引っ越し先(別宅)

twitter

  • Speechballoonorangepicon150px @pelicanmemo

    記事にした話題の、書けなかった余談やその後の話。その時々のニュースでも深読み気味。

Amazon

2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

ウェブページ

おすすめ

無料ブログはココログ

2018年11月 6日 (火)

『チルチルの青春』メーテルリンク原作、読了。(ネタバレなし)

TVアニメ『からくりサーカス』が始まったので、原作のマンガ『からくりサーカス』藤田和日郎著を、まとめて読んでみた。

なつかしい😊

なつかしいついでに、マンガ『月光条例』もまとめて読んでみました。

そして『月光条例』に載っていた、『幸せの青い鳥』の続編である『チルチルの青春』(原作:メーテルリンク、翻案・画:中村麻美)を見つけたので、読んでみたのですよ。

あっ!😃

そういうことだったのかー 😄

むかし初めて、マンガ『月光条例』を読んでいた時に、すこし違和感を感じていたのです。なぜ、そこでそうするのだろう?と。

ながい年月を経て(作者の趣味だと思っていて、特に気にはしていなかったんだけど)、結び目がひとつほどけました。

読んでて、キャラが月光たちに感じられてしまって仕方ありません。😊

青い鳥 (新装版) (講談社青い鳥文庫)

青い鳥 (新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 作者: モーリス・メーテルリンク,高野文子,江國香織
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/10/11
  • メディア: 文庫
 

2015年4月12日 (日)

『中国航空戦力のすべて』読了

中国航空戦力のすべて 中国の技術力は世界にどれだけ迫っているのか? (サイエンス・アイ新書)中国航空戦力のすべて 中国の技術力は世界にどれだけ迫っているのか? (サイエンス・アイ新書)
青木 謙知

SBクリエイティブ 2015-03-17
売り上げランキング : 16721

Amazonで詳しく見る


中国の航空戦力について、ただ現在使われているモデルの紹介だけではなく、第二次大戦の頃の中国空軍や、航空機産業の発足、旧世代の戦闘機や攻撃機など、どう発達してきたのか詳しく載っている。

個々の航空機・ヘリコプターの性能についてなら、中国のサイトを調べた方が詳しいけれども、モデルチェンジの改良点などを調べるのは、中国語の専門用語の壁もあって難しかった。


>>本文を読む(pelicanmemo(はてなブログ))






イラストでまなぶ! ロシア連邦軍イラストでまなぶ! ロシア連邦軍

ホビージャパン 2015-03-31
売り上げランキング : 1812

Amazonで詳しく見る

2015年2月 8日 (日)

『戦前外地の高校野球 台湾・朝鮮・満州に花開いた球児たちの夢』 読了

戦前外地の高校野球: 台湾・朝鮮・満州に花開いた球児たちの夢戦前外地の高校野球: 台湾・朝鮮・満州に花開いた球児たちの夢
川西 玲子

彩流社 2014-08-20
売り上げランキング : 195422

Amazonで詳しく見る

 
『戦前外地の高校野球 台湾・朝鮮・満州に花開いた球児たちの夢』川西玲子 著、読了。

台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』を見ていたら、登場する学校名に“大連”や“京城”があった。"大連"は現在の中国 遼寧省大連市の大連商業、“京城”は現在の韓国 ソウル市の京城中学。台湾以外ではどうだったのか気になっていた。

そのものずばりの本が出ていたので、さっそく読んでみた。


戦前から戦中戦後のあの時代、多くは語られない外地の様子を、"高校野球"という切り口で深く見る事ができる。やはり歴史は、教科書に載らないエピソードが特に面白い。

>>本文を読む(pelicanmemo(はてなブログ))






駅からあるく♪ 週末台湾駅からあるく♪ 週末台湾
SE編集部

翔泳社 2015-02-10
売り上げランキング : 2903

Amazonで詳しく見る

2014年9月29日 (月)

『もし富士山が噴火したら』読了  【再掲】(一部、書き足し)

もし富士山が噴火したらもし富士山が噴火したら
鎌田浩毅 高世えり子

東洋経済新報社 2011-12-23
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る


(2012年に掲載した記事を、分かりにくい表現を少しだけ書き換えて再掲したものです)

