マテ茶と健康|(1)序
コカ・コーラのペットボトル飲料『太陽のマテ茶』の売れ行きが絶好調だそうです。
コカ・コーラシステムが2012年3月19日(月)から全国で発売した新製品「太陽のマテ茶」の売れ行きが大変好調で、計画を大幅に上回り、発売 開始2カ月(5月18日時点)で4,000万本(500mlPET換算)を突破いたしました(*1)。
*1)出荷ベースを元に500ml換算。自社データ
日本コカ・コーラ | ニュースリリース
個人的にはマテ茶は嫌いじゃないし、暗い雰囲気ただよう今日この頃、『タベル、アソブ、マテ茶』のコンセプト(個人的に『栄養あるもの食べる、体を動かす、健康に気をつかう』と意訳)で、何となくでも元気が出そうな商品は応援したい気もします。
でも、前の記事で書いたように、その広告の内容には首を傾げるようなものがあります。
いろいろと調べていたら、いろいろと違和感を感じるネタが出てきたので、いろいろと書いてみましょう。
(この記事ではさわりだけを書いて、後の連続記事で情報ソースを載せて詳しく書きます。)
コカコーラが『太陽のマテ茶』を発売してから、ちょっとしたマテ茶ブームらしく、マテ茶の通販サイトが雨後の竹の子のように出てきました。こうなると、いい加減な広告も増えてしまうのは世の常なのでしょうか。
中には、『太陽のマテ茶』の宣伝文句の「マテ茶の"茶葉"にはレタスに比べて約25倍の食物繊維が含まれている」を劣化コピーして、「マテ茶にはレタスの25倍の食物繊維が含まれている」と書いている所も多々あります。
マテ茶の「お茶」には、食物繊維はほとんど入っていません。
コカコーラに問い合わせた人もいて、「微量しか入っていない」と回答をもらったそうです。
『太陽のマテ茶』発売以前からマテ茶を販売している、いわゆる老舗の中には「マテ茶に含まれる成分に食物繊維を書いていない」ところもあるという事に気付いている人も多いことでしょう。
これが「マテ茶って食物繊維多いらしいね」と世間話する程度なら勘違いな笑い話で済みますが、通販サイトの広告だとダメでしょ。
そこんとこコカ・コーラは広告のやり方が、尊敬できないけど、うまくて、グレイゾーンを外れないぎりぎりの所を攻めています。
そして、うっかり者がブラックな所に入り込んでしまう。
(注)「マテ茶」とだけ書くと、「茶葉」か「お茶(浸出液)」か、あるいはマテ茶の植物か分かりにくいので、必要な場合はそう書くようにしています。
(wikimedia commons)
「肉を沢山食べる」のに「南米の人には肥満体が少ない」、それは「マテ茶を飲んでいるから!」という、3点セットの広告を目にした人も多いでしょう。
実際のラテンアメリカを知っている人の中には「南米に肥満体が少ない???」と、違和感を感じた人も多いのではないでしょうか。
あのアメリカ合衆国と比べて低いと言っているのでしょうが、太り過ぎや肥満の割合は先進国平均と同じくらいで、けっこう高いです。
日本と比べると、太りすぎ率は2.5倍、肥満率は5〜6倍です。
(*)細かい説明、情報ソースやURLは、後の記事で載せていきます。
では、マテ茶には体重を減らす可能性はないのでしょうか?
ネットショップの広告では「マテ茶の抗肥満効果として、肥満患者にマテなどの抽出物のカプセルを45日間飲ませたところ体重が5kg以上減った」という宣伝文句が使われています。
これは論文の半分だけです。
論文の題名は「Weight loss and delayed gastric emptying following a South American herbal preparation in overweight patients(肥満患者における、南米の薬草調合剤による、体重減少と胃内容物排出の遅れ)」です。
題名から分かるように、論文では肥満患者の体重が減った原因は、胃内容物排出時間が遅くなったためだろうと書かれています。
日本でのマテ茶の広告では、日本マテ茶協会も含めて、「研究によると体重が減った」という、都合のいいところだけを抜き出しているところばかり。
(wikimedia commons)
日本マテ茶協会のウェブサイトには、マテ茶とその魅力について多く書いてあります。
正直な感想として、(もっと酷い商品情報をいろいろ知っているので)ちゃんと書かれていると思いますが、なんか都合のいい事ばかりを抜き出しているような違和感も感じます。
これが、「健康茶」という輸入量・販売量が少なく利用者も多くはないだろうマイナー・ジャンルなら、わざわざ長文で書こうという気にはならなかったと思います。それは、知名度が低く研究も少ないというハイリスクなモノを、健康に良いらしいというハイリターンの可能性を期待して飲むわけですから、自己責任の部分が大きいと考えているからです。
しかし今年になってから、マテ茶の宣伝が大規模に行われています。
「マテ茶は、コーヒー、紅茶とあわせて世界3大飲料」だそうです。
コカコーラというグローバル・プレイヤーが「太陽のマテ茶」飲料を出してきて売れ行きも好調だそうです。
世界3大飲料の一つなら、日本語になってないだけで研究がされていないわけがない。実際に、私のような素人がちょっと調べただけでも、スペイン語やポルトガル語だけでなく、英語でもけっこうたくさん見つかります。
メモ
別に、賢い消費者を気取ろうというつもりはないんですよ。
ただ、311以後は特に、都合のいい情報だけを公開して「安全、安全」と言って誤魔化し続ける政府やマスコミ、企業のやり方にいらだつことが多いのは私だけではないでしょう?
マテ茶の広告では、都合のいい情報だけを公開して「健康にいい、健康にいい」と言って売っている感じじゃないですか。
最初に書いたようにマテ茶は嫌いじゃないし一般的になって欲しいけど、ちょっと日本語情報を増やしてみようか。こんなところ。
次は「(2)不都合な真実」、その次は「(3)発ガン・リスク?」の予定。(タイトルは変えるかもしれません)
2日以内に公開予定。
・マテ茶と健康|(2)不都合かもしれない真実(前編)
・マテ茶と健康|(2)不都合かもしれない真実(後編)
・マテ茶と健康|(3)発がん性リスク
以下、続きます。
この記事は、医者ではない当ブログ管理人が書いたものであり、健康に関するアドバイスではありません。健康についての判断が必要な場合は医師の指示を仰いでください。
(wikimedia commons)
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