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2012年7月14日 (土)

マテ茶と健康|(3)発がん性リスク

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マテ茶に発ガンリスクがあるというネットの書き込みを読んだり、報道を見たことがある人もおられると思います。

日本マテ茶協会では、その報道に対して見解を出しています。

当協会の見解
一部のインターネットサイトやそれを根拠としたテレビ報道について、誤った情報が流れておりますので、当協会としての見解をお伝えいたします。
報道内容は「熱いマテ茶を飲むとガンの発生率が高まる」と言うものでした。
確かに、マテ茶を飲むある地域では喉頭癌や食道癌の発生率が高いと言うことは言われています。しかしこれらはマテ茶がガンの発生率を高めているのではなく、マテ茶を飲む方法によってガンのリスクが高まっていると考えられます。
 (中略)
以上のことから、「熱いマテ茶を飲むとガンの発生率が高まる」と言うのは間違いであり、逆にマテ茶は「ガンのリスクを下げる」と言うことになります。しかし、マテ茶の伝統的な飲み方であるシマロンでマテ茶を飲用する場合は、熱湯を入れて飲むことは注意が必要であります。あまり熱すぎないお湯を使用し、一気に飲み込まず静かに飲むことをお勧めいたします。

マテ茶の報道について|日本マテ茶協会

引用が長くなりました。
詳しくは後で書いていきますが、私の簡単な結論を先に書いておきます。

・マテ茶の本場のウルグアイやブラジルの研究では、喉頭ガンや食道ガンだけでなく、胃ガン、肺ガン、子宮ガン、腎臓ガンや膀胱ガンなどとの関連も調査されている。
 これらは、熱い飲み物と飲み方だけでは説明がつかない。
 上記の日本マテ茶協会の見解では、ごく一部だけを説明し、逆に「ガンのリスクを下げる」と反論している。
・マテ茶製品の茶葉や、被験者の尿から高いレベルで、ベンゾピレンなど発ガン性リスクのある化学物質と関連物質が見つかっている。
 研究は現在進行形で進められている。
・マテ茶の、伝統的な製法によって作られたものは汚染されている可能性がある。
 それは、採取した茶葉を、火と煙であぶって乾燥する工程。
 ブラジルで店頭販売されているマテ茶製品の中には、これが含まれるものがある。
・日本での、マテ茶の飲み方や量では気にすることはない???(確証なし)
 日本で売られているマテ茶製品には、分析データも、茶葉の製法の情報もない。

もしあなたが、飲食物のリスクを強く気にされるなら、耳障りの良い宣伝文句に釣られず、分析データも情報もないものは口にしないという選択肢も考えるべきかもしれません。



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国立がんセンターはウェブサイトで、マテ茶とがんの関係について慎重な表現で書いています。

南米で非常な高温で飲まれる習慣のあるマテ茶が食道のがんのリスクを上げることは"ほぼ確実"であると指摘されています。また、口腔、咽頭、喉頭のがんについても、"限定的"ではありますが、リスクを上げるとする研究結果が見られます。

生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究 | 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター

このように日本語だと、食道や喉頭あたりの癌についての情報が多いですが、独立行政法人 国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報や、マテ茶には発がんリスクあり!では、胃ガンや腎ガンのリスクについて触れています。

私は発ガン性リスクの有無自体よりも、これまでのマテ茶関係の記事で書いてきたように、販売者の広告に不満と不安を感じ、充分な情報が提供されていないところを心配しています。



ウルグアイ国立がんセンターの、デ・ステファニー(Eduardo De Stefani)ほかの研究では、過去の研究を追跡調査する形で、マテ茶を飲む量は、喉頭がんや食道ガンだけでなく、体の他の部位のガンと関連づけられるという結果を報告しています。これは2011年の論文で、現在進行形で研究が行われているようです。

Maté Consumption and Risk of Cancer: a Multi-site Case-Control Study in Uruguay(pdf)
(マテ茶の消費とガンのリスク:ウルグアイの複数のケース・コントロール研究)

1990年から2004年の、ウルグアイのモンテビデオ市の4つの病院の患者13,201人を対象に、マテ茶の消費量と13種類のガンについて調査をしました。一部を簡単に訳してみましょう。

結論として、これまでの研究で述べられたように、マテ茶の飲用は、上気道消化管、食道、胃、喉頭、肺、子宮、膀胱、腎臓のガンと関連づけられる。一方で、口腔、咽頭、大腸、直腸、女性の乳ガンなどはマテ茶の飲用とは関連づけられない。マテ茶の発ガンへの影響について、さらなる研究が必要である。

In summary, the present study displayed that maté drinks were positively associated with cancers of upper aerodigestive tract, esophagus, stomach, larynx, lung, cervix uteri, bladder, and kidney. On the other hand, cancers of the mouth, pharynx, colon, rectum, and female breast were not associated with maté consumption. Further studies, focused on mechanisms of maté influence on carcinogenesis are needed.