著者は、 鎌田浩毅。
京都大学教授。研究分野は火山学、地質学、地球変動学(テクトニクス)、科学啓発、理科教育(参照

作画は、 高世えり子。
漫画家。 『理系くん』『理系くん結婚できるかな』などのエッセイ・コミックスで、理系人間のひとつの生態を面白く描いている。



本書は、富士山が噴火したらどうすべきか、生活にどういう影響が出来るか、マンガと分かりやすい解説で面白く描かれている。

特に噴火後24時間の対応と、火山灰がもたらす影響はとても分かりやすい。


パート1「もし東京出張中に富士山が噴火したら」では、主人公が関西から東京に出張している間に富士山が噴火したという状況、
パート2「もし富士登山中に噴火がはじまったら」では、別の主人公が富士山登山中に噴火したという状況を想定している。
RPG(ロールプレイング・ゲーム)のように、その時々で選択肢(三択)を選び、間違いだと悪い状況に落ち込み、正解だととりあえずクリア。次ページに回答と解説がある。

パート1は首都圏で、パート2は富士山登山中と分けて、富士山の噴火による影響を描こうとしている。

それはそれで分かるんだけど、読者に対してキャラクターが置かれた状況をどうイメージさせたいのかぼやけてしまっているように感じた。


パート1の主人公は、関西から東京に研究用サンプル(月の石)を受け取りにきた科学者。
噴火後、幸いにもビジネスホテルに連泊する事が出来、その後、首都圏への噴火の影響(特に火山灰)が描かれている(関西に帰ったのは噴火がおさまった1ヶ月後)。ただ、備蓄ゼロ、家族や友人の助けも無い状況で、どう生活するかほとんど描かれていない。
大量の火山灰の処理なんか気にせずに、新潟ルートや仙台ルートで逃げる事を考えろと思ったのは自分だけじゃないはず。

むしろ主人公は、出張サラリーマンではなく首都圏住民で、例えば関西から家族や友達が遊びに来ていて四苦八苦という状況ではどうだろう?


パート2では、1年間海外に居てニュースを見ず新聞も読んでいない主人公が、思いつきで富士登山をしている最中に噴火した。

「どういう対応すべき?」との質問に対して「耐火服を着るのが正解」と、恐ろしく準備の良い登山客となってしまった所で、噴き出してしまった。
こちらも、前兆現象を調べに来ていた科学者とか周辺自治体の職員の方が良かったのではないだろうか。


パート3「もっと知りたい、富士山と噴火の基礎知識」では、富士山の基礎知識が分かりやすく描かれている。


全体で、解説は分かりやすく書かれているけれども、マンガの主人公とのミスマッチのために変な読後感を感じている。

もっとも、変な印象でも(こんな文章を書く気分になるくらいに)記憶に残るような作り方をあえて狙ったのだとしたら、本書の編集者はかなりの切れ者だろう。

理系くん(っぽいキャラ)と火山灰の影響が、変な印象記憶として残っている(笑)

火山灰、ヤバイ。


理系クン理系クン
高世 えり子

文藝春秋 2008-08-22
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
理系クン 結婚できるかな?理系クン 結婚できるかな?
高世 えり子

文藝春秋 2009-04-14
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る

2014年6月 7日 (土)

『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』読了 マグロは時速80kmでは泳がない

ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)
渡辺 佑基

河出書房新社 2014-04-14
売り上げランキング : 333

Amazonで詳しく見る

このエントリーをはてなブックマークに追加


「マグロの泳ぐ速度は時速80km」という説は実は間違っている、ということは知られるようになった(はず)。
昔の実験結果やよく知られた仮説が、より詳しく調べてみたら実は間違っていたというのはよくある話で、マグロに小型のデジタル記録装置を取り付けて調べたところ、平均の泳ぐ速度は7〜8km/h以下だそうだ。魚類が、緊急時など、精一杯泳いだとしても巡航速度の3~4倍しか出ないのでせいぜい30km/h。80km/hには遠く及ばない。

第5回 マグロは時速80キロで泳がない!?(ナショナル ジオグラフィック)

「マグロは時速80kmで泳ぐ」が定説()だからと鵜呑みにしたのか、こんな解説を書いているサイトもあります。(公益財団法人のサイトなので載せます)

マグロは速いだけではなく、長く泳ぐことでも知られています。沖縄や台湾の近くの海で生まれたマグロは、黒潮に乗って太平洋を北へ向かい、アラスカ、アメリカ西海岸をまわってメキシコへ行き、また、日本の近くへもどってきます。このあいだ24時間休むことなく、時速80kmぐらいで泳ぐことができるのです。
海の生物のなるほど 「魚の泳ぐ速さ」(公益財団法人 日本海事広報協会)


