鳥インフルエンザ(H7N9)対策|二酸化塩素を使った製品は役にたつのか。クレベリン等の効果的な使い方を考えてみた。
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鳥インフルエンザ(A/H7N9)の感染者が中国の中東部で増えている。
4月8日朝までに、確認された感染者は21人(うち死亡6人)。
"生きた家禽の卸売り市場"でも、ニワトリ、食用ハト、ウズラとその排泄物等からH7N9ウィルスが検出されている。
ヒトの感染者21人中6人が死亡し、多くの患者も重態(快復した患者もいる)と強毒性のウイルスだが、鳥に対しては弱毒性で、これまで報道されている死亡した鳥(南京市街地のスズメなど(参照:cn))の感染は確認されていない。(今後、ウィルスがさらに変異しないとは言い切れない)
うちのブログでは、二酸化塩素を使った消臭や除菌をうたった製品(大幸薬品「クレベリンゲル」など)について、複数の検証記事を書いてきた。
(クレベリンゲルの使用感、関連情報に関する記事のまとめ等、複数)
これらの製品で使われている二酸化塩素は、今回の鳥インフルエンザ対策に役に立つのだろうか?
結論は、二酸化塩素分子はインフルエンザウィルスの感染を抑制する効果はあるだろうが、今回の鳥インフル(H7N9)対策では、製品によっては効果が薄い。お奨めは、スプレー式製品を効果的に使うこと。
以下、説明です。
(注)中国の発表や報道、世界保健機関(WHO)の発表も参考にしています。もし中国の言うことはまったく信用できないという考えを持たれているなら、この先は読んでも仕方ないでしょう。
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大幸薬品が、4月5日付けプレスリリース「クレベリンの成分である「二酸化塩素分子」のH7N9鳥インフルエンザウイルスへの作用について(4月5日)」を発表した。
「クレベリンの成分である「二酸化塩素分子」のH7N9 鳥インフルエンザウイルスへの作用について(4月5日)」(pdf)
現在、流行が危惧されておりますA型インフルエンザウイルス(H7N9)に対する二酸化塩素の働きは、実験的には確認されていませんが、当社の検証より、昨年発表したA型インフルエンザウイルス(H1N1)の機能抑制メカニズムと同様の働きがあるものと考えています。
「クレベリンの成分である「二酸化塩素分子」のH7N9 鳥インフルエンザウイルスへの作用について(4月5日)」(pdf)
二酸化塩素分子が、A型インフルエンザウイルス(H1N1)の表面のたんぱく質「ヘマグルチニン」に作用し、立体構造を変化させることで、感染を抑制することが実験で分かっている。今回のA型インフルエンザウイルス(H7N9)に対しても同様の働きがあると考えられるそうだ。
では、二酸化塩素を使った製品すべてで効果があるかというと、私はそうは考えていない。
(*)二酸化塩素だけでなく、他の塩素系消毒薬も似た効果があるのかもしれない。詳しくは調べていないのでここでは特に触れていません。
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まず、今回の鳥インフルエンザ(H7N9)は強毒性だが、人から人への感染は確認されていない。
参照:【鳥インフル】市場の鳥から感染か 中国、WHOが合同会見「人から人の感染なし」(MSN産経|4/8)
感染患者と密接に接触した人に対して医学的観察が行われており、発熱や咳などのインフルエンザ様症状を発症している人は、少数を除いて、確認されていない。その例外の少数は、季節性インフルエンザ(H1N1)と確認されている。(いまの時期、中国では季節性インフルエンザ(H1N1)患者が多い)
上海市の3つの"生きた家禽"卸売り市場で、ニワトリと食用ハト、環境サンプルから、H7N9鳥インフルウイルスが検出されている。
浙江省杭州市の"生きた家禽"卸売り市場で、ウズラと環境サンプルから、同じくウィルスが検出されている。
