南鳥島の近くの海域で潜航、資源探査 「蛟竜号」と母船「向陽紅09」が今年の第一次調査終了
(新华网)
8月12日、中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜(蛟龙)号」を載せた、母船「向陽紅09(向阳红09)」が、2014年度の試験性応用航海の第一次科学調査任務を終え、江蘇省の江阴苏南国際埠頭に到着した。
蛟竜号はここで陸揚げをし、無錫市(无锡市)の中船重工702研究所に陸路で運ばれる。向陽紅09は、青島港に16日に帰港する予定。
今回の調査航海は全航程57日。
蛟竜号は、太平洋北西部の采薇海山(Caiwei Guyot(*))区で8回、マーカス・ウェイク海山列(马尔库斯—威克海山)で2回の、過去最高の10回の潜航を記録した。
(*)2011年に、中国が名称登録を提案(国際的には、承認はされていないようだ)。
台風による海況の悪化に悩まされていたが、おおむね安定した運用をしていたようだ。
今年11月には、初のインド洋での、今年度の試験的応用航海の第二次科学調査を行う予定。
“向阳红09”船顺利抵达江阴(中国海洋在线)
“蛟龙”号回到祖国 年底将赴西南印度洋开展科考(新华网)
“蛟龙”号性能优越取得辉煌成果——访航次现场指挥部总指挥、中国大洋协会办公室主任刘峰(国家海洋局)
ところで、中国メディアの記事では海山の名前が漢字だったのでうっかり見過ごしていたんだけど、潜航調査をした马尔库斯—威克海山区(マーカス・ウェイク海山列)って、南鳥島のすぐ近くじゃないか。
マーカス島の別名を持つ南鳥島も、マーカス・ウェイク海山列に含まれる。
実は、蛟竜号が采薇海山区で8回の潜航調査を行った後、付け足しのように場所を変えて、9回目と10回目の潜航調査を行ったので、なんか違和感は感じていた。
報道では「马尔库斯—威克海山区(マーカス・ウェイク海山列)」とだけ書かれていて、どの海山を調査したのかは書いていない(固有名称や緯度経度を載せた記事は見掛けていない)。
さすがに南鳥島を基点とする日本のEEZ(排他的経済水域)の内側で調査を行うという、頭の悪いマネはしないだろう、と思うが。
水深1900〜2500mで海底の調査を行っているので、海山の斜面を探査したようだ。
日本の南の海域の海底地形図と、日本の排他的経済水域(EEZ)など参考用。(2008年の資料)
大陸棚の限界の申請について(pdf)より(海上保安庁)
この地図の右下部分を拡大したもの。
赤い点線は、マーカス・ウェイク海山列の概略。
赤い矢印の海山が、8回の潜航を行った采薇海山(Caiwei Guyot)と考えられる。(参考:IHO)
中国は、太平洋北西部のコバルトリッチクラスト鉱区の調査の承認を今年4月に取得して、すぐに海洋調査船「大洋六号」による環境資源調査を行い、続いて、深海潜水艇「蛟竜号」による潜航調査を行っている。毎度毎度、中国の資源探査活動の動きの早さには驚かされる。
日本は2014年1月に取得しているのだが・・・
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