研究では、ベンゾピレンなどの化学物質が、ガンの部位に対するマテ茶の発ガン作用の原因である可能性があるとも書いています。

ベンゾピレン(ベンゾ[a]ピレン)は、多環式芳香族炭化水素ではじめて発ガン性が確認されたことで有名な化学物質です。「焼き肉や焼き魚の焦げた部分に発ガン性がある」という話を聞いた人も多いことでしょう。
(追記:誤解されそうな表現だったので追記。魚や肉の焼け焦げ自体は心配する量ではないとされています。一方、紹介している研究では、消費量とがん患者との相関関係やリスクファクターが調べられています。)

300℃から600℃の間で不完全燃焼する。コールタールや自動車の排気ガス(特にディーゼルエンジン)、タバコの煙、焦げた食べ物の一部などに含まれる。
ベンゾピレン - Wikipedia
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ブラジルの最南端の、ウルグアイと接するリオグランデ・ド・スール州の大学病院で行われた血液検査や尿検査で、喫煙者とともにマテ茶を愛飲する健常者の尿に、多環芳香族炭化水素(PAH)の曝露を示す物質が濃縮していることが確認されています。

Higher urine 1-hydroxy pyrene glucuronide (1-OHPG) is associated with tobacco smoke exposure and drinking maté in healthy subjects from Rio Grande do Sul, Brazil.
(ブラジル、リオグランデ・ド・スール州での、喫煙者とマテ茶を飲用する健常者の尿の高レベルの1-OHPG)

"1-OHPG"(1‐ヒドロキシピレングルクロニド)は、人体への多環芳香族炭化水素(PAH)の曝露の指標として使われているそうです。
以下、一部を簡単に訳してみましょう。

結論
喫煙とマテ茶の飲用は、ブラジル南部の人々を高レベルのベンゾ[a]ピレンにさらしている。この高レベルの多環芳香族炭化水素(PAH)の曝露は、住民に見られる食道ガン(食道扁平上皮癌:ESCC)の高い発症率の一因だろう。マテ茶に関連づけられる尿中の1‐ヒドロキシピレングルクロニド(1-OHPG)の濃縮は、(食道ガンの原因が(訳注))熱傷だけでなく汚染の影響があることを示唆しており、過去の研究で報告された、マテ茶の消費量と食道ガンリスクの増加の関連についての説明を補うだろう。

Conclusion
Tobacco smoke and maté both contribute to high levels of benzo[a]pyrene exposure in the people of southern Brazil. This high PAH exposure may contribute to the high rates of ESCC observed in this population. The increased urine 1-OHPG concentrations associated with maté suggest that contaminants, not just thermal injury, may help explain the increased risk of ESCC previously reported for maté consumption.

熱傷が原因で食道癌になったか、なりかけているものが、高濃度のベンゾピレンなど発ガン性の多環芳香族炭化水素の曝露によって悪化した可能性が示唆されています。

ウルグアイは米国以上の牛肉消費国で、アサードというバーベキュー料理が有名です。隣接するブラジル南部地域も似た食生活と考えられるでしょう。これがベンゾピレンの原因である可能性もありそうです。
しかし2008年の研究では、店頭販売されている8つのメーカーのマテ茶を、熱い湯(80℃)と冷たい水(5℃)で作って分析したところ、熱いマテ茶だけでなく冷たいマテ茶でも多環芳香族炭化水素(PAH)が検出されています。(参照:en

この汚染の原因は、マテ茶の製造工程にあると考えられているようです。

マテ茶は、マテの木の葉を採集して、それを乾燥させ、加工して作ります。
伝統的な方法では、大きな煙突(垂直型・水平型)を使い、その中にマテの葉を入れ、薪を焚いて、その熱と煙でいぶすように乾燥させます。
大手のマテ茶メーカーで、伝統的な製法を使い乾燥させている、と言っている所もあります。(詳細が分からないので、風評被害とならないようリンクは載せません)

その燃焼の副生成物である、ベンゾピレンなど発ガン性の多環芳香族炭化水素が、マテ茶の茶葉で高濃度になり、そのまま製品化されていると考えられるそうです。

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マテ茶と発ガンリスクについて、米国の非営利団体PLoS(Public Library of Science)のMelinda Moyer氏が、PLoSのウェブサイトで紹介し、問題提起をしています。
PLoSは、学術情報に対するオープンアクセスを主張する、米国の生物医学分野の研究者を中心とした非営利団体です。(参照

The hottest new health drink—that might give you cancer(一番ホットな新しい健康飲料 ー 発ガン性があるかもしれない)