これだと、時速80kmぐらいで24時間休むことなく泳いでいるようなイメージされるんじゃない?(苦笑)


このように、動物にデータロガー(記録装置)を取り付けて、行動や環境情報を記録して生態を解析する手法をバイオロギングといいます。

タニタ(TANITA) 活動量計 カロリズム エキスパート レッド AM-140-RDタニタ(TANITA) 活動量計 カロリズム エキスパート レッド AM-140-RD

タニタ(TANITA) 2012-07-26
売り上げランキング : 1998

Amazonで詳しく見る

それは兎も角、この「マグロの泳ぐ速度は時速80km」が、いつ頃、誰によって調べられた結果なのか本書に載っていました。1964年にNature誌に載った短い論文とロシアの論文(原題不明)

Measurements of Swimming Speeds of Yellowfin Tuna and Wahoo
(キハダマグロとカマスサワラの遊泳速度の測定)
VLADIMIR WALTERS & HARRY L. FIERSTINE
*1 Department of Zoology, University of California, Los Angeles.
Nature 202, 208-209 (11 April 1964)

さっそく元ネタを読んでみました。わずか2ページの小論文。

コスタリカ沖でマグロを釣り、釣り針に引っかかった後は自由に泳がせて、釣り糸が繰り出される速さを計っています。釣り糸には鉄粉でマークを付けておいて、磁気測定装置(magnetic pickup)で測定したそうです。

201406penguin001
(キハダマグロの1サンプルのグラフ。抜粋)

釣り針に引っかかった直後の5秒で最高値を出し、10〜20秒の間に3度の高い値を出している。だいたい20~35km/hとなった後に、10~20km/hとなり徐々に数値が落ちている。

20~35km/hは、精一杯泳いだときの速度とも合致しますね。

20~30km/hで泳いでいる間も2回ほど急に跳ね上がっているし、暴れたときに尾鰭で釣り糸をひっかけるなどノイズが入ったのかな?
論文では、数値の大きな変化はマグロの泳ぐ方向が変わったためだろうと解釈しています。

検証するには、釣り上げられる前のマグロにデータロガーを仕掛けておいて、そのマグロを釣って調べるってのが一番手っ取り早いのでしょうが、ちょっと大変そうです。(誰かやっていないのかな?)
現在のバイオロギングでは、いわゆる「火事場の馬鹿力」を出した状態のデータは比較的少ないでしょうから、今後の更なる研究が期待されます。


本書は、
「渡る ー ペンギンが解き明かした回遊の謎」
「泳ぐ ー 遊泳の技巧はサメに習う」
「測る ー 先駆者が磨いた計測の技」
「潜る ー 潜水の極意はアザラシが知っていた」
「飛ぶ ー アホウドリが語る飛翔の真実」
の各章に分けられています。

「飛ぶ ー アホウドリが語る飛翔の真実」もお薦め。

「鳥の翼の断面はそもそも流線型をしていない」
はばたき飛行を航空力学で解釈するのは正しくない。鳥と飛行機はまったく別の原理で飛行している。


ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)
渡辺 佑基

河出書房新社 2014-04-14
売り上げランキング : 333

Amazonで詳しく見る

2013年7月13日 (土)

『アステロイド・マイナーズ』第2巻、あさりよしとお著、読了。|スペース・コロニー、涙目(笑)

アステロイド・マイナーズ 2(リュウコミックス)アステロイド・マイナーズ 2(リュウコミックス)
あさり よしとお

徳間書店 2013-07-13
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
このエントリーをはてなブックマークに追加


やっと出ました、あさりよしとお著『アステロイド・マイナーズ』第2巻。

読了。
書評・レビューというか、やっぱり紹介したくなったのでちょっと駄文少々。

アステロイド(asteroid)は小惑星、マイナーズ(Miners)は小惑星や月を掘る坑夫のことで、メジャー/マイナーのマイナーの事ではありません。

とはいえ、メジャーなSFアニメやマンガで当たり前に描かれていて視聴者・読者も分かったつもりになっている宇宙の「常識」が、実は大きな勘違いということがよく分かる一冊。その意味では、大いなるマイナーなSFマンガと言えるでしょう。


小中学校はともかく、高校の図書館には置いてほしい一冊(1巻2巻)。


この一冊(1巻2巻)から、学校での理科授業にどれだけの広がりが生まれ、生徒たちの考える力を育むことだろうか。(ちょっと夢想)

