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2013年5月17日 (金)

【検証動画】誰が嘘をついているのか?| 台湾漁船へのフィリピン公船による射撃事件

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台湾の漁船に対して、フィリピンの公船が射撃を行い、漁師1人が死亡した。
この事件について、台湾とフィリピンの発表には食い違いがある。

「2 Minutes, One Fact—What Philippine Government Did and Said to Taiwan(真実は1つ - フィリピン政府は、台湾に何をして、何を言ったのか?)」という検証動画が公開されている。


Q:フィリピン政府は、嘘をついているのですか?
A:嘘かどうかはともかく、そう言われても仕方ない対応だと思います・・・(´ ・ω・`)

前の記事:
台湾の漁船に対してフィリピンのパトロール船が銃撃、1人死亡。|現地報道いくつか、まとめ。: メモノメモ
台湾漁船へのフィリピン公船の射撃事件|45の弾痕と射撃方向から、事件発生時の状況を考えてみた。: メモノメモ


5月10日付けのフィリピン"Sun.Star"紙の報道によると、最初の報告としてフィリピン大統領府報道官が次のように発表した。

フィリピン沿岸警備隊(PCG)隊員が、(台湾の)漁船のうちの1隻に乗り込もうとした時に、台湾漁船は、PCG隊員が乗る漁業・水産資源局(BFAR)のパトロール船に体当たりをかけてきた。 そこで威嚇射撃を行ったが漁船は、報告によると、止まらずに再びパトロール船に体当たりを試みたため、漁船の機関部を狙ってさらに射撃を行った。

"When they (PCG personnel) tried to board one of the fishing boats, one of the (Taiwanese) vessels rammed the BFAR vessel that was being manned by the Coast Guard. So a warning shot was fired, but the vessels reportedly did not stop in the attempt to continuously ram the BFAR vessel and another shot was fired on the machinery portion of the ship,"

Malacanang defends Philippine Coast Guard on Taiwan boat's ‘aggressive act’(5/10 | Sun.Star)


銃撃事件が起きた直後の最初の記者会見では、フィリピン政府は射撃の事実は無いと発表したが、すぐに公船による射撃があったと撤回していた。 一貫した対応が出来ていないのではないだろうか?

同じように、この最初の報告内容も、その後の16日に報道されたPCGの調査報告書に比べて、曖昧な表現を使いつつ、正当性を主張するための都合の良い状況説明をしていたように感じられる。


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5月16日付けのフィリピン"Manila Bulletin"紙が報じた、PCGの調査報告書は次のようになっている。

(抄訳)
フィリピン沿岸警備隊のパトロール船は、台湾漁船が漁を止めるまで、スピーカーを使って命令しサイレンを鳴らしていた。 次に、パトロール船は、漁船が停船し乗組員の1人が外で出てくるまで、(空に向かって)警告射撃を行った。
しかしパトロール船が漁船に横着けする寸前に、漁船はエンジンを始動させ、一旦後進してから速度を上げて前進し、その時にパトロール船の船尾にほとんど衝突するところだった。(注:衝突はしていない)
PCG隊員は威嚇射撃を行ったが、漁船は止まらず、パトロール船との高速度の追跡劇がはじまった。 結果として、パトロール船の指揮官が漁船を止めるためにエンジンへの発砲を命令したところ、台湾人漁師を誤射で殺して(accidentally killed)しまった。

They claimed that the Taiwanese fishermen had resisted to stop from their tracks while local sea authorities repeatedly fired warning shots in mid-air and blared their vessel's horn at the foreigners.
“While on meeting situation, this unit then sounded warning through PA system and blow horn for the Taiwanese fishing vessel to stop for the conduct of fishing.. [The PCG] fired warning shots to alert the fishing vessel until the fishing vessel stopped and one of the crew of the fishing vesseel went outside,” the PCG said.
But when the MCS-3001 vessel of PCG-BFAR was almost alongside of one of the fishing boat named Guang Ta Hsin-28, the PCG claimed that the engine of the Taiwanese vessel whirred to life, and the boat manuevered backward before speeding forward and it almost collided with the government ship's stern.
The patient Philippine authorities fired another round of warning shots but the Taiwanese vessel resisted to stop and engaged the PCG-BFAR in a high-speed sea chase. As a result, the commanding officer of the MCS-3001 ordered to open fire at Guang Ta Hsin-28 to disable its engine but accidentally killed Taiwanese fisherman named Hung Shih-cheng.
“To stop the fishing vessel, this unit announced to fire for effects the engine side section of said Taiwanese fishing vessel to immobilize her [boat] and stop her [boat] engine,” the report said.

