マテ茶と健康|(6)含有量: ミネラル(お茶(浸出液))

(wikimedia commons)
マテ茶について、今のところ、販売業者のサイトでは触れられていない研究結果の紹介から。
2011年に発表された論文では、アルゼンチンで、マテ茶を日常的に飲んでいる女性の骨密度を、飲んでいない女性と比較して調べたところ、飲む習慣のある女性は骨密度の数値が有意に高いことが報告されています。
Yerba Mate (Ilex paraguariensis) consumption is associated with higher bone mineral density in postmenopausal women(ProMed)
(マテ茶の消費量は、閉経後の女性の骨密度の高さと関係がある)
概略は次の通り。
アルゼンチンで、日常的にマテ茶を飲む習慣のある女性と習慣のない女性の食生活を詳しく調査し、腰椎および大腿骨頸部の骨密度(BMD)を調べたところ、マテ茶を飲む習慣のある女性の骨密度は、腰椎で9.7%、大腿骨頸部で6.2%高い値を示しました。
似た研究は各地で行われています。英国での紅茶についての研究では腰椎で5%高い値が、中国での中国茶についての研究では腰椎で4.3%、大腿骨頸部で4.7%高い値が出ています。
今回のマテ茶についての研究はそれらより高い値です。
論文ではその理由として、マテ茶に含まれるカルシウムとフラボノイドが影響しているのかもしれないとしています。
元の論文を読んでみると注目すべき点が2つあります。
論文では、紅茶や中国茶だけでなく、日本の緑茶についての研究結果も紹介されています。
緑茶を日常的に飲む習慣のある女性は、飲まない女性に比べて腰椎の骨密度が10%高いと、マテ茶以上の数値が書かれています。
日本でニュースにもなっていて、フラボノイドの効果かもしれないそうです。(参照:お茶が高齢女性の骨密度低下を抑制(2007.11.12掲載))
次に、アルゼンチンでのマテ茶の一人当たりの年間消費量は6kgと書かれています(コーヒーは0.7kg/年、茶(tea)は0.1kg/年)。
伝統的な飲み方は、容器に茶葉をたくさん入れて作り、かけらが混じるような飲み方なので、茶葉もいっしょに飲んでいるのでしょう。
日本での一般的な飲み方では、この結果をそのまま当てはめることは出来ません。
カルシウムが出てきたので、ミネラルについて。
マテ茶の販売サイトの広告を読むと、「ミネラルが豊富」とよく書かれています。
緑茶の何倍、烏龍茶の何倍と書かれているので、同じお茶を飲むなら緑茶、紅茶、烏龍茶よりマテ茶を飲みましょうという意味なのだと思いますが、中には「日常の欠乏しがちなミネラルの補給にマテ茶を~」というような、違和感を感じさせる宣伝文句があります。
カルシウムが豊富、マンガンが豊富、亜鉛が豊富と良いことずくめのように書いているけど・・・
「茶葉」に含まれるミネラルって、そんなに簡単に「お茶(浸出液)」に溶け出すものでしたっけ?
(以下、マテ茶の茶葉は「茶葉」、浸出液は「お茶」と括弧付きで書いていきます。)

(wikimedia commons)
昨年以前(『太陽のマテ茶』発売以前)からマテ茶を扱っている、所謂“老舗”の複数の販売業者のサイト(参照)には、「カルシウム(792mg)・・・・亜鉛(5.6mg)」と書かれています。(*)
煎茶のカルシウムが300mgなので、「茶葉」に含まれる量を比較したものですね。
どこもだいたい同じ数値を使っています。(日本貿易振興会(JETRO)が2002年に発行した冊子『マテ茶を知っていますか・・・?』(検索|JETRO)が引用元らしい。)
(*)この分析数値が載っているから、所謂“老舗”という意味ではありません。念のため。
では、マテ茶の「お茶」には、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などミネラルはどのくらい含まれているのでしょう?
日本ではマテ茶は100%輸入ものなので、海外の分析結果が参考になります。
世界三大飲料のひとつだけあって、多くの研究論文が見つかります。(*2)
たとえば、ブラジルとスペインで店頭販売されている複数のマテ「茶葉」の製品を使って、「茶葉」と「お茶」に含まれるミネラルが分析されています。
(下表の項目は、左から、ミネラルの種類|「お茶」(ブラジル)|「茶葉」(ブラジル)です。続いてスペインの商品の「茶葉」・・・ ページ幅の制約から右側をトリミングして割愛しました。)