アステロイド・マイナーズ 1 (リュウコミックス)アステロイド・マイナーズ 1 (リュウコミックス)
あさり よしとお

徳間書店 2010-02-13
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る


「誰だ、スペースコロニーなんて作ろうと言い出した奴は!!」


ホント、『ガンダム』のサイドセブンの土砂ってどこからもってきたんでしょうね? コロニー内の空気や水ってどこからもってきたんだろう?
トロヤ群の小惑星とか、彗星でも捕獲して活用したのかな?
故ジェラルド・オニール博士の答えを聞きたいものです。


ナンセンスな、よくある衛星軌道上の宇宙戦闘機と、戦闘シーン(笑)

帯には、「これが宇宙(みらい)の日常だ!」。

宇宙世紀になっても、日常はかなりハードモードです。

前記事:
「アステロイド・マイナーズ」あさりよしとお(著)が実写映画化?: メモノメモ

「ラジヲマン」あさりよしとお (著) 出版 おいおい大丈夫か?: メモノメモ


無条件で奨めるのは、この一冊。

なつのロケット (Jets comics)なつのロケット (Jets comics)
あさり よしとお

白泉社 2001-07
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る

メモ
帯の折り返し部分には、「この作品を読んだ人はこんな作品も読んでいます」と書かれていて、『のろい屋姉妹 ヨヨとネネ」(下)と『冥王計画ゼオライマーΩ』の広告が・・・

どっ・・・、どこをクリックして注文すればいいんだ?( ;゚Д゚)


ネタ?それとも電子版かウェブからの転用?

紙媒体でこれは、宣伝効果あるのかなあ・・・(´ ・ω・`)

2012年12月17日 (月)

『外科医、正露丸を斬る』読了

外科医、正露丸を斬る外科医、正露丸を斬る
柴田 高

ダイヤモンド社 2012-11-16
売り上げランキング : 13636

Amazonで詳しく見る

『外科医、正露丸を斬る 〜ぼくが外科部長をやめて経営者になったら見えてきたこと』読了

著者の柴田高 氏は、正露丸やクレベリン等を製造販売している大幸薬品の代表取締役社長(医学博士)。

ダイヤモンド社の『Kei』連載のコラムに、大幅加筆修正をした一冊。
ラッパのマークの『正露丸(征露丸)』が効く理由や、『クレベリンゲル』の空間除菌に少なからず興味があるなら読んでおいて損はないと思う。それと、筆者は肝臓外科専門医だったので、それ関係の裏話。

コラムの一部は、ダイヤモンド社のウェブページで読むことができるが、そこでは外科医の視点での雑多なコラムという印象は拭えない。本書は、コラムの文章に加筆して、「一見すると何の価値もないように見えるものが、見る人によっては『宝の山』になることがある。」という方向で、まとめ治したのだろう。

コラム『外科医のつぶやき』最終回:“想定外”のままですんでもらいたい、 強毒性新型インフルエンザの憂鬱



うちのブログでは、二酸化塩素ガスを使った消臭除菌製品の検証論文の紹介など、記事にしてきた。やはり気になるのは『クレベリンゲル』に関わる部分。

ちょっと尺が短いのは残念だったが、コラムに載っていない事(*1)も含めて、面白く読むことができた。
『クレベリン Cleverin』は、「室内を賢く(clever)、清潔(clean)にする」から命名されたことは、意外と知られて小ネタだろう。


大幸薬品は、これからの衛生管理として「3層防衛」を提唱している。

第1層「物体防衛」:ウイルスが体や物体に付着することを想定した、手洗いの励行、咳・くしゃみのエチケット、排泄物処理等の「うつらない」「うつさない」行動の徹底。

第2層「空間防衛」:ウイルスが咳やくしゃみで空間中に浮遊すると想定し、呼吸することにより吸い込むウイルス量を減らす。二酸化塩素ガスを使用した製品『クレベリンゲル』の「空間除菌」はここにあたる。

第3層「体内防衛」:ウイルスの体内への侵入とその増殖を抑える。うがいによる排出やワクチン接種。


本書で詳しく書いているが、大幸薬品のホームページにも書かれているのでぜひ参考にしてほしい考え方だ。

これからの衛生管理「3層防衛」について|これからの衛生管理(大幸薬品株式会社)



読んでいて感心したのは、医者としての視点と、経営者としてのフットワークが、うまく相乗効果をあげている点。
上場直後に、幸か不幸か鳥インフルエンザの世界的流行が起こったように、そこに運が引き寄せられたとも感じられる。
その根幹にあるのは、「見る人によっては『宝の山』」という視点なのかもしれない。