PCG describes Balintang Channel incident - 'like a scene from an action movie'(5/16 | Manila Bulletin)

パトロール船「MCS-3001」に進路を塞がれた漁船「廣大興28號」は、一旦逆進して、「MCS-3001」の後ろを抜けようとしたのだろう。この機動は理解しやすい。
前回の記事で推測した状況は、停船していた部分を除けば、おおむね矛盾はなかった。

5月10日の報道では、曖昧な書き方で「連続して体当たりを試みた( in the attempt to continuously ram )」と書かれているが、16日報道の報告書ではそこはすっ飛ばして、「結果として〜( As a result, )」エンジンに発砲をしたとまとめている。 最も重要な部分なのに、報道段階ですっ飛ばすとは考えられない。実は無かった事なのかもしれない。

フィリピンは、台湾漁船が体当たりをしてきたので発砲をしたと正当化しているが、漁船に衝突した跡はない。
2003年の、日本の海上保安庁が銃撃した時のような国籍不明の不審船ではなく、漁をしていた漁船と確認しているし、PCG隊員は繁体字の船名と、乗組員が台湾人だと確認できないわけはない。
韓国の海洋警察が取り締まっている、違法操業の中国漁船団のように、漁師が鉄棒やノコギリ、刃物などの凶器を振り回して抵抗をしたわけでもない。

洋上での高速追跡中の射撃なので、誤射のリスクは当然高くなるだろう。跳弾や貫通する可能性もある。 停船させるために、キャビンのごく近くにある機関部へ数十発の集中射撃を行うのは、過剰すぎる対応と考えざるをえない。

台湾漁船「廣大興28號」が違法操業をしていたかどうかは、台湾とフィリピンの発表は食い違っている。
台湾の地方検察署は「廣大興28號」の航行記録機(VDR)を解析した結果、境界線を越えて漁はしていないと発表した。 フィリピンは違法操業だったと主張しているが、パトロール船「MCS-3001」の航行記録やGPSデータはまだ示していない。

それでも、フィリピンの司法当局も記者会見を開き、パトロール船の搭載銃器(M16x8, M14x8、機関銃1)を公開(参照:tw)するなど、両国の調査結果が公開されてきている。

フィリピン沿岸警備隊の報告と「廣大興28號」の船長の証言には、警告射撃の有無など食い違うところも多々あるが、今後の調査によって明らかになることだろう。

そう期待している。



Q:台湾はなぜ、あそこまで激怒しているのですか?
A:むずかしい質問です・・・(´ ・ω・`)

ただ・・・、台湾の熱狂の嵐には巻き込まれないほうがいいと思います。


フィリピンの対応に一貫性が無く台湾に対して不誠実と思われた事、台湾外交部の認識が甘かった事、そして台湾国民のあまりに早急で強硬な反応によって、余計にこじれてしまったように思う。


メモ

(追記)
【検証動画】3本を検証してみた。|台湾漁船へのフィリピン公船による射撃事件: メモノメモ

次の事柄について、まとめました。
(追記ここまで)

YouTubeに同じような、日本語での解説動画(タイトル:フィリピン公船による台湾漁民銃撃事件(2分で説明する))があるが、「狩りのような撃ち方」「でも、射撃方向からみると、漁船のまわりをに回りながら(原文ママ)」「漁民たちが死ぬまで止めないくらい撃っていた」と事実誤認があり、煽るような書き方、作り方をしている。 ご試聴は計画的に。

フィリピン公船による台湾漁民銃撃事件(2分で説明する) - YouTube
フィリピン公船による台湾漁民銃撃事件(補充資料Ver.) - YouTube

(追記20130518:補充資料Ver.を見てみると、日本語の表現がおかしい。動画を公開しているアカウント「siba0325」は過去のアップロード動画の説明から、台湾人と確認。)


この記事冒頭の動画にも、あれ?と思う部分はあるが、おおむね納得できる内容だった。

(追記20130518:
動画制作者の「KuanBiling(管碧玲)」は、台湾立法院委(民進党)(管碧玲 | Facebook)でした。 個人的に作ったものだそうです。(参照:tw 高雄長紅-管碧玲部落格



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