アリシア・シルベストリやマット・ディロン、マドンナたちが愛してやまない、南アメリカから来た新しい健康飲料「マテ茶(Yerba Mate)」。
しかし、口腔ガン、食道ガン、肺ガン、肝臓ガンや膀胱癌の危険性について報告されてきました。

意訳。内容は、この記事で書いたものとだいたい同じです。
この記事に対して、マテ茶の大手メーカーのひとつ Guayaki社の営業担当副社長がPLoSに見解を送っています。

The Yerba maté industry responds(マテ茶業界の反応)

研究結果があまりあてにならないと前置きをした後、いろいろ書いてあり、こう締めくくっています。

多環芳香族炭化水素(PAH)は、食品、飲料、バーベキューの肉や甲殻類、水、コーヒーや茶、ありとあらゆるところで見つかっています。
多環芳香族炭化水素(PAH)は、環境汚染、収穫や燻煙プロセスに起因すると、研究は示唆しています。重要な点は、過去の調査で、オーガニックで空気乾燥されたマテ茶の茶葉(yerba mate)には、green teaよりもずっと少ない量の多環芳香族炭化水素(PAH)しか検出されていないことです。

Human and environmental PAH’s are found virtually everywhere including foods and beverages such as barbecued meats, shellfish, water, coffee and tea.
Research suggests that PAH may result from environmental pollution, harvesting and smoke finishing processes. It’s important to note that organic, air-dried yerba mate is found to contain lower amounts of PAH than green tea in recent testing.

オーガニックで空気乾燥なら汚染は少ないと書いているあたり、汚染を認めているような返事なので、オーガニックでも空気乾燥でもない製品はどうなんだ?、とツッコミたいところですが、それはともかく(笑)

同じ様な企業や業界の見解と山ほど戦ってきたというMoyer氏は、あまり納得していません。
記事の最後でこう書いています。

「マテ茶は「ガンのリスクを下げる」飲み物として売っているくせに、実際には、発がんリスクを下げるだけでなく発がんリスクを上げるという多くの証拠があることを、もっと気にするべきです。」

その通りだと思います。

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近頃は、放射能だと、ミリシーベルトどころか1マイクロシーベルト未満でも曝露したくない人もいるようです。
考え方や感じ方は人それぞれですが、その人なりに、いろいろな情報を調べて、データを集めて、リスク・マネージメントをしているのしょう。

逆に情報がないという不安感は、311後の現在では、特に感情的に増幅しやすくなっています。

日本で販売されている、マテ茶がどういう製法で作られたのか書いている製品は見かけません。(全ての商品を確認したわけではありません)
マテ茶の「お茶」や「茶葉」に、ベンゾピレンが含まれているのか、いないのか、分析データは見あたりません。
日本語での詳しい情報は見つけられませんでした。
(日本人名らしき著者のマテ茶関係の英文論文が意外とあるので、ネット非公開の研究論文にはあるかもしれません。)

日本では、「健康にいい、健康にいい」「ガンのリスクを下げる」と、都合のいい情報が強調されています。原発についての東京電力の対応みたいで、聞いていて、いい気分ではありませんね。劣化コピーされた宣伝文句の連呼は、特にそうです。


本文では触れることが出来なかったのですが、ニューヨーク食育&フード事情さんとこのマテ茶が癌リスクをあげるらしい・・・ の記事の内容が、私のスタンスとよく合っています。

私は、発がんリスクがある可能性を踏まえた上で、消費量は微々たるものだからあまり心配することはない(かもしれない)と、けっこう楽観的に考えて、毎日飲んでいます。
不安になったら、そしてマテ茶に飽きていなかったら、Guayakiの副社長が言っているようにオーガニック・マテを飲みましょうか。その時は、メーカーに製法を問い合わせるでしょう。


次は、「(4)マテイン?それともカフェイン?」の予定です。(タイトルは変更するかもしれません)

マテ茶と健康|(4)マテイン?カフェイン?

メモ
出来るだけ参照数の多い論文を使いましたが、生理学者でもマテ茶専門家でもないので、論文や書いた科学者の信頼性まではチェックしきれていません。
もしかすると、マテ茶を目の仇にする放射脳な科学者だったり、業界の御用学者の論文なのかもしれません(笑)
ま、その辺は、専門家が調べることでしょう。

一連のマテ茶記事では、マテ茶の製品画像リンクをアイキャッチがわりに貼っていますが、この記事では、特定のマテ茶製品とガンがイメージづけられる恐れがあると考え、使いませんでした。
ブログサービスがココログフリー(無料版)なので、ココログ側が自動で貼り付けるGoogleアドセンスの広告までは責任はもてません。


この記事は、医者ではない当ブログ管理人が書いたものであり、健康に関するアドバイスではありません。健康についての判断が必要な場合は医師の指示を仰いでください。


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