本書の終わりの方で、今興味をもっているのは、「噂話に惑わされないよう」と慎重な表現を使いつつ放射線ホルミシスと書いている。

あやしい・・・(笑)

それが「宝の山」となるか、間違いと証明されるか、あやしいままで消えるか、これからの研究に期待したい。何も研究がされないよりずっといい。
予想と違う実験結果が出れば出たで、それは何か別の大きな発見につながることもあるだろう。

そういう研究がiPS細胞につながったと、山中伸弥教授はノーベル賞受賞会見で語った。(参照

「予想と違う実験結果が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)につながり、この場に来ることができた。予想外の結果は失敗ではなくチャンスだ」


(*1)Kei本誌のコラムを全部読んだわけではないので、未確認。


クレベリンゲル 60g【HTRC3】クレベリンゲル 60g【HTRC3】

大幸薬品 2008-09-01
売り上げランキング : 30

Amazonで詳しく見る

2012年11月29日 (木)

『尖閣激突 ~日本の領土は絶対に守る~』山田吉彦+潮匡人 読了

尖閣激突  日本の領土は絶対に守る尖閣激突 日本の領土は絶対に守る
山田 吉彦 潮 匡人

扶桑社 2012-11-22
売り上げランキング : 212816

Amazonで詳しく見る

“海”から見た尖閣問題の今の状況を知ることが出来る、これからを考えるのに役立つ良書。

山田吉彦氏と潮匡人氏の対談で、一般向けに噛み砕いた表現で、専門的な部分は補足説明もしているので読みやすい。

山田吉彦氏は、東海大学海洋学部・教授。海洋問題研究家(wikipedia)。 潮匡人氏は、帝京大学短期大学、準教授。元航空自衛官で軍事ジャーナリスト(wikipedia)。 名前を聞いたことのある人も多いだろう。


本書の大筋は、自分でも似た様に考えていたが、次の状況は深くは考えていなかった。


“「」を失えば、日中間の中間線が変更され・・・ 日本は事実上、東シナ海を失ってしまいます。ーー山田吉彦”

この「岩」は沖の北岩や沖の南岩のことで、魚釣島のような「島」ではない。(参照:wikipedia
一連の尖閣問題のニュースで触れられる事すらほとんど無いが、この「岩」がきわめて重要な役割を示すかもしれない。

シミュレーションでは「島」は守ることが出来ても、「岩」を盗られるだろう、と書かれている。
「岩」を盗られると、そこに拠点が出来る。それを排除出来ず、実効支配されてしまうと領有権を失い、領海を失う。
尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲内なのは、日本が実効支配をしているからなので、中国の「岩」の実効支配が固まると奪還作戦で米国を当てにすることは難しい。そして、そこを基点とした200カイリの排他的経済水域を失い、東シナ海の、日中の中間線が大幅に変更されることを意味する。
漁業資源だけでなく、海底資源や海底下のエネルギー資源とも関係してくる。

国連海洋法条約では「岩」は基点にならないが、中国は占拠したら「島」だと言い張るだろう。
この方法で、フィリピンはミスチーフ環礁を失っている。


日本国境戦争 21世紀・日本の海をめぐる攻防 (ソフトバンク新書)日本国境戦争 21世紀・日本の海をめぐる攻防 (ソフトバンク新書)
山田 吉彦

ソフトバンククリエイティブ 2011-07-21
売り上げランキング : 245418

Amazonで詳しく見る


本書は3つの章に分かれていて、お互いにリンクしている。

“第一章・全検証「尖閣上陸・第二の敗戦」ー誰が、何を間違えたのか”
は、今年8月15日の香港の活動家らによる魚釣島への上陸事件について、海上で制圧する機会は充分にあったのに、なぜ上陸をさせてしまったのか検証をしている。
先例を作ってしまったのは大きな失敗だった。
公務執行妨害罪を問えただろうし、強硬接舷した時に乗船することは出来たが、海保はそれを行わなかった、いや行えなかった。そこには官邸の「安全第一」で、「怪我人を出すな」「犠牲者を出すな」という  姿勢が感じられる。
何度も「海上保安庁の隊員はやるせない、歯がゆい思いをしている」と言っているのが印象的だ。


