今回のような、とってつけたような結果ではなく、しっかりと調査をして結果を出して欲しいと思う。
また、しっかりとした報道をして欲しいものだ。




とまあ、ちょっと斜めに考えてみたけど、低所得世帯の「習慣的な朝食欠食者の割合」も高い反面、女性は高齢の方が朝食欠乏者の割合が低いので、これだけを理由にすると少し食い違ってきそう・・・(汗)
生産年齢に限定すると、所得が低い世帯では規則正しい食事を取れていない傾向がある、という解釈は合っているのかもしれない。

メモ
BMI値は22.9。
寒いのでちょっと溜め込んでます。
暖かくなったら運動せねば!


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コメント

低所得の女性ほど肥満率が高い…
強烈なタイトルですが、興味深い内容ですよね。
参考になりました。

ホルモンヘルス★吉野 さま
コメントをありがとうございます。
(確認と公開が遅れました。すみません。)

ニュース報道の強烈なタイトルなりに、いろいろと違和感を感じたので、調べてみました。
強烈なタイトル→強烈な結論となるような、単純なものの見方が蔓延っているのが、少し気になっています。

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