傍点で強調された部分|村上春樹・朝日新聞寄稿・全文について
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村上春樹氏が、朝日新聞9月28日本紙に寄稿した「魂の行き来するする道筋」について、さまざまな感想が述べられている。
全文は、朝日新聞のサイトで読むことができる。(要、登録)
また、全文が、あちこち転載されている。
ネットにある全文のひとつ(9月30日午前10時現在)が、朝日新聞本紙の文章と同じことは両者を突き合わせて確認したが、本紙と微妙に違う部分がある。
ひとつは、難読漢字のルビが括弧で補足されている。(例:賑(にぎ)やかに騒いだあと〜)。
上記リンクの茂木健一郎氏のコメントでも同じ書き方がされている。
もうひとつは、2箇所の傍点で強調された部分が反映されていない。
これは残念だ。
その2箇所を、傍点付きで書き出し・引用させてもらおう。
エッセイの中程、7段落目。
(「〜実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えている。・・・」の「なくてはならない」に傍点。)
実務的に解決可能か、時間の問題も含めて、どうなるかは分からないと思う。
しかし、その方向を冷静に探ることなく、「国民感情」の領域で対応してしまうとそれは安酒の酔いに似た高揚感を与える。
ほんの少量で酔っぱらわせ、頭に血が上り、声を高めて行動は粗暴になり、単純化された論理で行動する。
安酒を飲んで羽目を外した後に残るのは、頭痛と二日酔い。もしかすると嘔吐した跡や擦り傷が残り、大事なものを無くしてしまうかもしれない。
中国各地の反日デモでは、中国社会は、何か大事なものを無くしてしまったのではないだろうか?
エッセイの最後に近い、11段落目。
(「〜もしそんなことをすれば、それは我々の問題として・・・」の「我々の」に傍点。)
お互いに商売相手なのは確かだが、相手は、会社の上司ではないし、舅や姑でもない。
必要以上に妥協することはないし配慮しすぎることもない。過剰に対応してもよくはない。
しかし、同じように安酒を飲んだような酔っぱらった対応をしたら、それは「我々の」問題となって跳ね返ってくるだろう。
酔っ払い同士の喧嘩は、ろくな結果にならない・・・ orz
日本メディアの朝日新聞に、日本語で寄稿された文章なのだから、これは日本人に向けて書かれたものだ。
しかし、中国メディアや韓国メディアにも、全文を訳して載せてほしいと思う。
中国語や韓国語の翻訳文が、ネットで転載されることを期待したい。
(追記)
中国語訳・全文:村上春树谈日本领土争端:狂热于领土犹如人醉于劣酒(凤凰网)
ただし、ヒトラーに言及している段落を太字で強調している(ブラウザによって強調表示されない場合がある)ので、訳文も偏っているかもしれない。注意。
(追記ここまで)
メモ
大江健三郎氏など知識人と市民団体の声明と一緒にしている人がいるけど、たいして関係ないね。
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