“第二章・尖閣にオスプレイが投入される日”
は、尖閣防衛のカギを握るオスプレイについて、客観的な視点で、具体的に書かれている。
この事に、日本の大手メディアはまったく触れようとしない。沖縄の人々の感情を考えてそういう対応をしているのかもしれないが、せめて沖縄の安全保障も含めた問題として触れてほしいものだ。
軍事ジャーナリストの潮氏の説明は、ところどころ気になった所があったが、全体的に、よくまとまっているという読後感。(*2)


”第三章・尖閣を中国に奪われないために”
で、どうすれば守ることが出来るのか、対談が進められる。

「現状で自衛隊を投入するのは中国の思うつぼ」という点は、国際法や日本を取り巻く国際関係を理性的に考えたなら、誰でも考えるのではないだろうか。(その上で、自衛隊を投入すべしという意見もある)
では、いまは自衛隊を投入せずに、どのように対応していかなければならないか。
海上保安庁だけでは、すでに限界近くになっている。巡視船の使用年数の問題もあるし、そもそも海保の隊員の定員の問題もある。
先延ばしに出来る状況にはない。


いまは「選挙」という、国民が自ら考えて行動することが出来る数少ない機会だ。

「岩」を失うことで、東シナ海の広い範囲の海底資源や漁業資源の権益をまとめて失うことになるかもしれない。しかしその時の政府首脳部が、中国との関係改善のために「岩」のひとつくらい渡してやれ、と、国内政治や党内政治で考えたらどうなるだろう?
(少なくとも、そう言っている政党はないのが救い。だから、ここでこう書くことが出来る)


尖閣諸島(あるいは離島)の問題は、目に見えている陸地とその領海だけから考えるのではなく、もっと広く深い、“海”から考える方が何が重要なのか分かりやすい。



うちのブログでは、主に中国海監の海洋監視船について、記事をいくつか書いてきました。
別に船オタだからではなく(笑)、広く浅く書くよりも、焦点を絞ってから膨らませた方が自分が書きやすいからですし、自分の主義主張を前面に出すよりも日本語の情報を増やす事で、色々考える材料にしてもらえればと思っています。
こいつ船オタ、と勘違いしないよう、ちょっとだけお願いします(苦笑)ホントに違うんですってばw


船オタもそうでない方も、大局的に、中国海監の海洋監視船や漁政の漁業監視船について、海保と巡視船の対応について、“広くかつ深く”知りたいなら、ご一読されることをお奨めします。

尖閣激突  日本の領土は絶対に守る尖閣激突 日本の領土は絶対に守る
山田 吉彦 潮 匡人

扶桑社 2012-11-22
売り上げランキング : 212816

Amazonで詳しく見る


「なぜ砲撃しない」と、邪気無邪気な強硬論を言う人がいる。
本書では、海監の監視船に向けて武器を使えない理由を、国際海洋法条約や海上保安庁法を使って詳しく説明している。
さすがに海保の巡視船が一方的に撃つ可能性は全く書かれていないが、そんな状況は、巡視船のブリッジほか船の全員が狂いでもしなければありえないだろう。

もし現在の状況で、中国海監の「非武装の」海洋監視船に対して(*1)、海上保安庁の巡視船が砲撃をしたら、日本は国内法でも、国際法でも、政治的にも、国際世論的にも、ほぼ間違いなく負けます。
もしかしたら、米国が、尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内と言っているのに、その米国が介入しにくくなる状況を作ってしまうかもしれない。

中国は、三戦(「世論戦」「心理戦」「法律戦」)の戦術を展開していることは、広く知られるようになった。(参照) 尖閣諸島での中国海監の行動も、その三戦に沿ったものとなっていて「世論(プロパガンダ)戦」と、特に「法律戦」を重視していると感じられる。

むしろ中国共産党や人民解放軍は、日本の世論が無知から勘違いをしてさらに右傾化し、先に撃ってくる事を望んでいるのではないだろうか。
そうすれば中国は、大義名分を得て自衛権を行使できるし、非武装の政府公船が攻撃されたとして、自国民に対して、そして何より国際社会に対して、公然と、その後の行動の正当性を主張することが出来るだろう。


その時は、「岩」だけでなく「島」が獲られることとなるかもしれない。(*3)



(*1)海監船は軍艦か非武装かの話や、偽装軍艦じゃね?という話は、機会があれば別記事で書きたいと思っていますが、少しだけ、
前の記事で少し書いたけれども、今、尖閣諸島周辺に来ている中国海監の海洋監視船は、海洋監視船として自主建造された船。(追記2012/11/29深夜:この記事公開後、海監137が尖閣周辺海域で確認されました) 軍艦ではなく、機関砲など固定兵装のない、非武装の政府公船。(機関銃など携行できる武器は積んでいるでしょう)
退役軍艦を改装した海監船とか、固定兵装のある300㌧以下の海監船の話とか書くと長くなるのでこの辺で。むしろ、漁業局の漁業監視船「渔政310」などが機関砲を載せている。

