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2012年7月 7日 (土)

『希土類少女(レアアース・ガール)』 青柳碧人著 読了

希土類少女希土類少女
青柳 碧人

講談社 2012-04-28
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レアアースのニュースを調べていて偶然に発見した一冊。


希土類少女 青柳碧人著 「レアメタル産む少女」の切ない話(日本経済新聞)

 ガドリニウム、モリブデン、ジスプロシウム……。あまり聞き慣れない元素名だ。それら希少な金属、いわゆるレアメタルは、現代日本のエレクトロニクス産業には不可欠な物質である。
 そこに注目した本書の設定は、それがなんと日本の少女の身体から産出されるという「レアメタル生成症候群」。  鉱物資源の少ないわが国では、海外からの輸入に頼っているわけだから、まことにめでたい現象のように思える。
(中略)
主人公はレアメタルの中でもさらに希少な、希土類元素(レアアース)を産出する娘で、死生観や恋のエピソードが、金属元素をめぐる逸話も交えながら展開し、非常に味わい深い。

作者の著書は初見。ミステリー作家らしい。
最初、文庫コーナーやラノベコーナーを探してさ迷ってしまったが、四六判のソフトカバーの単行本。



13歳から25歳までのごく一部の女性に現れる「レアメタル生成症候群」。体内でレアメタルが生成される症状のことを言う。
彼女達が生み出すレアメタルは製錬の必要がないほどの高純度で、安定して供給されるため、国家によって家族から引き離され、隔離されて、学生寮のような施設で暮らしている。そこには、典型元素棟、遷移元素棟、レアアース棟とあって彼女達は共同生活をし、時には体育祭なども行われている。

主人公の冴矢は、わき腹からジスプロシウムの塊を生み出す。ジスプロを生み出す人は、今は1人しかいない。

本作で面白かったのはキャラクター紹介で、普通はまず外見や雰囲気、性格などが描かれると思うが、本作ではまず彼女の持つ症状のレアアースの原子番号、元素記号と密度、特徴が書いてある。
冴矢は「ジスプロシウム、原子番号66・元素記号Dy・密度8.55g/cm3、工業的に重要な価値を持つ・・・」。他のレアアース少女たちでも詳しく書かれていて、あたかもレアアースの特徴が彼女達の一面でもあるかのようだ。もちろん、会話や行動描写でどんなキャラかはイメージできるが、面白い描き方をしている。

さあ、「レアアースを生み出す女性たち」というアイディアで、どう話が動いていく?


世界的な資源獲得戦争に巻き込まれる中、彼女達は、レアアースの特徴の特殊能力を持つ魔法少女レアアース少女として活躍、イットリウム少女はYAGレーザーを発射し、ラストでは主人公のジスプロ少女が超磁力パンチを放って敵の機動部隊を機能停止、壊滅させるのだろうか・・・、
とまあ、作者の作風をぜんぜん知らないので勝手な妄想して、(↑これは当然、妄想の産物です(笑))、わくわくしながら読み進めた。

途中、ちょっと戸惑うところもあったけど・・・

なるほど、こうきたかー



レアアースの特徴をうまくとりあげて、製錬・加工している。

結末は読む人それぞれの好みだけど、最後まで読んでから思い返してみると、白金族を生成するお嬢さまグループや、その他の道具立てもゴニョゴニョゴニョ
前作について、ミステリ作家の北山猛邦が「絶妙なバランスにある」とコメントした(wikipedia)そうだ、本作も面白いバランスで書かれている。


もしかしたら、新しい鉱脈を発見したのかもしれない。
前作も読んでみよう。



浜村渚の計算ノート (講談社文庫)
青柳 碧人

浜村渚の計算ノート (講談社文庫)

浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト (講談社文庫) 浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫) 浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理 (講談社文庫)

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