Yerba maté: Pharmacological Properties, Research and Biotechnology (pdf)
(イェルバ・マテ:薬理学的特性、研究とバイオテクノロジー)
ブラジルで売られているマテ「茶葉」に含まれるミネラルは、カルシウム(630mg)、マグネシウム(490mg)、リン(90mg)、鉄(18.5mg)、銅(0.89mg)、亜鉛(4mg)、クロム(0.15mg)(いずれも茶葉100gあたり)です。
ジェトロのデータと比べても極端には違いません。若干違うのですが、前の記事で、製品によりカフェイン等含有率が違う事を紹介したように、分析サンプルの違いだと思われます。
ちなみに、マテ茶の本場の南アメリカと輸出先との違いか、スペインで売られている製品はほぼ全てのミネラルで低い値が出ています。

(wikimedia commons)
続いて本題の、マテ茶の「お茶」に含まれているミネラルを見てみましょう。(上の"Table.4"の1列目)
研究で使われた「お茶」は、シマロン(chimarrão)という茶葉をたくさん使う伝統的な飲み方を想定しています。
80℃のお湯1リットルに70gの大量のマテ茶「茶葉」を入れて作り、その1リットルの「お茶」に含まれるミネラルを分析しています。(参照:pt)(*3)
カフェインの含有量を調べた記事と同じく、
日本で、一人分のお茶で使われるだろう量の“茶葉3g”で再計算してみます
(使うお湯の量は、普通のお茶の量であれば150mlでも500mlでも、溶け出すミネラル分はそれほど変わらないと仮定)
| マテ茶のお茶(浸出液)に含まれるミネラル | ||
| 茶葉3gあたり(mg) | 1日摂取必要量に対する割合 | |
|---|---|---|
| カルシウム | 1.886 | 0.31% |
| マグネシウム | 8.057 | 2.69% |
| リン | 1.757 | 0.25% |
| 鉄 | 0.014 | 0.12% |
| マンガン | 1.457 | 48.57% |
| 銅 | 0.012 | 0.75% |
| 亜鉛 | 0.009 | 0.07% |
| クロム | 0.002 | 0.01% |
| アルミニウム | 0.147 | - |
「お茶」だけだと、1日の摂取必要量のごくごく一部。(**) (ノ∀`)アチャー
もし、この「お茶」に、「茶葉の欠片」が3.3%強(0.1g相当、計算しやすい値として)が混入していたとしても、大部分のミネラルは1日摂取必要量の1%未満です。
(**)マンガンだけ突出して大きい値となっています。スペインで売られている製品でも同じ傾向。不可解。Mnの1日の摂取上限摂取量は10mgと設定されているけど、大丈夫???(専門家の再評価待ち)
もし、マテ茶の「お茶」を毎日のミネラル源のひとつと考えたいなら、アルゼンチンの例のように、20g近くの「茶葉」をたっぷりと使ったマテ茶(茶葉の欠片もたっぷりと)を、1日に数杯、習慣的に飲む必要があるのではないでしょうか
次は、「(7)ポリフェノール、サポニン」の予定です。(タイトルは変更するかもしれません)
この記事は、医者ではない当ブログ管理人が書いたものであり、健康に関するアドバイスではありません。健康についての判断が必要な場合は医師の指示を仰いでください。
(*2)素人でも簡単に見つかります。
(*3)「茶葉」は、70%が「葉」で30%が「茎」としています。日本で売られている製品の割合が分からないのでそこは無視しました。
仮に、日本で売られている製品が90%以上が「葉」だとしても、0.1%が0.15%となる程度で、そう大きな違いはなさそうです。
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