(*2)オスプレイと島嶼防衛のシミュレーションは、保守色の強い雑誌や本には多く書かれているのですが、論調がいまいち肌に合わない。

(*3)その「島」が、尖閣諸島だけでおさまればいいのですが・・・

驚いた! 知らなかった日本国境の新事実 (じっぴコンパクト新書)驚いた! 知らなかった日本国境の新事実 (じっぴコンパクト新書)
山田 吉彦

実業之日本社 2012-04-05
売り上げランキング : 36961

Amazonで詳しく見る

2012年11月 7日 (水)

『ラッキーマン』マイケル・J・フォックス、読了 | メモ:iPS細胞とパーキンソン病治療

ラッキーマン (ソフトバンク文庫)ラッキーマン (ソフトバンク文庫)
マイケル・J・フォックス

ソフトバンククリエイティブ 2005-02-19
売り上げランキング : 74525

Amazonで詳しく見る

マイケル・J・フォックスの自伝『ラッキー・マン』(Lucky Man - a memoir)。
2003年の日本出版。そのうち読もう、読もうと思っていて忘れていた本。

山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞受賞に関するニュースの中で、治療が期待される難病のなかにパーキンソン病があり、そこで思い出し、今更ながら読んでみた。


内容と、パーキンソン病とiPS治療についての、個人的メモ。
(症状その他の詳しい事は、wikipediaその他で調べてみてください)

参照:パーキンソン病(Wikipedia)

日本における有病率は10万人当たり100~150人。欧米では10万人あたり300人と見積もられている。
厚生労働省の、2005年(平成17年)の調査では、パーキンソン病患者は約14万5千人。
パーキンソン病患者は認知症を発症するケースが多く、発症リスクは健常者の5~6倍。患者の追跡調査研究では、78%が認知症を発症している。



患者の多くは50才以降の中高年で発症するが、マイケルは30才という若年で発症した。
(参照:マイケル・J・フォックス)(wikipedia)

1990年に発症の兆候がみられ、治療をしつつ俳優の仕事を続けていた。
1998年に病気を公表し、その後、俳優活動から退きパーキンソン病の研究助成活動を行っている。
このあたりは自伝『ラッキーマン』で喜怒哀楽詳しく描かれている。
芸能人の自伝で良いと思ったことはあまりないけれど、マイケルは文才があるらしく、ユーモラスでもありかなり読ませる内容だった。

"マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団(The Michael J. Fox Foundation)" 。
本書によるとマイケルは自分の名前をつけたくなかったので、 "PDキュア財団(PD (Parkinson's Disease) Cure Foundation)" と命名しようとしていたそうだ。しかし、妻トレイシーの「ペディキュア?」(足の爪のマニキュア)の一言があって、いまの名前になった。

トレイシー、GJ(笑)


その後、俳優活動を再開。
2年前(2010年)の、CBSテレビの法律ドラマシリーズ『グッド・ワイフ シーズン2』の、メイキング動画。
マイケルは、神経疾患で運動機能の障害を持った弁護士の役を演じている。


マイケルは、1999年の米国の上院歳出委員会の公聴会に出席し、こう発言している。

わたしは四十代で、ほとんどの人が七十代か八十代まで直面しなくてもいいような困難に直面しています。でも、あなたがたの助けを借りて、この病気を撲滅するためにできることをすべてやれば、五十代になったとき、わたしは子供たちの結婚式でダンスをすることもできるのです。

(『ラッキーマン』p.391より)

いま、本書を読んだ感想は、出版社の紹介文のような「感動の・・・」もあるんだろうけれど、もっと単純に、

「マイケル・J・フォックスの、そのダンスを見てみたい」。

マイケルは、今年51才。
iPS細胞研究のロードマップ通りに、充分な予算が集まり研究と臨床試験がすすめば、それは10年で実現する可能性がある。

「夢じゃないんだ」という感慨をもった。 楽しみだ。


来年(2013年)に、NBCのテレビドラマの主役で、パーキンソン病患者の役を演じる。
NBCは、マイケルの出世作『ファミリー・タイズ」を製作したテレビ局。

NBC Will Broadcast New Michael J. Fox Show(NYTimes)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』マイケル・J・フォックス、ついに本格復帰!新作テレビシリーズに主演(シネマトゥデイ)

