エボラウイルスを萌え擬人化したキャラクター「エボラちゃん(Ebola-chan)」が、スイスの新聞に載ったとネットで話題になっている。
日本の近頃の「萌え擬人化」がどうだというのとは全く違うレベルで、酷い方向に拡大しています。要「取り扱い注意」と感じたので、関連情報のソースを絡めてこれについて少し。(日本国内ではすぐに消えるネタと思いますが)
写真の記事は、スイスのドイツ語紙"20 Minuten"の9月23日の13面(チューリッヒ地方版の電子ペーパー紙面で確認)。
20 Minuten Online - E-Paper
タイトルは「Diese Manga-Figur versetzt Nigeria in grosse Angst(このエボラ擬人化キャラが、ナイジェリアを大きな恐怖に陥れる)」。
同紙ウェブ版の記事はタイトルと紙媒体の文章の最後の部分が少し変わって、その次の章「«Dämon von CIA kreiert»(CIAによって作られた悪魔)」が追加されている(あるいは紙媒体では削られた)。
Eine Manga-Figur versetzt Nigeria in Angst(エボラ擬人化キャラが、ナイジェリアを恐怖に陥れる)(20 Minuten)
経緯は、この方のツイートが分かりやすい。
少し補足すると、
>4chanの匿名ユーザーが、ナイジェリアのネット掲示板 "₦airaland Forum"に「現地でエボラの治療等を行っている医療関係者の中に黒魔術崇拝者がいる」「エボラを蔓延させている」など、極めて悪質な“釣りネタ”を複数投下。その時に、看護婦風のエボラ擬人化キャラの画像や、そのキャラを使った祭壇の画像、等も投稿した。
>ナイジェリアの掲示板では、エボラ擬人化キャラが白い肌(白人)である事、現地で以前からある「エボラウイルスの流行は裏で欧米が仕掛けたもの」「CIAがエボラウイルスという悪魔を作った」という陰謀論の噂ともかけ合わさって、炎上。
(参考:ナイジェリアは、人口が約1億7千万人、アフリカ最大の経済規模の国です。首都ラゴスもアフリカ最大級の都市。)
>マスコミが把握。<今ここ
スイスの新聞はこのうちの一つ。
日本語での紙面画像付きツイートが注目され、まとめサイト等が取り上げた。
ナイジェリアの掲示板の当該スレッド(英語、画像複数)。
(*)閲覧“要”注意。
[自粛]ったれで[自粛]な内容が多々あるので、リンクは貼っていません。18才未満には勧めません(18才以上の大人は自己責任で)。
http://www.nairaland.com/1906849/white-demon-worshippers-trying-spread
日本国内での「萌え擬人化」がどうという話や「世界がカワイイと注目」という話とはまったく違うレベルで、酷い方向で広まっているので、気軽に、肯定的意見や画像を拡散するのは避けるのが無難と思います。
[自粛]な“祭”なので、乗ってはいけないやつです、日本語でも。
どういう誤訳や解釈がされて、回り回って、流行地域でエボラと戦っている医療従事者ほかの人々に悪影響を与えるか分かりません。
新聞記事では、医療関係者やジャーナリスト8人が殺害された事件と合わせて書かれています。
4Chan’s latest, terrible ‘prank’: Convincing West Africans that Ebola doctors actually worship the disease(The Washington Post)
4chan Racists Are Stoking Ebola Fear in Nigeria With This Anime Meme(vocative)
4Chan Ebola Virus Outbreak Meme Ebola-Chan Is Not Spreading the Disease: They're Obnoxious Teens, Not Supervillains(iDigitalTimes)
エボラちゃんついに神聖化し「偶像崇拝」!南アフリカ人激怒(秒刊SUNDAY)
このスイス紙のエボラ擬人化についての記事と前後して、スイスではじめてエボラ疑い例が確認されたとの発表があり、報道されています。
スイス、ローザンヌ市で、出入国管理所でエボラウイルス感染症(エボラ出血熱)の初期症状に似た症状を示していたため予防的隔離をされ、マニュアル通りにエボラ“疑い例”と発表。続報待ち。追記:検査結果は陰性(20 minutes)。
20minuten紙のエボラ擬人化の記事は9月23日の朝刊で、このエボラ疑い例についての公式発表は23日付け。
エボラ擬人化の記事の方が少し早いので、偶然だと思いますが・・・、
もしかしたら前々から問題視されている、エボラの流行についてのアフリカ人に対する人種差別への警鐘の意味もあって、この記事が書かれたのかもしれません(希望的観測)。
Suspicion d‘Ebola(www.news.admin.ch)
Erster Ebola-Verdachtsfall in der Schweiz(20 Minuten)
亡命申請男性にエボラ熱疑い=ギニア出身、家族が死亡-スイス(時事ドットコム)