上海の猛暑日の「ガラスの雨」対策 2012
(西部网より)
夏の風物詩となった感のある、中国のガラスの“自爆”事故。
定番すぎて、チャイナボカンとも言われなくなった気もする。
今年は中国でも暑い日が続き、台風が大陸に上陸することも多いため、毎日のようにガラスの“自爆”ニュースが流れている。(*1)
特に多いのが、強化ガラスを使ったガラスカーテンウォール建築の外壁やショッピングモールのガラスルーフなど、直射日光で熱されて強風の影響を直接に受けるところ。破片が「ガラスの雨」となって降り注ぐ。
地下鉄ホームの線路への転落防止のためのホームドアや大型ガラスの“自爆”事故のように大きくニュースになるものだけでなく、ニュースにならない“自爆”も多いことだろう。
参考記事:中国で降り続くガラスの雨 ガラスの自爆率を調べてみた
上海では今年2月に、住宅、病院、小中学校、託児所や幼稚園、老人ホームなどの建物の2階以上の外壁に、ガラスカーテンウォールを施工することを禁止する条例が施行された。
新築、改築や増築で適用されるが、すでにある建物では、交換や補修・補強などなんらかの安全対策がされるまでは、“自爆”事故が続きガラスの雨が降るだろう。
昨年の調査では、上海のガラスカーテンウォール建築のビルでの自爆率は0.5%(2万4000枚中 124枚)。「時限爆弾」とも呼ばれている。
そこで7月に、さらなる安全対策の通知が発せられた。
上海发文要求高温天两人观察一面墙 或难以操作(新民网)
「上海では、猛暑日にはビルの外壁毎に2人の監視員の配置が求められる。無駄じゃね?」(意訳)
通知の全文。
关于进一步加强防汛防台期间玻璃幕墙建筑安全防范工作的通知 [沪建交联〔2012〕729号]
この通知の中で、防汛防台期间(洪水・台風安全期間)の気温が摂氏35度以上となる猛暑日には、ガラスカーテンウォールのビルでは、外壁の各面ごとに2人以上の監視員を配置することが求められている。
为提高应急处置效率,《通知》要求各业主、各级部门建立健全安全防范应急机制。其中包括建立对建筑玻璃幕墙外立面的专人观察制度,确保对同一外立面设置2位以上观察人员,并建立观察记录。凡属35度以上高温天气,应确保对各外立面每小时有2人以上同步观察。
(新民网より)
双眼鏡を使って、ガラスを監視するのだろうか。
強化ガラスに応力が集中して割れるときは、一瞬で破裂するから、あまり意味がなさそうな・・・
記事では、「淘淘浆糊」と締めくくっている。
「淘浆糊」は、糊をすくうことで、「いいかげん」「信用できない」という意味の上海の方言だそうだ(参照)。
それでも“自爆”事故が起こった時には、速やかに交通局など当局に連絡することで、交通規制と立ち入り禁止区域が設定され、被害が広がらないように応急処置がとれるだろう。
その他にも、ビルの管理人には、各階を巡回しテナントに対して、室内温度を摂氏26度以上(ガラスの内側外側の温度差を縮める)にするよう要請したり、ガラスカーテンウォールに重い物や硬い物を寄り掛からせたり、何かをぶつけたりしないよう注意をすることが求められている。
人海戦術なあたり、なんか中国的な対応でした。
(*1)「毎日」は誇張だけど(笑)、かなり多い。
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