ファミリー・タイズ 赤ちゃんにジェラシー編 [DVD]ファミリー・タイズ 赤ちゃんにジェラシー編 [DVD]

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2008-06-20
売り上げランキング : 5138

Amazonで詳しく見る

パーキンソン病 - 患者様へ : 疾患と研究の関わり
(文部科学省 iPS細胞等研究ネットワーク iPSTrend)


京都大学・CiRA 
一般の方対象シンポジウム「iPS細胞研究の最前線」

「iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の開発」高橋 淳 准教授
26分38秒

ES細胞、iPS細胞については14分あたりから。
2010年のシンポジウムなので、ES細胞も絡めて説明している。



ラッキーマン (ソフトバンク文庫)ラッキーマン (ソフトバンク文庫)
マイケル・J・フォックス

ソフトバンククリエイティブ 2005-02-19
売り上げランキング : 74525

Amazonで詳しく見る

[Kindle版(英語):Lucky Man: A Memoir eBook: Michael J. Fox


2012年9月30日 (日)

傍点で強調された部分|村上春樹・朝日新聞寄稿・全文について

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)
村上 春樹

文藝春秋 2012-09-04
売り上げランキング : 841

Amazonで詳しく見る

村上春樹氏が、朝日新聞9月28日本紙に寄稿した「魂の行き来するする道筋」について、さまざまな感想が述べられている。

全文は、朝日新聞のサイトで読むことができる。(要、登録)
また、全文が、あちこち転載されている。

ネットにある全文のひとつ(9月30日午前10時現在)が、朝日新聞本紙の文章と同じことは両者を突き合わせて確認したが、本紙と微妙に違う部分がある。

ひとつは、難読漢字のルビが括弧で補足されている。(例:賑(にぎ)やかに騒いだあと〜)。
上記リンクの茂木健一郎氏のコメントでも同じ書き方がされている。

もうひとつは、2箇所の傍点で強調された部分が反映されていない。
これは残念だ。

その2箇所を、傍点付きで書き出し・引用させてもらおう。

エッセイの中程、7段落目。
201209mura01
(「〜実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えている。・・・」の「なくてはならない」に傍点。)

実務的に解決可能か、時間の問題も含めて、どうなるかは分からないと思う。
しかし、その方向を冷静に探ることなく、「国民感情」の領域で対応してしまうとそれは安酒の酔いに似た高揚感を与える。
ほんの少量で酔っぱらわせ、頭に血が上り、声を高めて行動は粗暴になり、単純化された論理で行動する。

安酒を飲んで羽目を外した後に残るのは、頭痛と二日酔い。もしかすると嘔吐した跡や擦り傷が残り、大事なものを無くしてしまうかもしれない。

中国各地の反日デモでは、中国社会は、何か大事なものを無くしてしまったのではないだろうか?


エッセイの最後に近い、11段落目。
201209mura02
(「〜もしそんなことをすれば、それは我々の問題として・・・」の「我々の」に傍点。)

お互いに商売相手なのは確かだが、相手は、会社の上司ではないし、舅や姑でもない。
必要以上に妥協することはないし配慮しすぎることもない。過剰に対応してもよくはない。

しかし、同じように安酒を飲んだような酔っぱらった対応をしたら、それは「我々の」問題となって跳ね返ってくるだろう。

酔っ払い同士の喧嘩は、ろくな結果にならない・・・ orz



日本メディアの朝日新聞に、日本語で寄稿された文章なのだから、これは日本人に向けて書かれたものだ。

しかし、中国メディアや韓国メディアにも、全文を訳して載せてほしいと思う。
中国語や韓国語の翻訳文が、ネットで転載されることを期待したい。

(追記)
中国語訳・全文:村上春树谈日本领土争端:狂热于领土犹如人醉于劣酒(凤凰网)
ただし、ヒトラーに言及している段落を太字で強調している(ブラウザによって強調表示されない場合がある)ので、訳文も偏っているかもしれない。注意。
(追記ここまで)


メモ
大江健三郎氏など知識人と市民団体の声明と一緒にしている人がいるけど、たいして関係ないね。


村上春樹 雑文集村上春樹 雑文集
村上 春樹

新潮社 2011-01-31
売り上げランキング : 3124

Amazonで詳しく見る

より以前の記事一覧