この鳥インフルエンザウィルス(A/H7N9)は、鳥に対しては弱毒性であり、中国農業部の発表によると、感染した鳥の発症は確認されていない。(参照:cn)
それらの市場からH7N9ウイルスが検出されたサンプルは、ニワトリや食用ハトの羽毛と足の付着物、鳥類の糞便、カゴと台の付着物、羽毛、汚水、そしてウズラの咽喉、体表の付着物、肛門(総排泄口)付着物など。(参照:cn)(参照:cn)
これらから、“まだ感染源と感染経路は確認されていないので充分な注意が必要だが”、感染源として最もリスクが高いのは、鳥の糞便やその乾燥したもの、羽毛等と考えられる。
(さらにウイルスが変異、空気感染が起こる可能性は否定できない)(*1)
この状況では、今回の鳥インフルエンザ(H7N9)の予防策として、大幸薬品などが提唱している「空間除菌」はあまり効果的ではないと思う。
大幸薬品の柴田高社長の著書『外科医、正露丸を斬る』の中で、SARS大流行の頃に、中国に頻繁に出張に行っていた人の話として
「「クレベリンゲル」を持っていったところSARSに感染しなかったよ」
というエピソードが載っている。
あくまでも個人の経験談であり、「クレベリンゲル」開発に至るエピソードのひとつとして書かれているものなので、実際に効果があるのかどうかの検証には、大規模な疫学的調査が必要だろう。(大幸薬品では、陸上自衛隊と協力した調査を行っている)
参照:クレベリンゲルのインフルエンザに対する、陸上自衛隊での検証結果: メモノメモ
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現在流行している鳥インフルエンザ(H7N9)に限ると、二酸化塩素を使った製品のうち適切に使って予防効果があるのは、例えば大幸薬品の製品を例にすると、低濃度の二酸化塩素ガスを使う製品「クレベリンゲル」ではなく、二酸化塩素の薬剤を噴霧する製品「クレベリンスプレー」だろう。
他社製品の「身につける製品」は論外。
感染源が分からないし、鳥は発症しないがヒトには強毒性という状況は、非常に厄介だ。
中国では、身近にいる野鳥や、ベランダや公園の糞が、H7N9を持っているかどうかは分からないだろう。
日本でも、感染した野鳥が海を越えてきていたとしても、ヒトに感染して発症して検査されるまで発見はされにくいだろう。(*2)
現段階で、感染リスクが高いのは、野鳥の糞便や羽毛、付着物と思われる。
隣室が空き室だった時、そこんちのベランダにハトが寄ってきて、うちのベランダでも糞をしたり羽毛が入り込んで困ったことがあった。ぶつぶつ言いながら掃除をしていたものだ。
そういう時に、「クレベリンスプレー」などの二酸化塩素の薬剤スプレーで噴霧してから掃き掃除、拭き掃除をすれば、無害化できて、ホコリもたちにくくて良いかもしれない。
(トリさんに直接かけないこと。使用上の注意をよく読んで、お使いください)
当然、野鳥や家禽には出来るだけ触らず、必要ならマスクをする、触ったら手をよく洗うなど、当たり前の予防策が重要。
もし、頭のてっぺんに鳥の落とし物をもらったら、よくシャンプーで洗いましょう。
洗わない人はいないか(笑)
(*1)ウズラを買って帰った人が食後に発症した、という報道がある。
市場に居る時に感染した可能性が高いのではないだろうか。そのウズラも「生きたまま買って帰り、自分で羽をむしって捌いたのか」「精肉に切り分けたものを買って帰ったのか」「加熱処理はしっかり行ったか」等はよく分からない(報道を見かけていない)。
早い時期に確認された患者の中に、真空パックの調理済み鶏肉を買って帰って食べた後に発症したという患者家族の声もあったが、これも感染源の可能性のひとつとして報道されたもので、実際のところは分からない。
(*2)中国からの輸入鶏肉、家禽類製品については、検疫を信頼し、食べる時も充分に加熱調理すれば、あまり心配することはないと考えている。素人考えです。
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