『花王 ヘルシアコーヒー』クロロゲン酸の量、他の成分について調べてみた
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脂肪を消費しやすくする『ヘルシアコーヒー』
高濃度コーヒークロロゲン酸 270mg
花王 体脂肪が気になる方に 脂肪を消費しやすくする ヘルシアコーヒー 誕生
花王が『ヘルシアコーヒー』で宣伝している「クロロゲン酸」は、 「5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)」。
コーヒー好きにはおなじみの成分で、コーヒーの苦みや香り、雑味のもと。コーヒーの生豆に多く含まれ、深く焙煎するほど減っていきます。焙煎やいれ方でも、味や香りが複雑に変わるので、そこが楽しい。
『ヘルシアコーヒー』には、「一般のコーヒーの約2倍」の「270mgのクロロゲン酸」が含まれているそうです。
コーヒー1杯に含まれるクロロゲン酸って、そんなに少なかったっけ? (´ ・ω・`)
違和感を感じたので、ちょっと調べてみました。
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全日本コーヒー協会によると、コーヒー1杯(約140ml)に約280mgのポリフェノールが含まれています。コーヒーの主なポリフェノールはクロロゲン酸で、100mlあたり200mg。これを元に、コーヒー業界では、ワインのポリフェノール量に匹敵すると言っています。(参照:NESCAFE)
『ヘルシアコーヒー』缶は185mlなので、同量のコーヒーには約370mgのクロロゲン酸が含まれていることになってしまいます。
ありゃ?
花王の『ヘルシアコーヒー』特設サイトによると「フレンチロースト使用での代表値」と書かれています。
コーヒーの焙煎は基本的に8段階に分けられ、フレンチローストはイタリアンローストに次ぐ、かなり深く焙煎したものです。深く焙煎するとクロロゲン酸はそれだけ減ります。
苦みが強いので、カフェオレなどミルクと合わせるのが一般的。
分かりやすく書きますと、スターバックスのコーヒーでいちばん深煎りで苦みが強いのが、この「フレンチロースト」です。(参照)
比較対象とするには、ちょっと「一般的ではないコーヒー」、だと思いますよ。
クロロゲン酸の量だけで考えると、浅煎りのコーヒーを飲めば同量を摂取することが出来そうです。
しかしクロロゲン酸の量だけがアピールポイントでは、とても「トクホ」マークはとれないでしょう。
伊藤園も、クロロゲン酸が1本あたり280mg含む『W coffee DOUBLE BLEND』を発売しました。
『ヘルシアコーヒー』には、「クロロゲン酸」広告戦略とは別の、アピールポイントがあるはずです。
(ヘルシアコーヒー特設サイトより)
「苦味や雑味の元となる酸化成分を50分の1に低減」と書いていますが、重要なのはむしろ、この酸化成分を減らした事です。
日経ヘルスオンラインの新製品情報によると、
『ヘルシアコーヒー』は、独自の製法でクロロゲン酸を増やすとともに、焙煎に伴って増える酸化成分「ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)」を約50分の1に減らしています。(参照)
花王は、このHHQを低減させたコーヒーを『リズムライフコーヒー』の製品名でトクホの表示許可を取得しましたが、発売はしませんでした。『ヘルシアコーヒー』は、この『リズムライフコーヒー』と同じ内容の製品だそうです。
販売するにあたって、製品のアピールポイントを、酸化成分「ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)」低減ではなく、ずっと知名度が高く、イメージしやすそうな「クロロゲン酸」に絞ってきたのでしょう。
花王は、クロロゲン酸の健康への効果・影響など詳しく研究していて、日本人が摂取している2大ポリフェノールとして「茶カテキン」とともに「クロロゲン酸」を柱に展開していく戦略だそうです。
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内閣府食品安全委員会の、『ヘルシアコーヒー 無糖ブラック 』『ヘルシアコーヒー マイルドミルク』の食品健康影響評価の審議結果(案)が公開されています。
安全性の評価について詳しいだけでなく、申請者(花王)の提出資料について触れられていて、ちょっと面白い内容なので興味のある方は読んでみてください。
(案) 特定保健用食品評価書 ヘルシアコーヒー 無糖ブラック ヘルシアコーヒー マイルドミルク(pdf)
・審議会資料では、「従来の特定保健用食品と異なる、食品中の特定の成分を低減させ、元来含まれている成分により、特定の保健の目的を期待するもの(以下略)」と書かれています。
また比較対照群(プラセボ)には、「クロロゲン酸類含有、HHQ非低減」の飲料が使われています。
つまり、広告の「クロロゲン酸が多い」ではなく、クロロゲン酸の作用を阻害する成分、ヒドロキシヒドロキノン(HHQ) を低減していることが、トクホの評価対象と考えられます。
・クロロゲン酸類の主成分は、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)。
・本食品に含まれるクロロゲン酸類は、原材料のコーヒー抽出液に由来しており、 クロロゲン酸類の添加等は行われていません。
・カフェインや、カフェ酸、ヒドロキノン、ピロガロール、カテコール等の微量成分についても、市販品と差がないか、HHQを分離するためのろ過(ナノトラップ製法)で低減されています。
・申請者(花王)によると、「一般的なコーヒー1杯にはクロロゲン酸類を30〜350mg、HHQを0.1~1.7mg含有」しています。
トクホ申請時にはちゃんと、『ヘルシアコーヒー』のクロロゲン酸の量は、必ずしも一般的なコーヒーの2倍ではないことは分かっていたようです。
数値を平均化したわけではなく、「何倍」という分かりやすい数字になる、ギリギリのところで、深煎りの「フレンチロースト」を使ったのかもしれません。
別に間違っていないし、だからどうというわけではないです。マテ茶の成分の複数記事でも書いたのですが、こう言っちゃなんですが広告でよく使われる手です。
とはいえ、
『ヘルシアコーヒー』のクロロゲン酸の作用は、阻害する成分のHHQを50分の1に低減させたことで、一般的なコーヒー(同量のクロロゲン酸を含む)よりも高くなっているのでしょう。
花王による研究結果の、脂肪燃焼量や酸素消費量のグラフは、この効果を反映したものではないでしょうか。
(花王 栄養代謝の研究開発 クロロゲン酸類の体脂肪低減メカニズムより)
製造販売者による研究なので、その結果が正しいかどうかは第三者の追試を待たなければなりませんが、クロロゲン酸類・ポリフェノールの作用は以前から検証されてきています。
・血圧に影響をあたえるので、正常高値血圧および正常低値血圧の人(薬剤治療なし)と、血圧降下剤を服用している高血圧症患者を対象に調査が行われています。
若干の上下はあるけれども、臨床上問題となる変動は認められなかったそうです。
それなりに気を付けないといけないところもあるようです。
評価書(案)は、こう締め括っています。
本食品は血圧に影響する食品であり、「特定保健用食品個別製品ごとの安全性評価等の考え方について」(平成19年5月10日付食品安全委員会決定)の2に該当することから、事業者は健康被害情報の収集・情報提供に努めるとともに、治療を受けている者等が摂取する際には、医師等に相談することの注意喚起表示を行うことが必要と判断した。
ちょっと面白い製品です。
味の感想は・・・、
「コーヒー」と「缶コーヒー」は別ジャンルの飲み物ですから・・・(´ ・ω・`)
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コメント
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揚げ足取りのようですが、「・・トースト」ではなく、「・・ロースト」roast です。ローストビーフのローストですね。
投稿: 通りがかり | 2013年6月17日 (月) 11時40分
通りがかりさま
ご指摘ありがとうございます。
写し間違えてコピペしてた、ケアレスミスでした。
修正しました。
投稿: メモ主 | 2013年6月17日 (月) 13時49分